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課外授業の結果と反響

翌日


朝に訓練をして、学院に向かう。学院の門で

「おはよう、マーク」

「ああ、おはよう。今日は課外授業の成績が発表されるな」

「ああ。いい成績だといいね」

「ああ、あの短い日程で、やるべき事はやった。可能性は十分にある」

「ああ、一位だったらお祝いだね」

「大げさだな」

「ふふ。楽しい事はとことん楽しむのがいいんだよ」

「そうだな」


そして、教室の前に来た。レオナだ。

「おはよう、レオナ」

「おはよう、マルク。ホームルームの後で課外授業の成績が発表されるみたいよ」

「そうか、いい成績だといいね」

「ええ」

「おはよう、レオナ」

「おはよう、マーク」


「課外授業中のことを感謝してなかった。ありがとう。レオナの補助のおかげで小型狼を倒せたよ」

「そう。そう言ってもらえて嬉しいわ」

「それは良かった」

「ふふ、マルクと違って、そういうところは気がきくのね」

「な、レオナ、それ今言う事かな?」


「ごめんなさい。怒らないで。マルク」

「君たちはいつも賑やかだな」

「そう、皆こうじゃないの?」

「そうなら学院生活は楽しいな」


「おはよう、マルク、レオナ、マーク」

「「「おはよう」」」

「課外授業の成績は勝負だね。マルク、レオナ、マーク」

「自信があるんだ。アレスは」

「ああ。頑張ったからね」


「おはようございます。マルク、レオナ、アレス、マーク」

「「「「おはよう」」」」


「課外授業の成績で張り合っているのですか?うちも負けませんよ。ヨークスと力を合わせて頑張りましたからね。まぁ1人、問題がありましたが」

「貴族派はどこも問題児らしいぞ」

「ああ、やっぱりそうなんだ。マーク、よく知っているね」

「他のクラスの奴らに聞いた」


「そうか。もうさあ、プライドとか貴族とかじゃなくて、同じ学院生として力を合わせるという事は出来ないのかな。学院生は平等だし、仲間だと思うんだけど」

「そう出来ないのよ。そう教え込まれたからね。プライドを持てと。それがここに来て、平民にも、準貴族にも負けると拗らせるのね」

「そうです。彼らも被害者と言えばそうなのかもしれません」

「何だか悲しい事だね」

「ああ」


「はい。席についてください。ではホームルームを始めます。皆さん、元気に休日を過ごせましたか?課外授業がああなって、少し心配しております。まぁ今日の皆さんの顔を見れば大丈夫だと思います。でも何かあれば相談してください」

「「「はい」」」


「良い返事です。ではホームルーム後に課外授業の成績が発表になります。後で確認してください」

「「「はい」」」


「では出席を取ります。ルーナリア・アルメニアさん」

「はい」

・・・・

・・・・

「はい、全員出席ですね。では皆さん、今日も授業頑張ってください」

「「「「「「「「「「「「「「「はい」」」」」」」」」」」」」」」」」


俺らは課外授業の結果を見に掲示板に向かう。掲示板の前は人だかりで、喜ぶもの、悔しがるものがいた。あの3人以外は合格だから、あとは成績順だ。

「ええっと」

「マルク、一位だ」

「ええ。一位よ」

「もう自分で見たいよ」

「ああ、ごめん」

「ごめんなさい」


順位はアレスのところと、ルーナ、ヨークスのところと同率だ。ルーナのところは13匹の大ネズミと中型トカゲの魔獣1匹だ。アレスのところは大ネズミ23匹。うちが小型狼3匹、大ネズミが10匹で数ではうちが圧倒的に少ないが、小型狼がかなり評価されているようだ。アレスのところは数が圧倒的に多いな。


ルーナのところは数も、中型トカゲか見つけにくいんで有名だからな。中型トカゲは前世で言うカメレオンみたいな擬態するやつらしい。かなり点数がいいと噂でみんな探していた。それでも俺らが取った小型狼の群れはもっと評価が高い。なんせ、群れだとcランクの魔獣で、冒険者ランクc以上と言われるから。


