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30話 目的

 帝都を爆走し城へと辿り着くと、足音を消して城の壁を走り上り、最上階の窓までやって来た。


 そして状況次第で直ぐにでも突撃しようと、窓の隙間から中の様子を覗くと、そこには見覚えのある豪華な家具や絨毯が見え、その奥のベッドの上には、見覚えのあるこの部屋の主……皇帝の姿があったが、以前見た時とは明らかに異なる点がある。


 世界樹と思われる木が、身体中にしっかりと根を張っているのだ。


《おいおいおい!? 木が人に根を張ってるぞ? どういうことだ?》


《私に分かるわけないでしょ!》


《そう……だな。だが……うん、とりあえず助けないと》


《助けるの?》



 正直言えば、個人的に悪い思い出しかないし、リーンにした仕打ちは胸くそが悪くなる。


 だが、そのリーンは皇帝ですら救って欲しいと言っていたし、俺も目の前に助けられる人がいるなら、助けずにはいられない。


 好都合なことに、ここの壁に辿り着くまで聴こえていた声は、今は全く聴こえてこないし、他の人間が部屋の中にいる気配もない。



《助けるしかないだろう……!?》


『デュフフ、よく来たわね』


 隙間から中に入ろうと身を乗り出すと、それまで朦朧とした表情をしていた皇帝の目がカッと開き、その口からは何とも気味の悪い声が発せられた。



「……お前、誰だ?」


『馬鹿な質問。私は皇帝。世界の全てを掌握する皇帝』


「皇帝? まあ、見た目はほぼ皇帝だが、本物か? 何とも奇妙な状態だぞ?」 


『愚か! 私以外に皇帝はおらぬわ! 私がこの世の全てを操る皇帝! 見えるであろう? 世界樹ですら、このように私の思いのままなのだ!』


 コイツが世界樹を操ってる?


 アイリさんは、人間には世界樹を操ることは不可能って言っていたから、コイツは人間じゃないとか?


 う~む、情報が足らない。


 もう少し探りを入れるか。




「お前が皇帝で、世界樹を操ってるとしよう」


『そうだと言っている、愚か者め』


「じゃあ、目的は?」


『目的? 目的……目的………』


 おいおい、黙り込んじゃったけど、まさか目的無しか?



 


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