表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人生は上々だ -人生、山あり谷あり、舞台あり-  作者: 志村けんじ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/48

チャンス到来?

 そんな中、オレたちにチャンスが訪れる。


 テレビのバラエティー番組での前説の仕事だ。


 このテレビのバラエティー番組での前説というのは、スタジオ収録に参加した観覧者たちを自分たちのお笑いのネタを見せて笑わせる仕事ではない。


 観覧者たちに対して、収録番組の収録の流れとか、こういう処で笑ってくださいといった説明をしながら、収録前の観覧者たちの気分を温めておくのが仕事だ。



 なので、今回の前説の仕事には、事前の台本のようなものは無い。つまりは、もうある程度に場馴れしたエイジよりも、むしろオレのアドリブ力が試されるのことになる。


 オレたちは予定の入り時間の1時間以上前に局に入って、チーフADから収録番組の台本をもらって説明を受ける。


 これほど熱心に人の説明を聞いたのは、本当にいつぶりだろうか。隣でエイジも真剣な顔で話を聞いている。


 このバラエティー番組での前説というのは、なにも必ずしもお笑い芸人がやらなければならない仕事ではなく、下のADもやってる仕事になる。


 そこをプロのお笑い芸人に任せられるのだから、その違いは確実に見せなければならない。


 チーフADからの説明を聞いたあと、局の廊下で台本を見ながら一人悩んでいると。


「ハゼー。そんな緊張するなってー、もっと気楽にいこうぜ」


 とエイジが声を掛けてくれる。


「そーんなこと言ったってよー、お前。この前説ってのは、台本無しのフリートークになるんだぞ! そんな気楽になんかなれねぇーよ」


 そうオレがビビっていると。


「なんだよー! そんなのハゼらしくねーなぁー。なにお前! ここまで来てまだビビってんのー!」


 と、オレのいまの心を見透かしたように煽ってくる。


 いままでだったら、このエイジの挑発に簡単に乗って、また要らぬやる気を出しているところだろうが、さすがにこれには引っ掛からない。


 そこへ、さっきのチーフADと一緒に、オレは映像でだけ見たことがある、エイジの元相方の玉田ヒロシが、そのチーフADと談笑しながら歩いてくる。


 オレは思わず、そのヒロシの顔を凝視してしまう。そのまま通り過ぎてしまうかと思ったヒロシが、突然足を止めた。


 そうして片足を軸にしてオレたちの方を向くと、三文芝居の悪役のような笑いを浮かべ。


「これはこれは、ソルティドッグのおふたり。頼まれてた「約束」は果たしましたからね」


 と、嫌味たっぷりにそう言った。


 すぐには状況が把握できなかったが、「約束」という言葉からすると、おそらくエイジがヒロシになにかを頼んだのだろう。


 エイジの顔を確認みると。


「どうも、ありがとう」と、エイジがヒロシに深々と頭を下げる。


「では、ふたりのお手並み拝見……」


 そうヒロシは薄ら笑いを浮かべながらまた嫌味を言うと、去り際にオレたちを馬鹿にするように一瞥して、またチーフADと談笑しながら廊下の先のスタジオに消えていった。


 不本意ではあるが、またこんなカタチでやる気を出すなんて、闘志が沸いた。こんなところで負けるわけにはいけない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