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常識との闘争の終結

少し長いですが、ご容赦を。

5日後


今日は陛下の前で、魔法理論を説明して、実験をする。父上と母上、ゼル。そしてルーナリアが一緒に来る。ルーナリアは断っていたが、手伝って欲しいから来てもらうことになった。


馬車に乗り、王宮に向かう。

「ルーナ、今日はごめんね?」

「いえ、もう覚悟しました。大丈夫です」

「そう。よかった。頑張ろう」

「はい。頑張りましょう」


俺もルーナも緊張していた。それを見て母上が声をかけてくれた。

「ルーナリアちゃんも、マルクも肩に力が入りすぎよ。それにルーナリアちゃんもチャンスよ。ガルドがいるの。助けてもらった恩を返さなくちゃね」

「はい」


もう少しで王宮に着くかというところまで来た。俺はもう一度確認をしよう。

「父上、今日は国王陛下と宰相閣下と宮廷魔術師長がいらっしゃるんですよね?」

「ああ。あと、軍務大臣と回復士長と近衛隊隊長もいる」

「う、緊張して来ました」

「ええ。緊張します」


「大丈夫だ。ちゃんとできるんだろう?皆、できるように協力的だ」

「そうですか」

「ああ、これが上手くいけば、王国の国力が上がるからな」

「そうですか。頑張ります」

「もう少しで着く。2人とも一度深呼吸をしろ」


すうー。はあー。と、手を上に上げたり、下げたり、ルーナと二人で深呼吸した。そうしていると、少しして王門についた。

「本日、陛下に謁見するラルク・フィン・ドンナルナだ。これが家紋だ」

「はい。・・・・確認できました。どうぞお入りください」

「わかった。ご苦労」

「はい」


「ここで、お待ちください」

「うむ」

「準備が整い次第、お呼びします」

「ああ」

・・・・

・・・・


従者の方が俺らを呼びに来た

「準備できました。どうぞ、ご案内いたします」

「ああ、頼む」

・・・・


「では、お入りください。入ったら、絨毯の切れ目まで進み、膝をつき、頭をおさげくださり、腕は胸に置いてください」

「ああ」

「「はい」」

「では、ラルク様、マルク様、そのお連れの方、お入りです」

謁見の間のドアが開く。すでに宰相閣下、軍務大臣閣下がいらっしゃり、こちらを見ている。緊張がまたぶり返して来た。


俺らは絨毯の切れ目にて膝をつく。そしてその場にいた皆が膝をつき、頭を下げる。

「陛下、御成〜」

・・・


「うむ、頭を上げよ」

「はっ」

「頭を上げよ。今日は良い報告を聞きに来た。期待している」

「はっ」

頭をあげる。陛下はニコニコしている。


「ラルクよ。今日はすごい報告らしいな」

「はっ。我が子息マルクが、魔法に関する研究ですごい理論を見つけました。こちらは魔法の概念を変える可能性が高いので、このような場を頂きました」


「であるか。では報告はマルクからか?」

「はっ」

「そうか、ではマルクよ。その魔法に関する理論を説明せよ」

「はっ」


ここから俺は魔法理論を説明した。

「ふむ。これは魔法を誰でも撃てるということか?」


「さすがでございます。陛下。訓練すれば誰でも撃てる可能性があります」

「そうか。それはすごいな。試して見せよ」

「はっ」


「では、皆様、訓練場にお越しください」

「陛下、ご退場〜」


ふう、まずは合格だ。ここからだ。まず、俺から魔法を撃つ。その後に、魔法の撃てない人に訓練してもらい、やってもらう。うちの訓練ではある程度の武術の心得があると、1時間かからない程度で撃てる。


「皆様、お入りください」

そう言われて、訓練場で膝をつき、陛下を待つ。


「陛下、御成〜」

陛下がお入りになられる。


「うむ。顔を上げよ」

「はっ」

「顔を上げよ。早く報告があっているかを知りたいからな」

「はっ」


陛下のお言葉を受け、俺とゼルが立ち上がる。

「まずは私とこちらゼルが魔法を撃ちます。その前にスキルがないか見せます」

神官が来て、スキルを調べる。すると俺のスキルはもちろん『飲み込む』だけ、ゼルも魔法スキルはない。


「では、魔法を撃ちます。陛下、皆様、お離れください」

まず俺が魔法を撃つ。そして、次いでゼルが撃つ。訓練場は歓声と驚きの声が上がった。


「ふむ、スキルなしに魔法を撃っているな。ガルド、これは凄いことでいいんだな?」

「はっ。これは聞いたことがありません。彼らのスキルには共通点がありません。これから考えるに誰でもということはありえます。もし誰でも撃てるということなら、魔法に関する概念が変わります」


