表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人生は上々だ -人生、山あり谷あり、舞台あり-  作者: 志村けんじ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/48

箱根ドライブ


 そうしてオレたちは、そこから何度か深夜枠のテレビ番組に呼ばれるようになった。


 すべてがネタ見せというわけではないので戸惑うことも多かったが、それでもいつものエイジとの舞台裏での掛け合いを思い出しながら、出来るだけフリートークにも全力を尽くした。それはエイジも同じである。


 そしてもう一つ大事にしたのは、これまでオレたちを売り込んでくれたマネージャーたちや、このように呼んでくれた番組スタッフへの感謝の言葉である。


 この人たちがオレたちを支えてくれて、そして見つけてくれて、初めてのテレビ出演に戸惑って右往左往していたオレたちを面白く編集してくれなければ、いまオレたちはテレビという舞台には立てていなかったと思う。


 ただ忘れてならないのは、オレたちが一番好きなのは、やっぱり目の前の大勢の観客を笑わせたいということである。


 これからゴールデンタイムでのネタ番組の出演が控えてる。


 その前に、オレにはどうしてもやっておきたいことがあった。


♢ 


 ネタ番組収録2週間前。


 オレはエイジを箱根への日帰り旅行に誘った。


「なぁ、エイジ。こんなことをオレから言うのは恥ずかしいんだが、来週オレとふたりで箱根にドライブに行かないか」


「いいねー。せっかくなら彼女も誘って、ダブルデートで行こうぜ!」


 エイジはオレのその誘いに、ノリノリでそう提案する。


「いや。悪い。どうしてもふたりだけでお願いしたい」


 そう、頭を下げた。


「えーーっ。良いぜ。運転はもちろんハゼだよな」


「もちろんだ。運転は任せろ!」



 そして次の週。レンタカーを借りて、箱根へのドライブに向かった。


 エイジとは、そんなに長い付き合いではないが、なんだかずっと前から知っているような気がする。


 あのとき、箱根旅行では邪魔な存在だったエイジを、かけがえのない合い方だと思う日が来るなんて思っても見なかった。


 オレには、あのときの箱根旅行で、一つだけ後悔していたことがある。


 それは芦ノ湖から上がっていく、あのロープウェイに乗れなかったことだ。

 そのことがずっと引っかかっていた。


 だから、ゴールデンタイムのネタ番組で最高のパフォーマンスを出すためにも、どうしても乗れなかったロープウェイに乗りたかったのである。


 こんなことを真面目に話すと、他人は馬鹿にするかもしれないがエイジはそうではなかった。


 芦ノ湖のほとりで、そのことを正直に話した。


「ハゼ、オレの方こそ、あんとき無理やり誘って悪かったな」


 エイジが珍しく謝る。

 

「あんなもんは山道歩いてて、ちょっと石につまずいて転んだみたいなもんだ。あれが神様が置いた石ならいまのこれもまんざら悪くない」


 本当にそう思えた。


「なぁ、ハゼー。お前がいてくれて良かった」


「こっちこそ。なぁ、エイジ。あのとき、誘ってくれてありがとう」


「あぁ、そうだな。ハゼー、その誘いに乗ってくれて、ありがとう」


「じゃあ、お互い様っていうとこだな」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