43話 性(さが)
どちらが初めての相手だったか、そんなことを忘れてしまうくらいイチャイチャし続けて迎えた翌朝。
───コンコン! コンコン!───
「んっん~。おはようございます、リっ、リーン様」
「!?」
「!?」
「!?」
突然の盛大なノック音の後、盛大に上ずったモーデルさんの声が聴こえてきて、それまで激しく動いていた俺達の動きは、同時にピタリと止まった。
「リーン様。た、ただいま帝城から書簡が届きましたので」
「ひゃい、あのモーデルさん、今は…あの…ナニ…でして」
おい~、リーン!
そんな言い方したら、ナニしてたってバレバレだろ!
「心得ております。ドアの下の隙間から書簡を差し込んでおきますので、なるべく早くご確認下さい。それでは失礼します」
「……う~ん、心得ておりますって」
「……回復魔法で回復させてずっとしてたんだもの、バレてない方が不思議じゃなかったわね」
「……恥ずかしいですわ。一晩中していたのを知られていますのね」
そうなんだよね。
俺の回復魔法、漫画や小説のチート回復魔法と同じで、ナニの回復も出来るから、本人に止める気がなければエンドレスになる。
「それじゃあ終わりにしようか。書簡を確認しなくちゃいけないし」
「そうね、終わりにしましょうか」
「そうですわね」
「………」
「………」
「………」
「でもさ、挿れてて途中だし」
「そうね、『直ぐに』確認をとは言ってなかったわよね」
「そうですわ、『なるべく』早くって言っていただけですわ」
「………」
「………」
「………」
「じゃあ、もう一回だけする?」
「そうね、一回だけ」
「そうですわね。一回だけ」
◆◆◆
人間というのは悲しい生き物だ。
『後5分寝かせて』は、5分じゃすまない。
『ガチャを回すのは、この一回だけ』は、一回じゃすまない。
だから後一回だけしようと決めたイチャイチャも、結局三回ずつすることになってしまった。
本当に人間って奴は……。
まあでも三回で止めれたんだから、頑張ったんじゃないかなと書簡を確認してみれば、十二家の話し合いを今日の正午から開催するので、リーンに参加して欲しいという内容だった。
「うおお、急げ! 遅刻する!」
正午に帝城……今から風呂に入って着替え、そして帝城までの移動時間を考えると、かなりギリギリだ。
今回の騒動等について、十二家で話し合いが開催させるとは知っていた。
しかし、これまでのサジタリウス家の扱いから、外される可能性が高い思っていたのに参加出来るのだ。
遅刻なんか絶対出来ない。
下手をしたらその話し合いで、非常事態だから次期皇帝を決めてしまいましょう……なんてことが、あるかもしれないから。
しかし話し合いに呼ばれるなんて、これは正直驚きだ。
救助に最初から走り回っていたのが、サジタリウス家の紋章を付けた人達だったから、さすがに外すのはマズイとでも思ったのかね?
そしてもう一つ驚いてる。
俺宛にも書簡が届いてるのだ。
内容は十二家の話し合いに、俺も出席して欲しいというもの。
「エイジさんも参加ですわよね?」
「呼ばれた理由は分からないが、もちろん参加だよ。だからこうして慌ててる。あれから姿を現さないアイリさんのことも考えると、二人から離れるのは得策じゃないからね」
「……探しに行かないんですの?」
「訊きたいことが山ほどあるけど、何処にいるか心当たりは全然無いからね。そうだな……リーンの件が片付いたら、里へ一回行ってみようかな」
リーンにそう言ったけど、別に暢気に構えているわけじゃない。
タイミング的に今回世界樹が消えたのは、アイリさんが関わってるとしか考えられないからね。
それなのに探さないのは、待っていた方が逆に会えそう……そんな気がしているからだ。




