8:朱音という少女
つまりこれはどういう状況だろうか。
立ち話もなんだからと、なぜか朱音を連れて自宅に連れていこうと提案したアリス。
そしてうちのダイニングテーブルを三人で囲むが、ここまで全員無言だ。なぜか朱音はちらちらとアリスを盗み見ては顔を赤くしている。あれ……あの様子は……。
というか、単純に気まずいのですが!?
「えっと……なんかさも自宅みたいな顔を二人ともしてるけど……」
ついに朱音がそう口火を切った。
まあそうなるよね。
「えっとだな。俺とアリスはここに一緒に住んでてだな……そのなんというか」
ああ、この先が言い辛いんだよなあ。いやでも今は平気なのか?
「つまりだな、俺の親父とアリスの母が再婚したんだよ」
その言葉を聞いて、朱音は元々大きい目を更に見開いた。なんかチワワみたいで目が外れそうで心配になるほどだ。
「賢治さん……再婚したんだ」
その言葉に込められた感情を俺は読めない。
妃山朱音。俺の幼馴染みとも言うべき存在であり、そして彼女の初恋相手は――俺ではなく俺の親父だった。
そしてその想いは消えることなく、去年まで続いていた。だから彼女は息子である俺をダシに使ってなんとか親父に会おうと画策したり、なんだりしたおかげで……当時同じテニス部に所属していたこともあり、あの二人、幼馴染みらしいし付き合ってるんじゃね? という疑惑が出たのだ。
俺からすると、そんな馬鹿なことがあってたまるかという思いでいっぱいだった。幼馴染みだからと言ってお互いを好き合って付き合うとか、漫画やアニメじゃないんだから……。
そう口にしても周りは誰も信じず、朱音はこれ幸いとばかりに否定しなかった。理由は、その当時朱音に想いをよせて、しつこいぐらいアタックしてきたテニス部の部長の存在があったからだ。
要するに、俺は良い盾として利用されたのだ。
結果、朱音は相変わらず俺の親父ラブ一直線で、そしてそれを言っても信じない部長の嫉妬で俺は徐々にテニス部で居場所をなくしていった。
そうして嫌気が差した俺はテニス部を退部し、そして親父はそれと同時に仕事なのか趣味なのか海外に行く事が増え、自然と俺は朱音とも疎遠になった。
要するに、それぐらいに朱音という女はろくでもない奴なのだ。
だが、親父が再婚したことをおそらく知らなかったのだろう。いくら俺でも、その心中ぐらいは察せる。
「ショックかもしれないが……」
「ま、それはどうでもいいんだけど」
「良いのかよ!」
お前、俺がクソ長モノローグで過去を語ったのが無駄になったじゃねえか!!
「もう賢治さんのことなんてとっくに忘れたもん。なんか、あの時はごめんね?」
「はあ!? お前のせいで俺はどれだけ……って今はその話はどうでもいい」
「とにかく――妃山さんと賢兎君の関係性は何となく理解したけども、今は賢治さんはうちの母と再婚。で、二人は今新婚旅行中、だから今は義理姉弟としてここに同居しているの。で、出来れば……このことについては口外しないで欲しいのだけど」
アリスが事務的にそう説明すると、朱音が目を輝かせた。
「な、生アリス様があたしに話し掛けてくれた!?」
「な、なま?」
その謎のリアクションに、アリスが顔を引き攣らせた。
あ、これもしかして――俺は嫌な予感をビシビシ感じる。
そしてその後、朱音はとんでもない爆弾発言をしたのだった。
「あ、あたし、去年、廊下でアリス様を見掛けた時からずっと――好きでした! 付き合ってください!!」
お前、おじさん好きじゃなかったのかよ!!
女もいけるクチなのかよ!! そしてどういうタイミングで告白してんだよこいつ!!
もうやだ、この幼馴染み。
なんやこいつ……
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追放された王子が竜王の力で規格外でチートな国作りをするお話です! 良ければ是非読んでみてください!
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ハズレスキルというだけで王家から辺境へと追放された王子はスキル【竜王】の力で規格外の開拓を始める ~今さら戻れと言われても竜の国を作ったので嫌ですし、宣戦布告は部下の竜達が怒り狂うのでやめてください~