ここに至るまで
翌日
今日は朝から兄上、メル姉、エルカ姉様、ユリア義姉上、レア先生、ルーナにミリア先輩が来ていた。俺の理論が認められたお祝いだ。さらに、ユリア義姉上の兄上であるユーリス様、宰相のガルド様らがいらっしゃった。ガルド様とは親戚になる。また父上の友でもある。
「今日はお越しいただき、ありがとうございます」
「ああ、昨日は凄かったな、マルク」
「ありがとうございます。ガルド様」
「うむ。ラルク、こんなに喜ばしい日が来るとは、トンビが鷹を産むとは正にそうだ」
「うるさいぞ。ガルド」
「まあ、いいではないか。怒るな」
「やあ、マルク」
「へい・・・」
「それ以上は言うな。マルク。お忍びなのだ」
「そうでございますか」
「ああ。昨日のことで機嫌が良い。こんなに喜ばしいことはない。王国のためにお主がしたことはどれほどか。儂の功績など霞む程だ」
「そうだな。ラインバッハ。マルクはすごいのだ」
「ラルク、お主が言っていたことは本当だった。よく、7歳であれほどの苦難に会いながら、ここまでのことをした。誇らしいぞ。これほど誇らしい国民は他におらぬ」
「ありがとうございます。ラインバッハ様」
「うむ。今日はそう呼べ」
母上がニコニコしながらこっちに来た。
「あらあら、ラインバッハが偉そうね」
「う、リネアか。久しいな」
「あら、あのお子様が偉そうに」
「待て、儂は」
「あら、今日はお忍びだから、職のことは言わないんじゃないの?ちゃんと呼びましょうか?」
「く。リネア、お手柔らかに頼む」
「ふふ。しょうがないわね」
「マルク、よくやったな」
「兄上、今日は忙しい中、ありがとうございます。苦節5年の頑張りが報われました」
「ああ、兄として誇らしいぞ。昨日は宮廷内の人間がお前の話題で持ちきりだ。週明けの水の日には発表される。その日まで宮廷や騎士たちは我先にと訓練を始めるぞ。いやあ、嬉しい」
「ふふ。アルフ様がこんなに喜んでいるのは初めて見ました。マルク君、おめでとうございます」
「ありがとうございます。ユリア義姉上」
「アルフも鼻が高いな。マルクおめでとう」
「ありがとうございます。ユーリス様」
「マルク、おめでとうございます。すごい教え子です」
「ふふ、レアが先生ぶる」
「ふふ、レア、もう私的な場では先生じゃなく、親族でしょう」
「レア先生、ありがとうございます。メル姉、エルカ姉様、お2人のおかげで魔法理論ができました。あの時、見放さずに助けてくれた、お2人がいなければ叶いませんでした。ありがとうございます」
「ん。姉弟」
「そう、姉弟なら当たり前よ、マル君」
「ありがとうございます」
緊張した顔のミリア先輩がこっちにくる。
「マルク、よかった。おめでとう」
「ありがとうございます。ミリア先輩。エルカ姉様もいますので、楽しんでください」
ミリア先輩が落ち着かない。
「緊張する。どうしよう」
「ミリア先輩、大丈夫です。気軽に話されたいいのではないでしょうか?マルク、おめでとうございます」
「ありがとう。ルーナ」
と、そんな先輩を横目に見ていたら、ライル様が。
「マルク、おめでとう。こんな凄い事をしていたのだな」
「ありがとうございます。ライル様」
「ああ、父上も来たがっていただろう」
「ええ。再来週にいらっしゃった時に色々とお話しします」
「ああ」
そんな折に父上が皆の前で挨拶をし始めた。
「皆、よく集まってくれた。今日は我が息子マルクがなした事、その祝いだ。もう皆知っていると思うが、マルクが魔法を変えた。誰でも出来る物に変えたのだ。これで王国はさらなる繁栄につながる。これほど凄いことはない。俺は誇らしい。そんなマルクを祝って今日は楽しもう。マルク、お前からも一言言え」
「はい。皆様、今日はお集まりくださり、本当にありがとうございます。ここまで来るには、父上や母上ら家族の方々、ゼルやアイナら家臣や使用人、ルーナら友人や、ミリア先輩ら先輩方に支えられ、できた事です。それらに報えることができ嬉しい限りです。これからも頑張りますので、どうぞよろしくお願いします」
拍手がなる。万雷の拍手だ。やっと大きな壁を超えられた。何と嬉しい日だ。
皆の顔が本当にいい顔だ。こういう顔を見れるなら、もっと頑張りたい。
・・・・
それから皆が楽しそうに食事やお酒を楽しんだ。皆、楽しそうに話して、騒いでいた。
「皆様、お楽しみのところ、すみません。今日は研究を助けてくれた1人を紹介したいと思います。ルーナリア・アルメニアです。ルーナ、こっちに」
「はい」
「ルーナリア・アルメニアはマルク・トルネスト氏の娘で、トルネスト氏の研究は少し違いますが、私の研究の元になる部分も多く。彼の方の理論なくては作ることはできませんでした」
ルーナの方に手を向ける。
「彼の研究の未発表部分をルーナリアから聞いたことで、ここまでの理論となりました。今回の研究は私とルーナとトルネスト氏の共同の研究です。どうかトルネスト氏の悲願を叶えたルーナリア・トルネストさんをお祝いください」
「マルク」
パチパチパチパチ。万雷の拍手だ。ああ、トルネストさん、ありがとうございました。
「ルーナリア・アルメニア、儂はトルネストの友人だった。可愛い後輩でな。良きやつだった。あの時、あいつを救えずにすまんな。そして今回はおめでとう」
「はい。ありがとうございます。へい・・・」
「うむ。それは内緒にな。あの時は言えんですまんな」
「いえ、ありがとうございます」
「ああ、これからも励め」
「はい」
「ふむ、マルクも粋なことする。嬉しい限りだな」
「ああ、ガルド」
「ラルク、お前の子供は本当に優秀だ」
「ああ。俺にはもったいないくらいだな」
「親バカだな。いや、当たり前か。あれ程ならばな」
「ああ」
「あの時の言葉に違いはないな。確かにあれ程の苦難に会いながら、ここまでやるか。ラルク、マルクは本当に凄いな。お前が親ながら、尊敬しているというのもわかるぞ」
「ああ」
「ふふ。お前も人の子だな」
「うるさいぞ。ガルド」
こうして、今日は皆で楽しみ、1日を過ごした。
短い話が2話続くので、今日はお昼に2話を投稿します。




