13話 刻印
誰か説明してくれよ!
褐色姉さんに迫られ発した、そんな俺の心の叫びが聞こえてしまったんだろうか。
「エイジさんから離れなさい!」
裸にされた俺の上半身に、今まさに褐色姉さんが覆い被さろうとした時、その声は森の中に響いた。
助かった……なんて思えない。
最悪の事態だ。
アイリさんの存在は隠したかった。
エルフがいるなんてバレたらどうなるか、想像するまでもない。
現にアイリさんの姿を見た褐色姉さんは、アイリさんから距離を取るように、俺の上から飛び退き身構えているんだから。
「アイリさん、危ないから早く戻って!」
「いいえ、戻りません。これは私に関わる問題です。ここを離れるわけにはいきません」
「アイリさんの問題?」
「はい。エルフとエルフの問題です」
◆◆◆
エルフとエルフの問題。
アイリさんは確かにそう言った。
それはつまり、この場にアイリさん以外にエルフがいるってことで……。
「ユノ、どうして貴女がここに?」
「アイリこそ、どうして消滅してないの?」
アイリさんの問いに反応したのは、驚くことに褐色姉さんの方だが、褐色姉さん……ユノからはどうしてだろうか。
同胞と再会して嬉しいという感情が、微塵も感じられない。
「それは私に、消滅していて欲しかったということですか?」
「あら? そんな事は言ってないけど? それより、どうして消滅してないの?」
「私はある方に助けられました」
「へえ、それはそこに転がっている男かしら。でも全ての力を取り戻してはいないようね」
「貴女こそ、どうして姿を保っていられるのですか? 世界樹は無く、人々からの信仰も集まらないというのに」
「クスクスクス、信仰ねえ。そんな物は作ればいいのよ」
「どういうことです?」
「アナタが知らない力が、私にはあるのよ。せっかくだから教えてあげようかしら。私はね、相手の胸と自分の胸を合わせることで、相手に隷属を強いることが出来る刻印を打てるの」
「そんな術を……。まさかさっきエイジさんに覆い被さっていたのは?」
「そうよ。この男は危険なのよ。世界樹が無くなり力を失ってから、私もまだ全ての力を取り戻せていないけれど、エルフである私を一瞬ではあるけど追い詰めたのよ。だから刻印を打とうとしたわけ」
「貴女という人は」
「力を使い果たしたのかしらね、直ぐに動けなくなったから、簡単に打てるところだったのに。そうだわ、気が変わったわ」
「!? きゃあ!」
な!?
突然の事に俺は当然として、アイリさんも反応出来ず、四方八方から伸びてきた蔦や木の枝が、彼女の四肢へと絡み付く。
「以前のアイリだったら、こんな術で捕らえる事も出来なかったけれど、やっぱり力は殆ど戻っていないわね」
「離しなさい!」
「嫌よ。今の力の無いアナタなら、私の隷属の刻印も効くかもしれないでしょ?」
「や、止めなさい! きゃあ!」
アイリさんを捕らえることなく、彼女の周りでウネウネと動いていた蔦等が、ゆっくりと彼女に絡み付くと、身に付けていた物全てを引き裂いてしまった。
お読みいただき、有り難うございます。
ここからは週一話位の更新になりますが、ちょくちょく出てくる予定の性的表現が引っ掛からない限り、更新していきますので、よろしくお願いします。
その表現は不味いよって所など有りましたら、教えていただけると嬉しいです。




