魔法学園において、悪役令嬢という地位を築いた私と、いつも婚約者の王太子をとったと私にいじめられる立場のヒロインが企んだこととは?
「……あれと婚約を続けることにもう耐えられませんわ」
「私もあの人と一緒にいるのは疲れました……」
「疲れますわよねわかります……」
「胸元をじいっと見てくるあの視線はもう……」
私は目の前にいるピンク髪のご令嬢とひそひそと彼女の部屋でお話をしていました。
いえ、彼女はマリアさん、男爵令嬢でして、庶民であった彼女は男爵の落しだねということがわかり、15の時引き取られ、魔力の高さから、この魔法学園に入学したのです。
私は公爵令嬢であり、王太子殿下の婚約者のイリューシアといいます。
実は彼女は、殿下のお気に入りであり、寵愛を受けている女性なので、私とは恋敵になるのですが。
実は彼女が暗い顔でお話があるのですが、と私に声をかけてきて、二人きりで話をしてみると、私と同じ思いをしていることがわかって意気投合したのですわ。
「あの視線が私もいやですわ」
「私、あの方を愛していないと伝えても、照れ隠しだなあははなんて言われまして……」
「自分勝手なのですわ。私もあの人のことを愛してませんのに、お前俺のこと好きだろときたもんです」
「イリューシア様もですか……」
殿下は女好きで有名でした。胸元や足などを食い入るように見る視線が私はずっと嫌でした。
そしてすべての女は俺を好きというあの自信満々なところとか……。
マリアさんもそれが嫌で、あなたのことは好きじゃないと伝えても、信じてもらえないと頭を抱えています。
「……あれと一緒にいるのが私ももう耐えられませんわ」
「そうですよね」
私とマリアさんはがしっと手を取り合い、あの人をなんとかする会を結成したのです。
そして……。
「イリューシア・イブリス、お前をわが愛しい人、マリアをいじめた罪により断罪し、婚約破棄する!」
ああやっとこの日が来ましたわ。私が殿下が宣言するのを聞いて、嬉しさを隠そうと必死でした。
マリアさんは嬉しそうに微笑んでいます。ああいいですわ。私は悔しそうにしないとだめですけど。
「わかりました」
「断罪し、辺境へ送る!」
「はいわかりました」
マリアさんは小さくウインクをします。私はわかりましたと頷きます。
「そしてわが愛しいマリアと私は!」
「私、殿下のことを愛していません。婚約は致しません! それにイリューシアさんは私をいじめたりなんかしていません。だから断罪はなしでお願いします!」
マリアさんやりましたわ! 堂々とみんなの前で宣言します。これでもうお前は俺のことを好きだろなんて返せませんわよね!
「おい、マリア!」
「私、殿下のことを愛していません。ずっと好きだろなんて言われて迷惑していました。それも申し上げていたはずです。イリューシア様にもいじめられていません! 迷惑をしているのを相談にのってもらっていただけですわ!」
二人きりでいろいろと意地悪をされているとなっていましたが、このことを相談してましたの。
みんなの前で宣言をすれば殿下の勘違いが防げるという。そして破棄された私は自由を得る!
「皆さん、私は殿下を愛していません! 付きまとわれて迷惑をしていました!」
殿下はあんぐりと口をあけて呆けていました。間抜けなお顔ですわ。
私はマリアさんがこちらにきたので、彼女の手を取り、では皆様ごきげんようとあいさつをして踵をかえします。
私とマリアさんは会場を抜け出し、「あの、殿下のお顔ったら」「間抜けですよね!」と二人でひとしきり大笑いをして、そして別れたのでした。
あ、あれから、殿下は女性不信になり、皆の前で馬鹿をやらかした王太子として廃嫡され、私は違う人と婚約し、マリアさんは学園で彼氏を見つけたです。
めでたしめでたし、私たちの友情は続いていますわ。
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