第9話
「これかな?ってか俺のじゃないけどこれは一体?」
「それがこの世界で一番大切な物だよ。どういう仕組みかわからないけど、この中には色々なデーターが入ってるみたいなの。地図から自分のステータス、お金や経験値、相手のデーターも赤外線を当てると見えるみたい。職業もこの携帯で決めるんだよ」
たくさん喋ったせいか、結衣さんは目の前の紅茶を一気に飲み干す。
職業?データー?赤外線?この言葉を聞き、瞬時に理解する。なぜなら昔見た小説に似たような話を読んでいたからだ。
「つまり、職業を決めてレベルを上げて、ボスを倒せばクリアってことかな?」
「すごい。よく今の説明だけで理解出来るね♪」
伊達にゲームと小説を読むことしか取り柄がありませんから。
「まず一番最初にすることは職業を決めることだよ。職業を決めないと只の村人でなにも出来ないからね。職業はランダムで3つの候補が出てくるの。その中から一つを選ぶんだよ。職業も戦闘向きのものもあれば、不向きのものもあるの。お父さんは3つとも不向きのものが出たみたい」
だから似合わない接客業であるマスターをやってるのか。
「悪かったな。似合わなくて」
あのおっさん、また心を読んだ・・だと?
「でも、接客業などの生産系の職業はお金を稼げるし、メリットもあるんだよ。私の装備もお父さんに買ってもらったし」
なるほど。自分ではゲームクリア出来なくても、チームを組んでサポートするという意味では大切か。
「それに転職用の本もあるみたいだよ。すごくレアでめったに手に入らないんだけどね。まずは職業を決めちゃおう♪」
職業は大切。職業によって自分でクリア出来るかどうか、生き残れるのか、他の人との差もかなり出るだろう。
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