26話 餅屋
この件にエルフが関与しているとして、どうして帝都を襲ったのか。
なぜそれが普通の木ではなく、世界樹だったのか。
いや、そもそもこれって襲われたんじゃなく、遅くなったけど神様が世界樹を復活させて、それが運悪く帝都に生えた可能性は?
……などなど、あの木が世界樹と知らされてから、救出方法も含めて考えが纏まらず、一旦アイリさんとリーンが待つ馬車に戻った。
餅は餅屋というように、世界樹とエルフのことならエルフってことで、良いアイデアでも貰えるかと思ったが、俺の状況説明を聞いたアイリさんの表情は、あまり良くない。
「ユノーン、それで、どうやって助けますの?」
考え込むアイリさんの意見を待っていると、アイリさんの横に座っているリーンが、代わりに身を乗り出してきた。
おいおい、リーン。
俺の話をちゃんと聞いてたか?
「リーン様? もう一回現状を説明しますよ? 助けるにしても、ぶっちゃけますと世界樹は収納出来ません」
「そう言っていましたわね」
「土を収納して脱出用のトンネルを作るのも、それを使って脱出するのも、凄く危険です」
「そう言っていましたわね」
「そして私の最高火力Vーマッスルで世界樹に穴を空けるとしても、ユノに聞いたところでは、世界樹はかなり固いそうなので、中に届くまで穴を空けられるかどうか分かりません」
「そう言っていましたわね」
「それにもし穴が空いたとしても、世界樹が枯れてしまうかもしれません」
「そう言っていましたわね」
「そしてVーマッスルを一度使えば、その後に敵意を持ったエルフが現れたり、皇帝達が恩を仇で返してきても、対処のしようがなく、リーン様達が危険です」
「そう言っていましたわね」
「つまり、ほぼお手上げ状態です」
「そう言っていましたわね。でも、助けますわよね? 私が助けて頂いた時のように」
……確かに助けるつもりだけどさ。
うーん、でも。
なんか行動が読まれたようで、ちょっとしゃくだな。
「でもリーン様? 帝都を助けても良いんですか?」
「それはどういうことですの?」
「このまま世界樹を放置すれば、今までのことへの仕返しになりますし、簡単に皇帝の座に就けますよ?」
「な!? な、な、な、な、な! そんなことを考える人間だと思ってますの?」
「全然思ってません。そんな人間だったら、ここに来るまでにサヨナラしましたよ」
「むむ……」
「泣き虫だけど頑張り屋で、自分のことより他人のことを心配出来るリーン様なら、そんなことは絶対考えていないと分かっていましたが、帝都を助ける前に一応確認は必要かなと思っただけです」
「むむむ……」
ハッハッハ。
やってやったぜ。
《ねえ》
《ん?》
《イチャイチャしてるとこ悪いんだけど》
《今のどこにイチャイチャが?》
《それは……まあ、今はいいわ。それよりも》
《それよりも?》
《あれって、世界樹なのかしら?》
は?
いやいや、ユノが世界樹と言ったんだが?
どうした餅屋?
しっかりしてくれよ!




