39話 そして
ここが帝城ということや、アイリさんが行方不明という話の後、リーンは帝都に入ったところから、俺を見付けた時のことまでを、思い出しながら話してくれた。
そして今、俺の頭の中ではその話を絶賛整理中。
先ずリーン達が帝都に入って見付けたのは、大勢の倒れている人。
重症な人はおらず、全員が疲労困憊というか、衰弱状態だったが、当然放っておけないので助けようとするも、その数が多すぎた。
だからひとまず救助と俺を見付るのは後にして、帝城がまだ機能している可能性を期待し、増援を頼む為に帝城までやって来たが、帝城の中も街中と同じ状況だった……と。
ただ違ったのは、半狂乱の人間が一人襲いかかってきて、そいつと戦闘になったこと。
しかし襲ってきたにしてはろくな戦闘力がなく、あっという間に捕縛して戦闘は終了。
そして捕まえてみれば、その正体は皇帝だった……と。
リーンが教えてくれた外見によると、あの根が張った状態ではなく、普通の人間……いや、普通のジャバの状態に戻っているようだ。
それで今は、魔法と物理的な拘束を厳重に施し、皇帝の寝室にて監禁中……と。
一応皇帝だから、牢屋に入れるのは『今は』やめておこうって判断したらしい。
そして俺の件はというと、城内の捜索中にリーンが地下牢で見付けたが、その時はユノの姿だった。
しかし、しばらくしてユノの身体が突然光だし、その光が収まった時に、俺がユノの少し横に現れ起き上がった……と。
刻印は魂と魂を繋いでいたから、部屋が壊れたついでに刻印も壊れ、合体が解除されたんじゃないかと思うんだが、リーンの話にはそれを裏付ける何かはなかった……と。
まあ、リーンの話を整理すると、こんなところか。
「さて、ちょっと外へ行ってくるよ」
「突然どうしましたの? 外に何かありますの?」
「いや、皇帝も捕らえられているし、帝都に危険はなさそうだけど、何が起こるか分からないからね。早く帝都を正常にするために、俺も救助を手伝おうと思ってさ」
◆◆◆
城から庭に出てきたが、よく考えたら俺は元の姿に戻ったんだから、家臣さん達が俺を知っているわけはない。
だから見知らぬ子供な俺が先頭を歩き、その後ろにリーンとユノが歩く構図を、家臣さん達が不思議がるのも当然といえば当然で、俺に目茶苦茶視線が集中してくる。
「さて、自己紹介をどうするか」
「あっ、一応初対面ということになるんですね」
「そうそう、誰も俺のことは知らないんだよ。だけどさ、正直には言えないだろ? だからといって、普通の男の子ですって振る舞うのは、無理だと思うんだ。これから何かする時や、リーン達に話をする時も、こんな接し方になるだろうからね」
「そうですわね。あの男の子、無礼ですわってなりそうですものね」
「仕方ない。俺もメイド服を着て、マスカレードマスクを付けるか。それなら多少は……」
「いえ、もっといい方法がありますわよ。私、思い付きましたわ」
「良くない案な気がするが、一応聞かせてくれるか?」
「酷いですわね。名案ですのよ。歳は若く見えますが長く生きている仙人様で、山の中で私とユノーンを助けてくれた恩人ってことにすればどうです?」
「お! それなら誤魔化せそうな気も」
「そうでしょう? えっへんですわ! それでは早速」
「おい、もうちょっと案を煮詰めて」
「皆さ~~~~ん! この方は仙人様で、私の恩人なのですわ~」
はぁ、遅かった。
仕方ない、後で設定を調整して辻褄が合うように……。
「そして~~!」
は?
そして?
「未来の旦那様なんですわ~~~!」
…………。