「マルク、マーク、レオナ、小型狼の群れを倒したの?」

「ああ、3人で連携してね」

「ああ、マルクが2匹、俺が1匹で、レオナが補助だ」

「そう、私は何もしていないよ」


「いや、レオナ、それは違うよ。カークスとルドルフのバカコンビが暴走した状態で小型狼の群れにあったんだ。レオナが一番大事な役割だったんだ。あそこで、時間稼ぎや1匹を倒すのに補助がないと、誰かが怪我をしていたよ。それを手早くできたのはレオナの補助があったからだよ」

「ふふふ。ありがとう」


「でも、すごいね。3人で小型狼の3匹の群れを倒すなんて」

「ええ。すごいです」

「すごいね」

「あっ、ヨークス」


「おはよう、マルク。勝てると思ったけど、小型狼の群れをか」

「ふふ、出会ったのはたまたまだよ。それに何とか勝てただけ」

「そうだね。結構ギリギリだった」

「ああ、もう少し、時間をかけていたら、俺かマルクが怪我をしていたよ」

「そうか。でもすごいさ」

「ありがとう。ヨークス」

「ああ」


「そうだ。ヨークスも一緒にお昼ご飯を食べない?」

「いいのか?」

「え?嫌?」

「いや、そうじゃない」

「ふふっははは。ヨークス、俺も同じこと言ったが、マルクには通じないぞ」

「そうか。マーク。諦めるか。お昼は一緒に食べよう。マルク」

「うん。みんな何で変な事を言うのかな?」

「「「「ぷっははは」」」」

「笑いすぎ」

こうして、掲示板で課外授業の順位を確認した後は、各々の授業に向かう。


1、2、3、4・・・・・10。

「マルク、前から思っていたが、それは何だ?」

「ヨークス、うん?ああ、これ。これは屈伸したり、伸ばしたりするストレッチって言うんだ」


「ストレッチ?」

「うん。体の筋肉をほぐすと、よく動けるんだ。そのほぐす運動だよ。体も温まるしいいよ」

「そうか、皆、マルクが強く、速い理由を探して、真似していたが、そういうことか」

「ポイントがあるんだ。みんなー、ストレッチの重要なポイントを教えるから、取り入れたい人は集まって〜」


「いいのか」

「うん、みんなが強い方が俺も頑張れる。負けたくないってね」

「マルクは心が強いな」


「集まったね。それじゃあ、教えるよ。まず、腰をつけない屈伸や伸身は必ず踵を地面にくっつけることが重要だよ。踵が浮いていると、違うところに力がかかって、伸ばさなきゃいけないところが伸びないんだ。わかった?」

「「「ああ」」」


「じゃあ、次のお尻を地面につけて行うのは、できる限り横に開く事が重要だよ。ここで中途半端に楽をすると意味がないんだ。それとね、これらのストレッチは毎日やる方がいいよ。武術の構えや走る時に腰を下がって、重心が下がるから、転けにくくなるし、動きやすく、初動が速くなるよ」

「「「「へえ」」」」

「じゃあ、実践だね」

「「「「ああ」」」」


「そこ、まだ開けるよ。ほらほら。俺の足で開いた」

「痛い、痛い」

「痛いくらいじゃないと意味がないの」

「痛い、痛い」

「鬼がいる」


「ああ、ヨークス。鍛錬、訓練になるとマルクは人が変わるよ。普段どんな厳しい稽古をさせられているのかと、たまに冷や汗が出るよ」

「ふふ。マルクの強さは日々の積み重ねか」

「そうだよ。きっと」


「よし、皆いるな。というか何をしている?」

「先生、ストレッチをしています」

「そうか。ストレッチとは?」


「はい。体をほぐす運動です。屈伸したり伸身したりする事で、筋肉の中でも重要なところをほぐして柔らかくします」

「そうか。それはいいな。そうすれば重心も下がるな」

「はい」


「マルク、それを授業の前に皆に教えてやれ。皆も来週からマルクに学べ。いいか。いいところは積極的に周りからとりいれろ。ライバルが多い奴は強くなるぞ」

「「「「はい」」」」


「いい返事だ。皆よく聞け。先週の課外授業の結果は見たな。このクラスの数名の生徒が一位のチームにいた。これらとそうじゃない生徒の違いは、日々の授業で習った事や仲間から教えてもらった事を取り入れ、強くなっているかだ。


