起源。
ーー西暦2✘✘✘年、世界各地では魔物の発見報告が急増していた。
被害を受けたと訴える人も多くいたが政府は相手にせずに放置した。
ーー数年後、魔物の死体を発見した研究者が魔物の存在を明らかにした。
被害も当初より拡大していたこともあり、政府は認めざるを得なくなった。
一刻も早く絶滅させようと軍隊を動かし、銃や毒ガス、刃物などで立ち向かうが、弱らせることは出来ても決して殺すことは出来ずに数はどんどん増えて行った。
そこで政府は世界中の研究者を魔物の生態、迎撃方法の研究に当てて対策を急いだ。
賢明な研究者達により、異世界があり、何かしらの理由でそこから魔物が送られていると言う事はすぐに明らかになった。
また、火、水、風、緑など三十種類の特異な能力を開発することに成功した。
そして政府は即座に人々を集めて分析し、その中からより潜在的に能力操作に優れているとする30人の能力を開発した。
彼らは見事な連携プレーを見せ、無事に当時地球にいた全ての魔物を撲滅することができた。
しかし原因の種を潰したわけではないため、その後も警戒を解かずに各国に1つ以上、能力者を育てるクラスがある私立高校を設置した。
ただし、入学するまでは選ばれた生徒自身にさえ何も知らせないことになっている。
さらに研究も進み、そのとてつもなく広い学校の敷地の周りに結界を張り、魔物はその中にしか出現できなくすることも出来るようになった。
こうして現れた魔物をそこの生徒達で迎撃するという仕組みが出来上がる。
そんなこんなで今日では、能力や魔物について世の中にはあまり知られずに伝説のように語り継がれるようになった。
。。。
ところで、ある街角の一角に割と裕福そうな家がある。
そこで気持ちよさそうにぐっすり眠り続けている少女は今日から高校一年生になる波瀬美羽だ。
本人、もちろん家族も何も知らないが、美羽もそういった私立高校の能力者クラスに選ばれた30人のうちの1人である。
そして美羽が通う高校は他の選ばれた私立高校とは大きく違うところがある。
実は女子校なのだ。
なんでも、そこの高校の初代校長が高校を女の子で埋め尽くしたいからといって無理矢理女子校にしたらしい。
だからここで育成される能力者も必然的に全員女子だ。
……まったく勝手な校長である。
(いいぞ、もっとやれ。)