ピンタって痛いよね。
「あんた‥‥‥!」
なんか朝の女の子、やっちまったって顔してるんだけど。
ってゆうか、朝の女の子って長いよー
これからは心の中で『キャラチェン定期』って呼ぼう。
え?長さ変わってない?
まぁ、気にするでない!
「美羽さん。 もしかしてお知り合いの方ですか?」
私の花恋がかわいらしく首をかしげてる。
「今日の朝にね。
そんなことより、花恋かわいいぃ!!
もう私の嫁に来てよ!」
「えっそ、そういうのは
長い年月を共に寄りそってそれでも一緒に居たいと思えるようになってから初めてお互いの両親に対面してーーーっ!」
とりあえず抱きついた
だって、顔真っ赤にして早口になってたんだもん!
抱きついちゃうのは不可抗力だしっ
「かれぇん、 はぁはぁ。 もう私…。
我慢できないっ」
「え、え!?
またなんか怪しくなってますよ!」
花恋が私を引き剥がそうとする。
もうちょっと堪能したいぃ!
「ちょっとあんたたち!
絶対私のこと忘れてるでしょっ」
そういえば忘れてた。
「あ、ごめんね!
キャラチェン定期!
ちっちゃすぎて途中から見えなくなっちゃったみたい」
「はぁ? たしかにちっちゃいけど、あんたより5センチは高いわよ!
ってゆうかキャラチェン定期って何よ」
キャラチェン定期が睨んでくる。
や、やっぱ怖いね。
ついキャラチェン定期って呼んじゃったわー
心の中にしまっておこうとおもったのに。
ん?
今気付いたんだけど、もしかして。
「雰囲気が朝に戻ってる?」
「学校ではあのあざといキャラで通してたの!!」
あ、自分であざといって認めちゃうんだ‥‥
でも素であのキャラはさすがにないよね。
私は好きだけど。
「まったく‥‥
まさかこれから自分の生徒になる人達にいきなりバレるなんてね‥‥‥‥。」
‥‥‥‥‥‥‥‥。
自分の生徒?
「「えぇ!?」」
花恋と同時に驚く。
だってそうでしょ!
ツインテールで背も低めのかわいい女の子が先生、しかも担任だなんて思わないよっ
そういえばキャラチェン定期、制服着てないけど先生だからか。
しかし、成人してるのにツインテールとは少し年齢を無視しすぎではないか?
「ということは、この学校では小学生でも教師になれるんですか?」
うわー
花恋さん、綺麗に毒吐きましたねー
しかもこの子、絶対無意識だよー
ってか、花恋には同い年にさえ見えないんだね‥‥
たしかにランドセルとか背負ってても違和感なさそうだけど‥‥‥
身長以外ではよっぽど私の方が大人っぽく見えるんじゃない?
おっと、失礼
「しっつれいねっ
私はここを卒業して特別枠ですぐに教師やりだしてんの!
しかも3年目よっ」
ってことは21歳!?
ごめん、さすがに5歳も上とは思わなかったわー
でも教師にしては若いほうか。
「そうだったんですか!
失礼しました‥‥」
花恋が申し訳なさそうにうつむいている。
やっぱさっきのは無意識だったんだね!
あははっ
「そういえばなんか大事なこと忘れてる気がするんだけど‥‥」
「あっ、もしかして入学式ってもう始まってるんじゃないでしょうか。」
開始→9時45分
今 →10時5分
うん。
ちこくだぁぁぁぁ!
「まぁ待ちなさいよ」
私がB-DASHしようと思ったら、キャラチェン定期にがドヤ顔で止めてきた。
おらを止めてくれるなぁぁぁ!
「実はこのクラスは他のクラスと別の会場で式を行ってるのよ。
さっきの点呼で2人足りなかったから、
もしかしたら連絡ミスがあったんじゃないかってここに来たの。」
なんで別なのか気になるけど、今は置いとこう。
どうりでいつまでたっても他のクラスメイトが来ないはずだよ。
それより誰だ。私と花恋の連絡ミスったやつ。
見つけたら私が直々にあぶってやる。 ありがたく思え!
