ヒケラカス
ジェル、コロン、無口、急に大きな声を出し、チラッと見てみたりと強烈に異性を意識し始めたあの頃、僕はとにかく必死だった。
スマホやパソコンなどは普及してない時代、異性についての情報は貴重でとにかく少なく、そんな宝箱を僕は追い求めていた。
そんな中、5歳年上の兄貴がいる友達の五十嵐君は異性についての知識や情報を欲しいままにしていた。
王だ。まさに絶対神だ。
そんな王がこんな助言を僕にした。
「深夜のテレビ欄には気をつけろ」
その時はまるで意味がわからなかったが、愚民の僕は王の助言通り、愚直にテレビ欄を細かく確認した。
んっ?!
深夜1時34分?!ミッドナイト映画?!
意味のわからない時間帯、みたこともない横文字。
「カリブ海の熱い夜」というテレビ欄が当時の僕には異様に見えた。
カリブ?熱い夜?
その頃はサッカーが流行っており、ニュースで1度ブラジルが放送されいた。
そこにはみたことのない装飾とこれはモロだろと、思わせる衣装で踊る豊満な女性が踊るサンバカーニバルの映像を思い出した。
そこで僕は僕なりに仮説を立ててみた。
カリブ→南米→サンバ→露出。
熱い夜→南米→蒸暑い→露出。
これはかなりのものだぞ!
下手するとモロだぞ、モロ師岡だぞ!
多分、相当興奮していたんだと思う。
そうでなければモロ師岡とのワードなど出るはずがないと思う。
「ありがたーい!ありがたーい!」と
心の中で叫び、手の汗をスボンで拭いた。
そして家族が寝静まった頃、テレビがあるリビングは、金魚の水槽のポンプ音と時計の動く音がしていた。
「どんな熱い夜を過ごさせてくれるんだい?」と小さな声でにテレビに告げた。
そして次の朝
「僕は誰よりもカリブであり、
誰よりもカリブを感じていた。」
実はこのミッドナイト映画は約60分にわたりカリブ地域の気候、カリブ海の歴史と海の良さを追い求めるドキュメンタリー映画だった。
そしてやたらカリブ海の歴史とカリブの気候について詳しくなった僕は、みんなの席を廻り伝えた。当然、王にも。
何があったかはわからないが、急にカリブ海の事を詳しく、熱く語る僕のことをみんなはことをこう呼んだ。
「キャプテンフック」と。
別の宝箱を手に入れた気がした。




