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34話 暗転

 世界樹を消滅させたことに、あの人が関わっているかもしれない。


 そんな言いたくもない話を、ユノがわざわざしたのは、否定して欲しかったのもあっただろうが、否定出来る案なんて思い付いてない。


 だからといって肯定なんて出来るわけなく、話を聞き終わって何も言わずにいると、ユノもそれを察したのか何も言ってこなかった。


 だが、そんなお通夜状態の地下牢は、階上へ続くドアの向こうから、微かに聴こえ始めた音に、急に慌ただしくなる。


《これ……階段を降りてくる足音か? まさか、あんな根の張った状態で追ってきた!?》


《どうするの?》


 どうするのと言われても、ここには一時退避しただけで、これから体勢を立て直すつもりだったから、こんな狭い場所で戦う作戦は……。



《仕方ない、ここで迎え撃つ。今ここに枝は無いが、直ぐに入り込んでくるはずだ。だからその前に、一瞬で勝負をつける。最悪の場合はV―マッスルの発動も……》



「あの? 誰かここにいるんですか?」

 

 近付く足音に、いつでも飛び掛かれるよう身構えると、ドアからこちらを覗き込む予想外の姿が。


「アイリ……さん?」


「あっ、エイジさん! こんな所にいたんですか?」


「ええ、でも、どうして、アイリさんがここに」


「エイジさんが帝都の中に入った後、中から無数の枝が出てきて、私達に襲い掛かってきたのです。それを止めるため、枝を操ろうとしたのですが、枝を操ることは出来ず捕まってしまって。でもこの上まで運ばれてくると、何故か解放されたので、誰かいないかと探していました。あっ、でも安心して下さい。捕まったのは私だけで、皆さんは何とか無事に逃げられましたから」


「そうですか」


 笑顔で返事をしたつもりだが、おそらく顔はひきつりまくっているだろう。


「どうかしたのですか、エイジさん?」


「いえ、別に何も」


「そうですか? そうは見えません……から、こうしましょう」


「な!? 何……を……」


 いつもと変わらない表情のアイリさんが、パチンっと指を一回鳴らした。


 すると俺の視界を暗幕のような物が一瞬で遮り、俺の意識は遠のいていった。




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