俺や他の教官たちは全ての授業で生徒にアドバイスを送る。実技だけでなく、講義形式の授業もだ。それを受け入れて、取り入れ、訓練したものは強く、又は賢くなる。


それが課外授業などイベントで差になる。わかるか?お前たちの差はそんなものだ。今はまだ、誰かが少し先に行っている程度だ。これが卒業時に大きな差になる。これは才能にあぐらをかかずに、先生や仲間から学び続けるものとそうじゃないものの差だ。


友のいいところは盗み、学べ。先生のアドバイスを噛み締め、力にしろ。それがこの学院の生徒の使命だ。お前らはいずれ、この王国を背負う人間だ。その使命を持つ。だから存分に学べ」

「「「「はい」」」」


「よし、少し時間をやる。まずは筋肉をほぐせ」

「「「「はい」」」」


「よし、いいな。今日も走るぞ。走れるものが死なない。課外授業でわかっただろ?よし準備しろ」

「「「「「「はい」」」」」」

「よーい、スタート」

トーラス先生の合図でロケットスタートをする。アレス、ヨークスらが付いてくる。


ヨークスは何か掴んだのか、今日は最終周直前でもまだ余裕で付いてくる。やばいな。あっ、アレスがスパートした。それは俺の仕事。


何とか付いてこれた。ヨークスも付いてきてる。三つ巴か。でも、又スパートしてやる。よし、アレスとヨークスと距離ができた。最後まで気を抜かずに走りきる。


あっ、ヨークスとアレスがスピードを上げた。足音が近づいてくる。でももっとスピードを上げる・・・・・・。ふう、何とか勝てた。半歩も差がないかも。


「くそ、マルクに勝てると思ったが」

「ああ、マルクに勝ちたかったね」

「ふふ、ヨークス、アレス、甘いな。まだ余力を残していたのは君たちだけではない」


「ぷっ、何、その話し方?」

「ぷっははは。マルク、変だぞ」

「ええー。カッコつけたのに」

「ぷっはははは、はあ。はあ。走ったばっかで息を整えているんだから笑わさないでよ」

「そうだな。ぷっ」

「もう笑うな」


「マルク、アレス、ヨークス、余裕がありそうだな。他の連中が終わるまで、稽古をつけてやる。こい」

「え?」

「いや。まだ息が」

「よし、トーラス先生。行きます」

「「マルク」」

俺らは他の生徒がゴールするまでトーラス先生と訓練していた。俺が一番で2人は少し休もうとしていた。


「よし、他の者がゴールしたな。皆休め。少ししたら、トーナメントをする。夏休み、課外授業で自分がどう成長したか、知るいい機会だ。前に勝てなかった者と戦い、自分の今の強さと弱さを知っておけ」