ガルド様がごくっと唾をのみ、言葉を紡ぐ。

「少なくとも、魔法スキルなしで撃てるということなら、方法次第では更なる軍力や国力が上がります」


「ふむ。魔術師長、回復士長、今のは魔法であるか?」

「はい。魔法でございます」

「はい。魔法にございます」

回復士長と魔術師長が即座に息を合わせたようにお答えになる。


「そうか。では、次いで、他の魔法を撃てぬ者に試させてみよう」

「はっ、一時間ほど、お時間をもらい、被験者の方々には魔法を撃つ訓練をしていただきます」

「一時間でか。わかった。一度、解散する」

「コーネリアス、魔術師長、回復士長、見学しておけ」

「「「はっ」」」


それから、マナ量はあるが、スキルがなく魔法を撃てない人が来た。近衛隊隊員と騎士団員と文官と貴族子弟だ。

「皆様、今日はお手伝いいただきありがとうございます。では、まず理論を説明します」

説明していく。皆、それは理解してくれた。


「では、次いで、マナを感じるところです。ルーナ、紙を用意して」

「はい」


掲示された紙には体の中の絵が描かれている。

「この絵を見ていただくと。体の中に血管というものがあり、それを血が流れています。これをまず感じてもらいます」

「「「「はっ」」」」

ルーナが手の置き方をそれぞれに伝えて行く。皆それを聞いてやってみる。


「その血流を感じてもらいます。右手の指を三本をこのように左手首に当ててください。ドクドクという鼓動を感じます。これは血管の中を血が流れていく時の鼓動となります。一定のペースで流れています。まずはこちらを感じてください」


皆が指を手首に当てて、脈を測る。

「ああ。ある」

「わかるな。これが血管の中を血が流れているということか?」

「ええ。わかります。このドク、ドクとリズムをとるものが血流なのですね」

一人を除いて、皆さん、脈を感じてくれたようだ。


「うん?どれですか?」

「少し、呼吸してください。手をもう少し上にです」

「はい。・・・・・あっ。これですか。ドク、ドクと一定のペースを指に感じます」

「そうです。皆様、血流があることはわかりましたね。では次いで、その血流が流れる血管を感じます。目を閉じて、ゆっくりと、先程の血流をイメージしてください」

ルーナが各々に説明のフォローをしてくれる。


「イメージできたら、次いでそれを体の中で感じます。ゆっくりと呼吸してみてください」

スーハーと、皆、呼吸する。


「では、どうぞ体の中の血流を感じてみてください」

・・・・

・・・・

「うん?二つあるぞ」

「ええ、二つあります」

「ああ、わかるな。遅いのと速いの」

「はい、何か二つあるような気がします」


「はい。その二つあるうちの早い方が血流です。遅い方はマナです。血流が血管を通るのと同じく、マナもマナ管を通り、体を流れています」

「これがマナ」

「マナとは」

「マナを感じられた!」

「ええ、私が」

周りで見ているものも歓声が上がった。



「はい、驚いていると思いますが、次に行きます。次はマナを集めます。手のひらにマナを集めまることで、感じたマナを動かしてみます」

皆、真剣な顔だ。魔法を撃てないことで色々とあったのだろう。


「マナは、体を流れていますが、意識的にマナを動かすことができます。その呪文があります。次の通りに言ってみてください。『我が体内に流るるマナよ。手に集まれ』です。これは魔法言語で、我が体内に流れるマナよ、手に集まれ。という意味です」

この魔法言語は手にマナが集まるものだが、同時に体のマナが手に向かって流れるのを感じるのにちょうどいい。それ故に、皆、言う訓練をしてもらう。上手く言えない者にはルーナが細く教え、何度も言ってもらう。