なんなら、私の肩を揉んでもませてあげてもよくってよ?
「でもさ、キャラチェン定期」
「ねぇ、そのキャラチェン定期ってやめてくれない?
私には白谷姫波って名前があんのよ。
姫波とか姫とか、ちゃんと名前で呼びなさいよ!!」
キャラチェン定期、もとい姫はちょっと怒った。
怒った顔も安定してかわいい。
こんなかわいいこたちと話せて、私は幸せだよ。
それにしても、教師が生徒に名前で呼ばせるなんて珍しいよね。
大丈夫かこの学校?
「…姫、さっき別の会場で式をしてるって言ってたけど
時間はまだあるってことなの?」
「うっ、そ、それはぁ…………
こっそり席についたらばれないかなぁ?
なーんて……
ごめんねぇ?」
姫がうるうるした目で見つめてくる。
かわいいから許してあ・げ・る♡
キャラチェンしてごまかそうとしてんの丸分かりだけどね!
人数少ない方が遅刻とかはばれやすいし。
「姫ー!」
ぎゅぅ。
「は、離しなさいよっ! 抱きつくとかばっかじゃないの!?」
「美羽さん…。」
姫に罵られ、花恋にはジト目で睨まれる。
「花恋もぎゅー」
抱きついてごまかそう。
美少女二人を同時に抱き締めるという至福の時間。 むふふ。
「仕方ないなぁ。
みんなでB-DASHするよっ」
こうして、私は教師と一緒に廊下を猛ダッシュするという青春の1ページをきざんだのでした☆
。。。
あれから、私達3人はスパイごっこをしている。
ごめん、うそ!
ホールの一番後ろを、屈んで忍び足をしている。
入学式終了時刻→10時30分
現在時刻→10時23分
「って、あと7分で終わっちゃうんだけど!!」
「「美羽っ(美羽さんっ)
しーー!」」
「ご、ごめん…
でも、だいたい姫が道間違えるから時間なくなったんじゃん!
今更席ついても意味ないよ!」
「まぁ、姫さんに反対方向に連れて行かれましたしね。」
高校時代の3年間と教師になってからの3年間、合わせて6年間働いてるくせに、こやつ、迷子になりかけたのだ。
たまたま花恋が向かってるところが違うかもって気づいてくれたからいいけど。
花恋がいなかったら私達二人はまだ、校舎内をお散歩中だったよ。
「でも、そんなとこもかわいくて大好きだよっーーーーブフォッ」
両サイドからピンタされました。
ねぇ、知ってる?
両サイドからピンタされたら、反対側に痛みを受け流すことが出来ないから、頭がぐわんぐわんなっちゃうんだよ?
それと花恋さんや。
なぜにおまいさんもピンタした。
「なんとなく腹がたっちゃいました。」
とても素敵な笑顔でなんか怖いです。
「ーーこれで入学式を終わります。」
そうこうするうちに、式終わっちゃったよっ
「生徒の皆さんはここの隣にある、『能力開発しちゃうんだからねっ☆』室に移動してください」
え、何その部屋。
ネーミングからして怪しい部屋な気がする。
それに、中年のおじさんの
「能力開発しちゃうんだからねっ☆」
って…………誰得だよ。
能力開発ってなにぞ?
「私達も移動するわよ!
さーて。あんたたちはどんな能力に目覚めるのかしらねー」
なんだかひ姫がウキウキランランしてる。
あっいいこと思いついた。
姫がキャラチェンした時って、これがすごい似合いそうだよね。
「ねぇ、姫」
「何?」
「『能力開発しちゃうんだからねっ☆』って全力で言ってみて!」
「ーーーーっ!?」
また両サイドからピンタされた。
清々しい音が、桜の咲きほこる春の校庭に響き渡る。
ピンタは2人でやらないとだめっていう法律ができたのかな……?