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飛ばされた異世界はアホばかり―2/2

遅れて申し訳ありません。病気でぶっ倒れてました。


半端になってしまいましたね1話にまとめればよかった……。

プロローグは多分次回で抜けます。

 先ほどの魔王の言葉によって再び喧騒にまみれた両軍。中には喧嘩をし始める人間と魔族も居た。本当に小学生を見てるようで嫌になる。


『わかった! あんた達の言いたいことは分かったから、静かにして!!』


 両群に対して私が拡声器越しで命令するとすぐに静まり返った。とてもお頭が弱いためなのか素直だ。なら戦争もするなと言いたい。

 私の荒くなった息整えて、落ち着いて考えることにした。どうしてこの両軍は争わなければならないのか。

 ……うん、分かる訳がない。

 そのようなことをじっくりと考えていたら「女王様ー!」と、勇者達の後ろに控えていた人が、手を挙げて私を呼んだ。


『はい? どうしたの?』

「オラ達仕事あるんで、帰っていっべ?」


 騎士の格好をした人がそう言うと、その人の側に居た人達もが挙手し始めた。それを見た魔族達も手を挙げて、勇者と魔王以外全員が手を挙げることになった。

 そんなことよりも騎士の格好してるくせにその訛りはなんなのよ。とてつもなくダサいんですけど!

 って仕事あるなら戦争なんてしてるんじゃない!


『じゃあ、勇者と魔王以外は帰っていいです。かいさーん』


 ツッコミきれない私は疲れ果てて、元気無くそう答えた。私の返事を聞くと挙手していた人達は全員散り散りに解散して、そして勇者と魔王の2人だけが私の前に残った。

 その2人の光景はまるで現世に居た頃の補習を受けていた私みたいだ。

 正座をしたまま、イケメンである2人がジッと私を見ているが、もう慣れたので照れたりもしない。頭が柔らかいと顔がどれほど良くても残念男に早代わり。

 私は拡声器をしまい、戦争のちゃんとした原因を知りたいけれど、それよりもまずは先にこの世界について調べないといけない。


「変なことを聞くかもしれないんだけど――」


 そして、この世界について色々と2人に尋ねた。

 本来であれば世界の常識みたいなことを尋ねられて、不思議に思われるはずなのだけど、そのような知能も無い2人は不思議がらずにこの世界について素直に教えてくれた。


 ――この世界には大きく分けて2つの大きな国がある。勇者の国と魔王の国の2つだ。

 勇者の国はシュトラール王国と言う名前の王国制度で、ヴォルクヘイムはそこの第一王子。第一王子は昔から民衆達から勇者と崇められて、シュトラールに代々伝わる聖剣クラウ・ソラスを使い、魔王と対峙してきたという。

 魔王の国はグラオザームと言う名前の実力社会の国。自身の力と魔法だけで魔族達を押しのけて、頂点にまで上り詰めた者が魔族の王様、つまり魔王。そして魔王には魔剣ダーインスレイヴが与えられ、今はシグラウルがその魔王となっている。

 そして一般的なファンタジーみたいに、魔王が勇者の国を脅かしている――なんてことも無く、平和的と言えるべきか分からないけれど、戦争を抜けばほとんど平和そのものだ。


 なら、なんで戦争をしていたのか? というところにどうしても戻ってしまう。


「憎んでもないのに戦争をしてどうするのよ?」

「僕が勝ったら喜びます!」

「喜ぶって……。ああうん、それは良いとして喜んだ後は?」

「女王よ、嬉しいに決まっているだろう」

「うん。だからね? 喜ぶ、嬉しいのその後はどうなのよ!?」

「そしたら、楽しいんじゃないか?」

「だーかーらぁぁ!!!」


 怒鳴りながらも何度も私は聞いたけれど、ループから抜け出すことは出来なかった。

 もう、この2人に尋ねる方が間違っているのかもしれない。きっと私が間違っていたのだろう。 


「はぁはぁ……。つまり、あんたたちって、ただ争って優劣を付けたいだけなのよね?」


 今までのことを私は必死にまとめた。

 特に理由はないけれど、お互いとも相手には勝ちたい。と言う意思が見える。相手のことを殺したいほど憎みあってたり、特別な理由があるわけでもないらしい。

 私の考えが合っていたようで、両名共にこくんと、頭を縦に振って頷いた。


「それだったら、戦って殺し合わなくてもいいんじゃない? 勉強とかスポーツとか」

「勉強とはなんですか? スポーツ……?」

「へっ!? 勉強もスポーツも知らないの?」

「私も知らないな。聞いたこともない」


 現世では競うと言ったら勉強かスポーツだ。バカ(人間)代表の勇者と、アホ(魔族)代表の魔王の2人が知らないということは、すなわち現世では誰もが知っている勉強とスポーツはこの世界には存在していなかったようだ。

 つまりは、この2人は戦争しか他に争う方法が無かったから戦争をしていた。それはとても至極簡単な理由だったのだ。


「って、それで納得できるわけがないでしょうが!!」


 独りツッコミをしていたら、私の奇妙な行動に不思議そうな顔をされた。


「それで、あんたたちが本当にバカなのは分かった。もしかして学校とか無いの?」

「はは、学校ですよね? ……学校って何だ?」

「今のいかにも自信有り気な表情はなんだったのよ!?」

「学校って鳥の名だ。相も変わらず勇者はバカだな」

「そりゃカッコウでしょ! あんたこそ、アホよ!!」


 バカ勇者とアホ魔王ともども学校を知らないようだ。つまり、代表格でもあるこの2人が知らないなら、きっとこの世界には学校なんて存在しない。

 その事実を知り、私はくらりと貧血を起こした。この世界はどこへ行ってもバカとアホしかいないのだから。


「もういい。なら私が学校を作る! あんたらも協力しなさい!!」


 強引に話を進ませて(と言うよりも、この2人に返事を期待する方が間違っていると私は学んだ)私は学校を作ることに決めた。あんなに勉強と言う物が嫌いだったが、全く出来ないとそれはそれで大問題なのがとてもよく分かった。

 この世界から帰れなくなったら、きっと私は怒りすぎで早死にするんじゃないだろうか。




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