数分して、

『『『『我が体内に流るるマナよ、手に集まれ』』』』

皆が綺麗に、はっきりと言えた。呪文を詠唱できている。


「おお、手が熱い。さっきまで遅かった流れが速くなり、手に向かって流れていく。これがマナを動かすということか」

「ええ、動きました」

「ああ、何と」

「あああああ。これは本当か」

「はい、驚きのところすみません。では呪文なしにマナを動かしてもらいます。呪文でやった時の感覚をイメージして、マナを手に向かって動くよう、試してみてください」

被験者たちは先ほどの感覚をさらに体になじませる。


・・・少しして

「「「「できた」」」

と被験者の方々が叫んだ。


「はい。これで、魔法を撃つための前段階は終了です。次の呪文を使って集めたマナで水魔法を撃ちます」

「おお、撃てるのか」

「そうか」

「「おお」」

喜びがすごい。皆、魔法を撃てると思えると顔がほころぶ。すごいな。みんな苦労しているんだな。



『マナよ。水となり、球となれ。ウォーターボール』

俺の右手にウォーターボールができる。

「では、皆さん、試してください。右手を出して、言ってみてください」

全員が右手を出す。そして詠唱を始める。


なかなかうまくいかないが、何度目かで

『マナよ。水となり、球となれ。ウォーターボール』

と、被験者の一人である近衛騎士団隊員がしっかりと言った。すると、彼の右手にウォーターボールができる。そして、後を追うように皆がはっきりと詠唱するようになっていく。


しかし、皆のウォーターボールは手の上に現れると、すぐに消えていった。それはこちらの想定内だ。

「はい。次はもう一度出して、体の中のマナを動かしたように的に向かって投げるようにウォーターボールを動かしてみてください」

「「「「はい」」」」


そして皆が呪文を唱え、ウォーターボールを出し、的に向かって撃つ。これを何回もしてもらう。皆は発動が遅いし、魔法の形も不安定になる時がある。これは訓練が必要だ。スキルがあっても同じだから、しょうがない。それでも各員が撃った魔法が的に当たる。


「おお。俺が」


「ああ、撃てた。神よ」


「自然の神々よ」


「マルク殿、ありがとうございます。何と素晴らしい。魔法が撃てず、ずっと悔しい思いをしてきました。しかし、今この瞬間に私の悩みは解決しました。あぁ、私にも撃てました」


全員が驚きと賞賛を言葉に出す。


「皆様、今日はここまでです。今の状態では、訓練しなくては戦場などでは使えるものではありません。しかし、訓練すれば出来るようになります。皆様頑張ってください」

「「「「ありがとうございます」」」」

被験者の声は、それは大きな声だった。その声での謝辞、心からの感謝が感じられた。


「すみません。従者様、陛下、並びに皆様をお呼びください」

「はっ」


従者の方が走り、部屋を出て数分後に皆が戻ってくる。

「陛下、御成〜」


「頭を上げよ。一度で上げて良い。早く結果を見たい」

「はっ」

皆が頭をあげる。


そして陛下をそれを見ると、被験者に早くするよう促す。

「よしでは、撃って見せよ」

「「「「はっ」」」」


「では、1人ずつ、撃って行きます」

そこから、4人が撃っていく。それぞれの魔法はまだ遅いがしっかりと的に行き、的に当たる。


「おお。本当に撃てたな。魔術師長、回復士長、あれは魔法だな」

「「はい」」


「で、コーネリアス、彼らは撃てなかったのだな?」

「はい」


「魔法はマルクの方法によって撃てるようになったのだな?」

「はい」


「では、ガルド、これは魔法を誰でも撃てるようになるということだな?これは凄いことだぞ。どれほどの利益を生むか」

「ええ。これは何と言うことか。聖国はうるさいでしょうね。貴族派も。ですが、それ以上に王国の利益は凄いことになります。何と凄いことか。私も興奮しております」

ガルド様が珍しく。早口で捲り上げるように言う。


「わかるぞ。ガルド。これは、なんということか、凄いぞ。マルク、よくやった。褒美を遣わす」

「はっ」

まるで謁見の間はこの世の春と言うように暖かい空間に、そして皆が笑顔の空間になっている。俺はやったんだな。


「何でも言ってみろ。褒美をやる。それとは別に多くのものをやるがな」

「はっ。では呪文の研究所を作り、多くの呪文を開発して、多くの者が使えるようにしていただきたい。それと各学院に研究をお許しください。さすれば、魔法は誰でも、どこでも使えるようになります」


