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エッセイ集

異世界で よく見る魔法と 医療の差 宗教踏まえて 考えてみた(字余り)

作者: 花咲き荘




 皆さん、異世界転生・異世界転移もので気になる事ってありませんか?


 私は異世界転生ものが大好物で、色々な作家さんの小説や漫画を読ませてもらっています。


 しかし、その中でとても気になることがあります。それは、ほとんどの作品に出てくる「回復魔法」という存在です。


 「魔法があるのだから回復魔法が存在しても何らおかしくない」「ファンタジーだから……」など、私も執筆している身であり、回復魔法・治癒魔法を作中に書いているのですが、どうしてもこの概念が納得いかないのです。


 そこで、私なりの「魔法」と「医療」の差を以下に述べつつ、そこにどのような特徴や概念が存在するのかについて考察していきたいと思います。





 まず、異世界ものにはほとんど必須事項として「HP」「MP」と呼ばれるステータスがあります。


 「HP」は「Hit Point」の略であり、いわゆる生命力を指し示す指標になります。このHPが0になる事が「死」を意味するのです。


 では、「MP」は何を意味しているのでしょう。


 「MP」は「Magic Point」もしくは「Mana Point」の略であり、基本的には精神力を指し示す指標になります。このMPは現代社会には認識できない数値であり、この数値が0になったからといって「死」に至るわけでは無いのが異世界物の特徴になります。


 つまり、異世界物の特徴として、「HP>MP」の構図が出来上がっていると言えます。





 さて、皆さんは「死」の定義について調べたことがありますか?


 私は今回、この文章を執筆するにあたり現代社会の「死」について色々調べてみました。


 一般的に「死」を確認する手順として、


(1)手首の動脈(橈骨動脈)または首の動脈(頸動脈)を触れて脈拍を確認

(2)ペンライトなどを用いて対光反射の消失と瞳孔散大を確認

(3)胸部の聴診による心音と呼吸音を確認

(4)心電図を見て心拍を確認


 という4つの手順を用いるそうです。そして、この4つが無い事を確認すると「≒死」という状態と判断するそうです。ただ、この状態から心肺蘇生などで息を吹き返す場合や「脳死」という場合もあるので、ここでは「仮死状態」とさせてもらいます。


 (2)について少し説明すると、某科捜研の○シリーズでよく見るシーンに、ペンライトを当てることで瞳孔の変化を見るという作業があります。それが(2)になります。

 

 通常、光が当たると「縮瞳」と呼ばれる瞳孔が収縮するという動きが瞬時に見られます。しかし、脳神経に障害をきたすと瞳孔にも異常が確認され、「散瞳」や「瞳孔不同」と呼ばれる両眼の瞳孔に左右差が見られるなどの症状が見られます。その瞳孔に生じている異常の種類を確認することで、体がどのような状態かを確認できるのです。


 「脳死」などの特殊な状態を除くと、以上の方法で「死」を認識しているそうです。



 変わって、異世界ではどうでしょうか。


 基本的に「能力鑑定」などによって「HP」が消滅することが「=死」という事になっているものが多いと思われます。ここに現代社会でいうところの「仮死状態」や「瀕死状態」という様な状態が存在しないことがベターで、「生」と「死」の境界が「HP」の有無でのみ確認できます。





 ここまで、現代社会と異世界との「死」の概念の差について、ごく簡単ではありますが書かせてもらいました。


 では次に、本題である「魔法」と「医療」の差を考察していきたいと思います。


 「医療」とは「医学」という、いわゆる「科学」を用いた治療を指しています。基本的には今ある状態を何とか元の正常な状態に近づけていく行為であり、そこには医師の手術の腕などの差はあるにしろ、人間のなせる最大限の効果しか見出せません。


 しかし、「回復魔法・治癒魔法」を私たちが日々見ている「医療」と同じに捉えてよいのでしょうか。


 私の答えは「否」です。


 異世界における「回復魔法」は大きく分けて2種類あると私は考えています。


 まず一つ目が、現代社会の「医療」という概念を踏襲しつつ、人のなしえない「奇跡」を短時間で現象化しているパターンです。例えば、「傷口は治っていても血が足りません。血になる物を食べさせて安静に。」なんて言葉を聞いたことはありませんか?


 これは皮膚や血管、筋肉や神経などの肉体的な損傷を治癒しているという現代社会の「医療」の基本を踏襲しつつ、既に体外にあふれ出てしまった血を戻すことは出来ないという考え方です。


 2つ目が、大怪我を負っても回復魔法によって瞬間的に回復し、戦線復帰できるというパターンです。


 これは、現代社会の「医療」とは全く考え方が異なるものであります。作品、作者によってそれぞれ思惑があるのでしょうが、おそらくその人物の肉体を治癒しているのではなく、その人物の体の時間を戻して、現在の肉体としてアウトプットしているのではないかと私は考えています。


 もしそうなら、回復魔法が大きく2種類に分けられるとして説明が付くと思います。





 では、後者の場合、何故その世界に「死」という概念が存在するのでしょうか。


 もし回復魔法によって体の時間を戻すことが出来るのであれば、「死」という概念は生まれないはずです。肉体の時間を戻す頃が可能なら、健康な体を維持できるはず。つまり、死ぬ前に体を健康な状態に戻せば理論的に死ぬことはあり得ないという事です。



 そこで、見えてきたのが「神」の存在です。


 異世界物は大抵、神によって「お前を他の世界に転生させる」やら「世界を救ってくれ」など伝えられて異世界に飛ばされます。つまり、神が絶対的な力を有しており、神の作ったルールの中で人々は生きているのです。


 私は色々な小説を読んでいて「戦闘中」の回復魔法と「日常」の回復魔法の描写が気になっていました。先にも述べたように「時間を戻す」タイプの回復魔法なら日常生活で使用すれば人は死にません。しかし、実際はそうなっていない。


 つまり、回復魔法の行使には何らかの制限が設けられているのではないかと私は考えます。


 回復魔法が「神聖魔法」というカテゴリーに属することが多いのは、「回復魔法」=「神の奇跡」だからであり、日常生活で人の生死を扱えないとすれば、「死」の概念が存在することにも納得が出来ます。





 結論として異世界で「魔法」と「医療」が共存するのは、「神」という絶対的な存在があることが大きいという事です。


 「魔法」が神の「奇跡」だとすれば、「医療」は人間の「努力」の結晶だと言えるでしょう。




最後まで読んでいただきありがとうございます。


基本的に医療についてはそこまで詳しいわけでは無く、ただの疑問を趣味程度調べてに書いているため、もしかすると誤植や矛盾があるかもしれません。何かご意見・ご感想等ありましたら作者まで送っていただけると嬉しいです。

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