23話 帝都への道
元家臣さん達が乗った数十台の馬車に先導され、サジタリウス家の紋章が施された馬車は、戦闘が得意ではなく今回の同行を諦めた元家臣や元使用人、そして多くの街の人に見送られ出発した。
そして今は、帝都へと続く街道を順調に進んでいるんだが、俺とリーンが乗っている馬車の中が大丈夫じゃない。
「皆さん、ありがとうですわ……ぐひっ……ずびっ……」
出発する時もそうだったが、休憩で寄った街や街道で声援を送ってくれる人を見ると、リーンがこんな状態になってしまう。
今まで一人で頑張ってきたから、これも仕方ないことだろうけど、そろそろ気を引き締めてくれないと。
間もなく旧サジタリウス領から出て、皇帝が元々管理している土地に入るそうだからな。
「リーン様、涙や鼻水を垂らすのは、そろそろやめて下さいね」
「なっ!? 私は鼻水なんて、垂らしていませんわよ!」
「そうですか。それならよろしいですけど」
「むむむ……あら!? 馬車のスピードが落ちていきますわよ?」
スピードが?
お!? 本当だ、ゆっくりスピードが落ちていく。
だが、おかしいな。
まだ休憩って時間じゃないはず……ああ、なるほど。
休憩で停車するのでないなら、進行方向に何かあったんだろうと窓から外を見てみれば、街道の先にはサジタリウス家のものではない紋章の旗が見える。
「リーン様、あの紋章はどこの家のものです?」
「……現皇帝、ピスケス家の紋章ですわ」
◆◆◆
サジタリウス家の旧家臣さん達を集める為に張り紙をし、それが冗談ではないと分かってもらう為、サジタリウス家の紋章を付ける馬車を注文しただけでなく、近隣の町や村からは家臣さん達を乗せる為の馬車や、騎士が騎乗する為の馬を買い集めた。
それには結構なお金が掛かったが効果はバツグンで、今これだけの元家臣さん達が同行してくれている。
しかしその俺の派手な行動は、当然サジタリウス家を良く思っていない奴にも知られるだろうから、こんな展開になる事も覚悟はしていたが。
ちょっと待ち伏せている人数が、多すぎじゃないか?
ここからは旗が辛うじて見える位で、正確な人数は分からないが、あそこにいるのはこっちの数倍どころじゃないぞ。
「ちょっと行ってきます、リーン様」
「え? ちょっと? 一人で戦うつもりですの? 無茶ですわよー!」
リーンの返事を聞く前に馬車を飛び出し走り出すと、後方からは俺を引き留めようとするリーンの声が聞こえるが、この状況……俺が無茶をしなくちゃ駄目だろう。
あれだけの数と正面からぶつかれば、こっちの被害はとんでもない事になるだろうからな。




