20話 大丈夫
皇帝戦争に参戦すると決めた翌日。
旅支度を整える為、リーンの家へとやって来たが、想像してたのよりかなり酷かった。
おそらく、元々住んでいた建物じゃないんだろうな。
場所は街中ではなく、俺達が会った森の近くにあり、建物も廃墟と言った方がいいほどだから。
そしてこの家でリーンの帰りを待っていた人だが、誰も居なかった。
良く考えれば当主がリーンだから、母親も既に亡くなっているか。
……よく一人で生きてきたものだ。
ポンコツっぽいとか思って、すまなかった。
「何ですの?」
もしかして声に出ていたか?
でも、正直には言えないな。
「なんでもないよ」
「そうですの? それなら良いのですが、それにしても……」
「ん?」
「本当にその姿で、皇帝戦争に出られるのです?」
その姿か。
まあ、確かに戦闘向きの格好ではないな。
着ているのはロング丈のメイド服で、顔にはマスカレードマスクだからね。
ユノを知っている人に気付かれないようにすると、重装備の鎧で顔と身体を隠すことになるが、それは俺の戦闘スタイルに合わない。
それに戦闘スキル持ちじゃない俺だ。
鎧を装備していても、強力な攻撃が当たったら、耐えられないだろう。
だから帝城でパクってきた物から選んで、この謎の戦闘メイドって感じにしてみた。
これなら身軽で、スキル発動の邪魔にならない。
それに当主に同行していても一応変じゃないし、アイリさんも一緒の格好でいられるからな。
「俺の戦い方はスキル頼りだから、これで大丈夫なんだけど、駄目か?」
「いえ、駄目ではありませんわ。エイジ様にまともな装備もお渡しできないのが、申し訳ないだけですわ」
「あー、エイジ様じゃないだろ? そしてユノでもない。今日から俺はユノーンだろ? サジタリウス家の謎の戦闘メイドのな。だから気にするな」
「そうでしたわ……でもそれは、ユノーンも同じですわよ?」
ああ、そうか、そうだな。
メイドなんだから、所作や言葉遣いには気を付けないとな。
「えーと、私はサジタリウス家の戦闘メイドですよ? 気にしないで下さい、リーン様……こんな感じかな?」
「大丈夫ですわ。よくできましたわよ、ユノ―ン。ふふふっ」




