008話 転移先
2人は、黒い空間にいた。
その空間は、どちらが上か下かも分からない。
所々星が白く光っている。
そこは、“次元の繋ぎ目”と呼ばれている場所だった。
「兄さん。そっちは終わった?」
「終わってる。澪はどう?」
「今終わった。」
「F5のエリアに創るぞ。」
そう言って、双子の兄の方が魔法を行使した。
◇■◇
「ユーリ、って寝てんのか!?おーい........起きろーユーリ‼︎」
うるさいな.....
そう思って俺が目を開けるとそこは、青い空だった......って、え⁉︎
あ、そういえばあの後に転生魔法を使ったっけ。
だから俺達が創った世界にいるのか。
えっと......澪はどこにいるんだ?
そう思って、探知魔法を使った。
...........普通に隠蔽魔法と浮遊魔法を使って空を飛んでいた。
探知魔法を使って分かったのだが、ここは王城の庭らしい。
ついでに言うと、俺達2人は王族として転生してしまったようだ。
とはいえ、ユーリが知っている人を「誰だ?お前」と言うわけにはならないし.......
〔この人は僕の兄さん、クロード=フォン=アルトリア、だよ〕
(あ、どうも。なるほど、君がユーリか?)
〔そうだよ。君は?〕
(俺は........創造神レイヅキ。
正にこの世界を創ったのは俺達のことだ。)
〔この世界の...........僕は転生者なんだ。ユーリ改め神宮寺 翼です。〕
(あ、知ってる。創造神だから。それにしてもすごい偶然だな。お前の感覚では13年ぶりか?
俺は地球で、霞月 零と名乗ってたんだが)
〔え?マジか.......〕
(ということで、協力よろしく。ツバサ)
「どうしたの?ぼーっとして。」
(あ、)
〔忘れてた..........ここは僕に任せて〕
(了解)
僕とツバサが交代した。
〔いや、まだ眠いな〜って〕
「そうか?ならいいのだが........
先に帰ってるぞ。」
そう言ってクロードは去っていった。
「ミオ、いつまで隠れているつもりだ?」
そう言ったら、先ほどから空中にあるぼんやりと見える魔力の塊が揺らいだ。
そして、隠蔽魔法が解除された。
「さすが神王。 これくらいの隠蔽魔法に気付くなんて、さっすが兄さん‼︎」
目をキラキラさせてこちらを見ている。
〔.............................これくらいとは.......〕
ツバサが何か呟いていた気がするが、気にしないでおくとしよう。