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7話 アイリ先生の異世界教室

 しばらく歩いて建物に入ったが、これだけの大きな建物なのに、誰一人としてすれ違うこともなかった。


 まあ、その辺りも含めて説明してくれるだろうと、特に質問することもなく案内された部屋に入ったが、何故かアイリさんは黒板のような物に文字を書き始めた。



・エルフ

 人からは見えない霊的存在の精霊に、神様が肉体を与えた半霊の存在です。

 その姿は人間に近いですが、耳が長かったりと、少し違う点があります。


 神様がエルフを誕生させる理由は、世界樹の守護をさせる為で、その数は一時代(約三百年)に四人です。

 

 自分で言うのは恥ずかしいですが、神様の代行として尊敬されるなど特別な感情……信仰のような感情ですね、その感情を受けることによって、肉体を維持したり、様々な力を行使したりします。



・世界樹

 この世界へと送られてくる神様の恩恵を受信する為の、世界に一本だけ存在する神木ですが、今から十三年前、突如として消滅した為、現在は存在しません。


 この世界樹の消滅によって、人々のエルフへの尊敬の念は無くなり、エルフはその力と肉体を保てなくなりました。


 

「エイジさん、エルフとそれに関係する世界樹について、簡単に説明するとこんな所ですけど、質問はありますか?」


 黒板のような物イッパイに文字を書き終わると、アイリさんはまるで授業をしている先生のように振り返った。


 さっき手を繋がせたりした理由の説明が、こんな授業形式で始まったんだが、驚きだ。


 この世界のエルフは、こんな感じなのか。


 建物の中に誰一人いなかった疑問は、これで解けた。


 しかし、分からないことは残るぞ。


「この建物が神殿ぽいことや、ここがアイリさんの里だという理由も、その説明で理解出来ました。でも肉体を保てなくなったと書いてありますけとま、アイリさんはそこに存在してますよね? あの地下牢では、鎖に繋がれてもいしたよね?」


「はい、そのとおりです。次はそこを説明しますね」



・地下牢にいた理由

 世界樹の異変に気付いた後、残っていた力を使い様子を確認しに行こうとしましたが、人によって捕らえられ投獄されました。


 それは世界樹を護れなかった理由もあると思いますが、世界樹が消滅し力が弱まった時に、醜悪な存在と人々に認識される呪いを受けたので、それで捕まったのではないかと思います。


 ちなみにエイジさんが簡単に消したあの鎖も、実は呪詛です。

 その呪詛のせいで逃げようがなく、時間の経過と共に人からは認識されない程に、力は弱まっていました。


 その為、あの城の人達には、私は消滅したと思われているはずです。



・今こうして存在する理由

 エイジさんが地下牢に来た際、本来聞こえるはずのない鎖の音や私の声、そして見えるはずのない私の姿を、エイジさんがどうして認識したかは不明です。


 でも私を認識し、霊的存在である私を回復させるという、信じられない力のおかげで、かろうじて肉体を保てるだけの力は復活しました。



「先ほどの質問の答えは、こんなところで分かりますか?」


 そうか、呪いでエルフは醜悪な存在か。

 だからアイリさんの反応も、色々と違和感があったんだな。


 しかし、世界樹の消滅に呪いねえ……。

 それって、あれじゃないの?



「世界樹って、自然に消滅したんじゃないですよね? 誰かがやったんですよね? それでそいつが、アイリさんに呪いを掛けた犯人ですよね?」


 身体は子供だが、中身は前世で漫画や小説を読みまくっていた俺だ。

 アイリさんの話だけで、犯人は分かる!



「はい、確証はありませんが、それしか考えられません」


「犯人は、皇帝だ!」


「えっと……違います……けど」


 おお!?


 違うの?


 

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