「「「はい」」」


「お前たちはまだ、続けるぞ。休みは無しだ。ハンデをくれてやれ。お前たちは頭一つ抜けているからな」

「「「えー」」」

「いいから来い。全員でいいぞ」

「「「はい」」」

トーナメントが始まるギリギリまで訓練は続いた。


「よし、これからトーナメントを始める。トーナメント表はこれだ」

俺と、ヨークスと、アレスともう1人がシードだった。俺ともう1人が同じ組みで、ヨークスとアレスが同じ組みだった。

「ヨークスも、アレスも決勝に行かない限り当たらないね」

「「ああ」」


「まあ、お互い頑張ろう。決勝で当たれるように勝ち上がらなくちゃね」

「その時はよろしくな」

「ヨークスに勝って、マルクと当たりたいから負けないでね。マルク」

「俺こそ、アレスに勝って、マルクと当たるぞ」


「まあ、俺はまず一戦ずつ頑張って勝ち上がれるように頑張るよ」

「ふむ、マルクに慢心はないな」

「スキルがないのに、慢心なんかできないです。トーラス先生」


トーナメントは始まった。いい試合が多い。最近、皆の目の色が違う。強くなりたいという気持ちが目に出ている。いいクラスだな。俺はここにいれて嬉しい。


結果、俺は準決勝に進んだ。アレスとヨークスも、そしてもう1人のシードも。

「やあ、マルク、最初のトーナメントでは負けたが今日は負けないからな」

「ああ、あの時か。強くなったんだね。試合見たけど、スキルを使いこなせているね。速さなら、このクラスでも1、2を争うよね」


「持久力では敵わないが、一瞬の速さはマルクにも負けない。今日は勝つぞ」

「そうか。ルーイ。頑張ろうね」

「ああ」


「それでは始め」

そしてルーイとの一戦が始まる。ルーイは無闇に突っ込んでこない。スキルありの一戦だが、そのスキルの使い所を見極めているようだ。シードになっただけはある。強くなっている。これは侮れない。前と同じと考えたら痛い目にあう。


ゆっくりとルーイは自分の間合いに入ろうとする。俺は牽制して、入らせない。余裕はまだあるが、油断はできない。ルーイのアクセラレーションは本当に速い。疾駆と変わらない。疾駆と違うのは途中で早くなること。


疾駆は最初から使わないといけない。正直言えば、アクセラレーションの方が使い勝手はいい。しかし、マナの使用量は多いアクセラレーションは持久性がない。疾駆はマナ使用量が少ないためにずっと使える。その違い故に疾駆の方がいいスキルと言われる。


だから、俺はルーイの隙から先手を取って、連続で攻撃したい。だけどルーイにはなかなかに隙が生まれない。ここは仕掛けないとな。俺は右回りに相手との間合いを狭める。ルーイは警戒している。まだ俺の間合い、ルーイの間合いには少し遠い。俺は右回りをやめ、正眼の構えで一瞬、止まる。


そこで、訓練場にあった石を蹴る。ルーイは石に気をとられて、隙ができる。俺はその瞬間に一気に突きを放つ。最速の突き。ルーイは防御型ではないから威力はそれほど必要ない。ここは威力より速さだ。


ルーイは遅れて剣で防ごうとする。アクセラレーションを使い、俺の槍先を剣で右下に弾いた。さらに剣を強く握り直し、振り上げようとしている。すぐに迎撃にくるようだ。うまい。


だが、俺はさらに槍先を下げられたところから槍先を上げて、切り上げで腕を狙う。ルーイはアクセラレーションをすぐには使えない。それにまだ剣を振り上げることも、構えることもできていない。右の手首に下から槍が当たり、ルーイが剣を落とした。俺は一気に槍を回して構えて、顔の前に槍を突く。寸止めで終わる。


「そこまで、ルーイ、よく防御にアクセラレーションを使った。スキルの使い方が良い。だが、まだ連続性がない。もっとスキルと向き合え。そして基礎の剣術を磨け。アクセラレーションを使わなくて良い場面を増やすこと、アクセラレーションを連続して使えること、これをできれば勝機はある」

「はい」

「よく頑張った。半年で見違えるほど成長している。ルーイの努力はマルクが一番わかっているだろう」

「はい」


「マルク、お前は状況が停滞した際に石を使うというのは素晴らしい。よく周りが見えている。冷静さが際立ってきた。今までは技術一辺倒で、単純な強さを追い求めていたが、課外授業が良い機会だったのだろう。周りを見て、使う。負けぬ強さを身につけ始めている。それを突き詰めれば、俺でも勝ち負けになる。ただ、石は俺なら『使ってくるだろう』予想していた。もっと上手く周りの状況を使え」