「おう、何と謙虚だな。もちろんそうする。王国のためになる。ガルドすぐに頼むぞ」

「はっ」


「マルク、そうだな。本を書け。それを王国中の学院の教科書にしよう」

「はっ」


「来週にはとりあえず魔法を誰でも撃てる理論が見つかったと発表致しましょう。陛下」

「そうだな。コーネリアス。これは大きいぞ」

「ええ。そうでしょう。私も忙しくなります。騎士団にも魔法を使えるものが増えれば戦術が変わりましょう」


「そうです。それだけでなく、民の生活も良くなりましょう」

「新たな魔法もどんどん開発できましょう」

回復士長と魔術師長が笑顔で呟く。


「古代文字、魔法文字の研究に予算を増やしましょう」

「そうだな。マルク、誠に見事だ。これは素晴らしい理論だ。褒めて遣わす」

「はっ」


「これで、解散にいたしましょう。各部署で会議をし、色々と検討しなくては」

「そうだな。では解散だ」

コーネリアス様が解散を促す。普通なら不敬罪だが、誰も気にしない。そんなことより会議だという雰囲気だ。


「陛下、ご退場〜」

「「「「「「はっ」」」」」」

そして、陛下がご退場なされた後、俺とルーナらは部屋を出る。帰る準備をする。


すると

「マルク、素晴らしいぞ。ラルクから凄いとは聞いていたが、疑っていた。こんなに凄いとは、1人でも出来ればと思ったが、全員とは、驚きだ。汎用性が高いな」

「はい。それが目標ですから。誰でも、どこでも使える。それが大事だと」

「うむ。そうか。見事だ」

宰相のガルド様からお褒め頂いた。


今度は軍務大臣コーネリアス様がいらっしゃった。

「マルク殿。レオナが世話になっておりますね。また先日はバカ息子がすみませんね」

「いえ。レオナにはこちらも世話になっております」


「うむ。しかし、今日のは凄いですね。これほどの革命は凄い。ラルク殿、ご子息はすごいとしか言いようがないほどに凄い」

「コーネリアス殿、私にはもったいない程の子だ」


「ええ、これは何とも言えない程の功績でしょう」

「ああ」


「ありがとうございます」

「うむ、何かあれば言ってください。私がマルク殿の邪魔をする者は排除しましょう」

「ありがとうございます」


「聖国あたりからの暗殺がないよう、警備を強めますよ」

「ありがとうございます」

ニコニコしてコーネリアス様は一礼して、俺らの元を去った。これから会議だろう。


「いやー凄い」

「ええ、マルク君、宮廷魔術師になりませんか?」

「はは。まだ学院生です。先々にお世話になるかもしれません」

「そうですか。いいことです」


「回復魔法は撃てないのですか?」

「撃てます」

「そうですか。ということは回復魔法の呪文もあると。マルク殿、是非、回復士になって研究しましょう」

「ありがとうございます。学院卒業後に考えます」

「ははは。そうですな」


と宮廷回復士長、魔術師長とお褒め頂き、あの場にいた多くの方からお褒めの言葉をいただいた。王国としては凄いことなのだなと再度思った。どうにか一つの目標を叶えられた。にしても、皆の反応が凄いな。


「帰るか。明日はお祝いだな」

「はい」


「ルーナちゃんも来てね。手伝ってもらったんだから」

「でも、私は」


「いいえ。違うわ。マルクだけならこんなに早くは見つけられなかったわ。だから、ルーナちゃんは祝われる理由があるの。それにお父さんの悲願をルーナちゃんが叶えたの。それも祝わなきゃ」

「はい」


ルーナは涙ぐむ。嬉しいんだろうなぁ。トルネストさんのことで色々とあったから。俺だって、悔しいことはあった。それでも父上や母上、メル姉やエルカ姉様、ゼルにアイナに、リリアが支えてくれたからここまで来れた。ルーナは一人でだもん。凄いし、感動もひとしおだろうな。


こうして、王宮を後にして、家路に着いた。途中、ルーナを家に送って行った。

家に着くと、その日は疲れたので、早くベットに潜り込んだ。


やっと主人公の無双の準備が終了です。ここまでお読みいただきありがとうございます。ただ、まぁ主人公以外にもアレスらいいキャラが多いので、それも活躍させます。お楽しみを。

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