18話 延期
夜には魔力も十分に戻って、また色々試せるだろうから、それまでに解決策を考えてくれと伝えると、ユノは納得したのか話し掛けてくることは無くなった。
それで解決出来れば良いが、そう簡単にはいかない気がする。
だから、合体状態で今後活動するにはどうしたら良いかを、長時間に渡って話し合うことになりそうだが、金髪ドリルとの話も長くなりそうだ。
今見ていた事を、口止めしないといけないのだから。
「おーい……」
「わ、私は、リーン・ド・リル・サジタリウス。十二家の一つ、サジタリウス家の当主ですわ。助けていただいて……でも、身体は大丈夫なんですの?」
近付き声を掛けようとすると、金髪ドリルは立ちあがって、ユノの姿の俺にペコリと頭を下げた。
「今のところは大丈夫だけど……、質問して良い? 十二家って?」
「あら? まさか知りませんの? この帝国は、十二の国が建国の元になっていますのよ。それが十二家と呼ばれているのですわ」
「へぇ」
「そして皇帝は、その十二家から選ばれるのですわ」
「皇帝……」
嫌~な事が思い出される言葉だ。
「あっ、でも、安心して欲しいですわ」
「どういう事?」
「私は、恩を仇で返すような事はしませんわ。ここで見たことを、報告するつもりはありませんわ。それに我がサジタリウス家は、皇帝や他の十一家とは考えが違いますし」
「?」
「男性を奴隷のように扱うのは、反対ですの」
「そうなんだ。じゃあ次の皇帝は、サジタリウス家から出るといいな」
「そうですわね……そうなりたいですわね」
「何か問題でも?」
「皇帝は、十年に一度開かれる【皇帝戦争】と呼ばれる、魔法も武器も何でも有りの戦いを制した家から選ばれるのですわ」
「戦争で決めるってこと?」
「ええ。戦争といっても、各家から参加するのは一人だけですわ。そしてその戦いもトーナメント制で行われるので、平和的ですわ」
代表者一人が戦うからって……平和的か?
まあ、国単位での戦争じゃないだけ良いが。
「ちなみに、いつ開催される? その【皇帝戦争】ってのは?」
「来月ですわ」
「ぶっ!? 直ぐじゃないか! それで? サジタリウス家からは誰が?」
「私ですわ」
「え?」
「私ですわ……。ですからこの森で戦う練習をしていたんですの。そしたら突然襲われ」
「ドレスで戦闘訓練?」
「仕方ないのですわ! 我がサジタリウス家は、十二家とはいっても衰退の一途で、私はこのドレスしか服は持ってないですし、家臣は一人もいないのですから!」
それならドレスを着て、戦いに向いてなさそうなリーンが出るしかないが……。
「そうなったのは、反対意見を言ってるから、皇帝や他の家に嫌がらせでもされてってところ?」
「……ですわ」
ほ~。
へ~。
ふ~ん。
≪ユノ、聞こえるか?≫
≪何よ?≫
≪リーンを襲った理由は?≫
≪偶然見かけたからよ。弱そうだから、刻印を打つのに良さそうかなって≫
≪そっか、合体解除は延期だ。リーンに罪滅ぼしをしろ≫
≪はぁ? 罪滅ぼし?≫
≪そうだ、合体解除は延期して、【皇帝戦争】に殴り込みをかけるぞ。十一家と皇帝をブッ飛ばすから、協力しろ≫




