17話 身体は
『収納した刻印を、俺とユノの間に逆向きに付けてみようかなと。もし刻印を付けられたら【逃げるな】【人に危害を加えるな】とか、命令出来るだろうから、試してみる価値はあると思うんだよね』
数十分前、そんな事を言っていた俺を、出来れば殴って止めてやりたい。
確かに言ってたように、刻印は付いた。
何でもありだな俺のスキルって位、簡単に。
だが、その後がマズかった。
『あばばばばばば!?』
刻印を付けて数秒後、そんな声が出てしまう程の電流が全身に走り、気が付けば俺はユノと合体していた。
ただ合体といっても。
見た目はユノ。
中身は俺。
こんな感じだ。
そしてユノの魂はというと、俺に身体を操る主導権を取られたので、この身体にニート状態で同居している。
たぶんユノは弱っていたから、主導権を取れなかったんだろうが、それでも俺の魂に直接話し掛けてくることは出来るようで。
≪アンタ、私に何をしたのよ?≫
≪お前から奪った刻印を、逆向きに付けてみた≫
≪は? 奪った? 逆向きに付けた? そんな事、出来るわけないじゃない!≫
≪出来たから、お前は力が出なくなったんだが?≫
≪なんて事をしてくれたのよ! ≫
合体状態になった事を理解した直後には、脳内でこんなやり取りをする羽目になってしまった。
当然二人ともこんな状態が良いわけないから、合体状態を解除しようと色々試しているが、元に戻る気配が無ない。
ユノによると、刻印は魂と魂を繋ぐので、魂が相手との間を自由に往き来しないよう、相手を屈服させる必要があったのに、それを無視して刻印を繋げた事が、こうなった原因じゃないかということだが、元に戻る案もそれを試す魔力も尽きた。
おまけに辺りも少し暗くなってきたから、一旦切り上げるしかない。
未だに口をパクパクさせている、金髪ドリルも放っておけないしな。
「アイリさん、取りあえず戻りましょう。ちょっと直ぐには元に戻りそうもないです」
「大丈夫でしょうか?」
このとんでもない状況を理解し、見守ってくれていたアイリさんに声を掛けると、心配そうな顔をする。
「ユノは弱っているので、俺に取って代わって主導権を握ることは、出来なさそうですよ」
「いえ、心配はそれだけではなく、ユノの力が無くなったら、エイジさんはどうなるのかと」
そうなんだよな、そこも問題なんだ。
この合体状態でユノが消滅したら、俺も消滅するかもしれない。
だからと言ってユノに力を与えたら、主導権を握られるかもしれないし。
そのあたりのことは、後でユノと話し合うしかないだろうな。




