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ボーダーレスウイルス

作者: 出雲 寛人

「この世から差別と戦争を無くしたい。」

友人はそう言った。果たしてどのようにして無くすのか。

「この世から差別と戦争を無くしたい。」


これは私の友人の夢だ。


昔から何度も繰り返していた。


他の人が同じことを言っていれば、無理だろうと思っていただろうが、この友人が発する言葉は妙に現実味がある。


そして、最近その友人からメッセージが来た。


「ついに夢が叶いそうだ。」


ついにその時が来たのか。


「どうやるの?」


率直な疑問をぶつけたが、


「楽しみにしてて。」


としか返ってこなかった。


翌日、ネットニュースで友人が逮捕されていた。


勝手にウイルスをばら撒いたとかなんとか。


私には分かった。


そのウイルスで差別とか戦争を無くすんでしょ?


そして突然私のスマホの画面が真っ暗になり、文字が現れた。


“今日からあらゆる境界が無くなります。”


境界?何のことだろう。


そこからはネットニュース速報が幾度か更新された。


今まで戦争状態にあった国同士が戦争終了宣言をしたのだ。


今ではもう国境なんてないのに、争う理由なんてないよねという言い分だった。


なるほど。境界がなくなることで、こちら側とあちら側という風に二分されていた状態が無くなり、両方“こちら側”となったのだ。


おそらく差別も、同じような原理でなくなるのだろう。いじめられる対象といじめる主体の境界が無くなる。


すごいね。


これから本当に戦争と差別、無くなりそうだね。


そして、次の瞬間、スマホとその周りの空間の境目が無くなった。


あれ。


自分の手とその周りの空間も境界が無くなった。


そうか。


あらゆるものの境界が無くなるんだもんね。


そして私は私でなくなり、世界はひとつになった。

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