「はい」


「すごい一戦だったよ。石を使うのは、やられたら悔しいだろうね」

「ふ。アレス、余裕だね。ヨークスは強いよ。集団戦が得意なだけだ」

「ああ、わかっている」


ヨークスのスキルは『集団指揮』と『連続詠唱』と『グラビティソード』というものがある。首席になるだけあっていいスキルなんだ。『連続詠唱』と『集団指揮』は集団戦では無類の強さになるから、どうしても個人戦は苦手なように思われるが、『グラビティソード』は俺でもやりにくい。重さを自由自在に変えられる。だから、剣だけなら、時にアクセラレーションのようなこともできる。時に硬化みたいなこともできる。これはかなり厄介だ。


「では、ヨークス対アレス、始め」

「行くぞ、アレス」

「ああ。来い、ヨークス」


二人の戦いが始まった途端、横にルーイが来た。

「マルク、負けたよ」

「ああ、ルーイ。強くなったんだね」

「ああ、あの負けから悔しくてな」

「よかったよ。いいライバルが増えた」


「ふ。お前には敵わないな。だが武術では負けない」

「ああ」

「どっちが勝つと思う」

「難しい。どちらもいいスキルがある。スピードのアレスと巧さのヨークスだね。わからない。100回やったら、50対50な気がする」

「そうかもな」


二人は睨み合いを続けていたが、アレスが仕掛けた。スピードを上げた。『疾走』だ。いや、疾駆に近くないか?もう疾駆になっていないか?わからない。ただ、速い。速い。これはヨークスは大変だ。


アレスが一撃を放つ。しかし、ヨークスの剣がスピードを上げた。そして急に遅くなった。『グラビティソード』だ。剣の重さを自由自在に変える。スキルを完璧に使いこなす。剣筋はまだ甘く、アレスの方がいいが、ヨークスのスキルの自在さは恐い。これは決勝でどっちが来ても、気をつけよう。


剣と剣が当たる。ヨークスの方が重い。アレスは吹っ飛ぶ。重戦士型のヨークスに軽戦士型のアレス、ぶつかり合いはアレスの不利だ。そこにヨークスが追撃だ。アレスはすぐに体勢を直し、疾走だ。ヨークスの剣は速いが、アレスが一瞬速く、避けた。


そして、アレスはスキルを使った。『雷剣』だ。これは字の如く、雷を纏わせ剣を速く突くスキル。剣術がある一定のラインまで達すると最初に生えるスキルだ。つまり、アレスは剣術を極めはじめたということだ。


ヨークスもグラビティソードで対抗するが疾駆と雷剣の速さに間に合わない。肩を突かれる。そしてヨークスは剣を手放した。


「そこまで、アレス、『雷剣』とは良く剣術を磨いた。その努力が今日の勝ちだ」

「はい」

「ヨークス、『グラビティソード』の使い方は満点に近い。俺が知っている中でグラビティソードに関しては一番の使い手かもしれない。後は剣術そのものと基礎体力だ。お前は基礎をもっと突き詰めろ。それがお前がもっと高みに登る方法だ」

「はい」

「よし、少し、休憩したら、最後のマルク対アレスをやる」

「はい」


「アレス、おめでとう」

「ああ、マルク、次は勝つよ」

「ああ。俺が勝つよ」


「マルク、負けてしまった。お前と戦いたかったがな」

「また機会はあるさ」

「ああ。アレスは強いな」


「努力の賜物だね。ヨークスも頑張ったんだね」

「ああ」

「ルーイも、ヨークスもいいライバルだよ。みんなが強くなると嬉しいな」

「ふっ。このクラスのみんなはマルクを目標にしているからな」

「俺を?」


「ああ、スキルにない強さ、スキルじゃ測れない強さを持っているからな。それをみんな目指している」

「そうか。うかうかしてられないね」

「ふ。まあ見ていろ」

「見てないで訓練に励むよ」

「・・・」


「ぷっ」

「「ぷっ」」

「え?何?」

「訓練バカのマルクには、呆れるね」

「ああ、アレス」

「はははははははは、マルク。今のはないな」


「アレス、ヨークス、何かな?後、ルーイ、笑いすぎだね」

「まぁまぁ、マルク。ごめんよ」

「「すまん」」

「ふう。良く分からないけど、まあいいや」


トーラス先生がこちらを見た。

「おい、始めるぞ。マルク、アレス、前に」

「「はい」」


「よし、では始め」

俺とアレスは対面する。アレスはいきなりの疾走だ。右に旋回してきた。俺は小さな動きで回転し、正面に来るように構える。どんどんと動いて来る。あまり付き合うと目は回りそうだ。


