表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/43

8話 信仰対象

「私が地下牢で掛けられていた鎖の呪詛は、人も使う呪詛です。しかし認識を変えるという呪詛は、聞いたことがありません。おそらく新しく生み出された呪詛のはずですが、ここまでの呪詛を創り出し扱うというのは、人にはまず不可能です」


 格好をつけた俺の犯人当てが外れている理由を、アイリさんは教えてくれたけど、人が扱えない呪詛?


「それじゃあ犯人は?」


「残念ですが、エルフの目を盗んで世界樹に影響を与えたことも考えると、エルフの誰かの可能性が」


「エルフが犯人? でもエルフは呪いを使えるんですか?」


「呪詛は攻撃力や防御力を下げたりなど、相手をバッドステータスの状態にするものなので、エルフも使えますよ。私は得意ではありませんけど」


 あー、そうか。

 呪詛はデバフか。


「そうですか。でも犯人のエルフは、何でそんなことを?」


「理由は分かりませんし、三人のうちの誰かも分かりません。彼女達の里を訪れるしか、今のところ確認のしようはありません」


「そうなんですか。それで話は変わるんですけど、その呪詛を俺のスキルで消せないか、試しても良いですか?」

 

「それは願ってもないことですけど」 


「じゃあ、早速・・・ん? んんん? くそっ!」


 地下牢の時は、あの鎖が呪詛だとは知らず、普通の鎖かと思っていた。

 そんな状況でも、収納出来てしまったチートなスキルなら、何とかなるんじゃないかと試してみたが、あの鎖を収納した時のように収納出来ない。


 それならと回復スキルの方で解呪しようとしても、バチンッて感じに弾かれてしまう。


 神様にもらったスキルが効かないとか、どんだけ強力なんだよ。



「駄目ですか……。おそらく強力な触媒を使っての呪詛と思いますので、解呪も容易ではないかと」


「強力な触媒……って、もしかして世界樹ですか?」


「そうかもしれません」


 なるほど、もし神木である世界樹が影響しているとしたら、そりゃあ簡単にはいかないか。




 ◆◆◆


 


 一回で駄目なら、二回目で。

 二回で駄目なら、三回目でと、解呪を何十回と試みたが、全く効果がない。


「……すみません、解呪出来そうにないです」


「いえ、大丈夫です、ありがとうございました」


「でもそれじゃあ、いつまた肉体が保てなくなるか分からないですよね?」


「そうですね。あの、それでお願いがあるんですけれど」


「お願い?」


「エイジさんは、呪詛の影響を受けてないと思うんですけど、どうですか?」


 そうなんだよね。

 あれかな、転生者だからとか、チートな回復スキル持ちだからとか、そのへんが影響しているのかな。


「確かに影響はないけど……あっ、もしかして、アイリさんに嫌悪感をもってないか確認するために、手を繋がせたとか?」


「手ですか。あれはその目的もありましたけど、もう一つ確認したいことが有ったので」


「もう一つ?」


「はい。先ほどエルフが肉体を保てるのは、人から信仰を受け、それを力として使用していると説明したと思います」


「そこに書いてありますね」


「エイジさんから、そんな感情を向けられている気がしていたのですが確証がなくて、直接触れたら分かるかなと」


「それで、どうだったんです?」


「はい、手を繋いだら、ハッキリと分かりました。力も少し回復したんですよ」


「へ、へえ~」


 ちょっと待ってくれるかな。

 力が少しでも戻ったのなら、それは良いことだ。


 しかし、アイリさんを信仰の対象とは見てないんだよな。

 正直にいうと、エロい対象……。


「それでエイジさんへのお願いなんですけど、力が回復するように色々と協力してもらいたいのです」


 それは……協力してあげたいけど、良い事が起きる予感と、悪い事が起きる予感しかしない。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