第十話 一人の午後
卵とキャベツ(+塩ふき昆布少々)の炒めものを皿に乗せ、卓袱台に乗せる。温めた味噌汁とご飯を盛って、昼食を食べ始めた悠希だが・・・
悠希
「・・・静かすぎる」
余りの静かさに悠希はいつもは点けないテレビを点ける。丁度、お昼からやるドラマのオープニングが流れていた。慣れた手つきで録画ファイルを開き、アニメ映画を選択する。静かだった家の中に、楽しそうな音楽が流れ出す
***
悠希
「っんーー…!」
洗い物を済ませて背伸びをする悠希。外していた二個のブレスレットを着けつつ、自室に宿題を取りに行き、戻ってきた彼女は居間で宿題を始めた
カリカリとシャーペンを走らせながらブレスレットを見た悠希。すると、何か違和感を感じたらしく、手を止めて右手首に着けた紅と青のブレスレットを凝視する
悠希
「紅い方が・・・なんかへたっぴ? 青い方は綺麗に出来てるのに・・・」
青いブレスレットは石の並びがピシッとしているのに対して、何処と無く紅いブレスレットは石の並びが雑である。よく見ると、彫られている炎の文字も歪である
寝転がって右手を電気に翳すと、手首のブレスレットがキラキラと輝く。その輝きを見ていると、不思議と穏やかな気持ちになっていく。ぼんやり眺めていると、手首の周りの景色が歪んでいるのに気が付いた。紅いブレスレットの周りは陽炎のようにゆらゆらと揺らぎ、青いブレスレットの周りは鋭い光を放っている
悠希
「よいしょ・・・」
ブレスレットから目を離して起き上がった悠希は、卓袱台に置いていたシャーペンを握って宿題を片付ける事にしたのだった
??
『へたっぴ・・・』
??
『そう落ち込むなって』