アレスの動きを気配で感じよう。右から来る。俺は左に避ける。今度は左斜め後ろ、俺は右後ろに一歩動く。これが続く。来ては避け。その繰り返しだ。まだ動きが読めない。気配がわかるから避けれるが。


だんだんと読めて来た。次は右斜めから来る。来た。俺は左前に避けながら、槍を残し、一気に切り上げる。アレスは剣で防ぐが、吹っ飛ぶ。一瞬、歓声が聞こえる。


次は俺から行く。一気に体勢を直しているところに突きを放つ。これにアレスは右に避ける。惜しかった。もう少しだ。体勢を直された。またさっきの続き。


こうして続く長い戦い。俺たちは少しずつお互いの戦法になれ始める。まるで歯車が回るように、アレスの動きに合わせ、俺が動き、そして相打ちになる。それが延々と続く。他の生徒はいつか来る終わりを見るため。息を飲む。


そして終わりは来る。雷剣が来た。ここが勝負所だ。アレスが焦れた。体力の限界が近いのかもしれない。


俺はその雷剣に柄返しをする。雷剣は逸れる。そこに槍を回して一気に突く。アレスに完全にヒットした。アレスは吹っ飛び、俺は追い、まだ立ち上がれないアレスにとどめの一撃を放つ。首筋で止めた。


「そこまで、アレス、焦れたのが敗因だ。ただし、それ以上に決め手に欠いた。それが勝てない理由だ。もっと磨くしかない。以上だ」

「はい」


「マルク、お前は兎に角、手が多い。対応力が増している。冷静さがそれをさらに高みに登らせれる。もっと磨け。もっと経験をしろ。そうすれば、いつか、ラルク様を超える日も来るかもしれん」

「はい」

こうしてトーナメントは終わった。


「よし、今日はここまで、皆、毎日励め」

「「「「はい」」」」


アレスは立ち上がる。

「マルク、次は勝つよ」

「ああ、アレス。次も負けないよ」

「ふ、マルク、俺が次は決勝で戦うからな」

「ヨークス、戦いたいね」


「ああ。アレス、次は勝つぞ」

「次も負けない」

「俺がトップに立つ」


「ルーイ、また俺が勝つよ」

「言っていろ。俺が必ず勝ってやる」


「でも、みんな強くなったね。ヨークスとルーイはどこで訓練しているの?」

「俺は部活だよ。剣術部」

「俺もそうだな」


「そうか、武術系の部活か、入ればよかったかな」

「二つ入れるぞ」

「え?そうなの?」


「ああ。槍術研究会に入ればいいんじゃないか?」

「いや、ほら、俺スキルないから入れてもらえないんだ」

「そうか。そうだったな」


「マルク、実践武術研究会は顧問がトーラス先生だから入れるかも」

「そっちも部長の人にダメって言われたんだよ」


「そうか。トーラス先生ならいいって言うけど、基本は生徒の自主性だからね」

「そうみたいだね。いっそ、部でも作ろうかな?」

「「「「「「「「!!」」」」」」」


「うん?」

「多分、マルクが部活を作ったら、かなりの人数が入るぞ。きっと」

「そう?」


「ああ、お前の技術を盗みたいやつはいくらでもいる。他の実技のクラスにもお前と模擬戦したいってやつはいる。さらに増えて来ている。この前の課外授業が影響したな」

「そうなの?」


「ああ、多分、明日以降噂になるぞ」

「ええーー」


「気まぐれで言った事が大事になるな」

「アレスー、どうしよう?」

「諦めて、作ったら?俺も入るよ」

「え?」


「マルクが作るなら俺も入るな」

「俺も」

「え?本気?」

「「「ああ」」」

何だか騒動の予感。面倒になりそうだ。まあ、でも、その話は置いといて。食堂に行く。


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