課外授業初日① 不穏
すみません。本日、プライベートな諸事情により、昼の投稿ができませんでした。なので、夜投稿は2話となります。この後、夜18時投稿します。
課外授業初日
訓練はなしで課外授業のため、朝早くから学院に向かう。朝にグループ分けが決まるらしい。グループ分けは掲示板に貼られるとのことで、俺はそれを見に掲示板の前に来た。
「ええっと」
「マルク、おはよう」
「おはよう、レオナ」
「マルクは私と一緒よ。ただね。マークはいいけど、ルドルフとルークスがいるわ」
「げっ!ルドルフとルークス」
「そうなのよ」
「はあ。大変そう」
「ええ。苦労しそうね。マークも苦労するんじゃないかな」
「ああ、元貴族派の家だからね。そうなると大変かもね」
「とりあえず、マークとは合流しとく?話しておいた方がいいと思うの」
「そうだね」
「やあ、マルク、レオナ」
「おはよう、マーク」
「一緒のチームみたいだね」
「そうだね。今回は点数勝負はできないね」
マークは残念そうだ。
「ああ。むしろ協力しないとね。なんせ」
「ああ、ルドルフにルークスとはね」
「ああ、きっと足を引っ張る。それだけならいいけど、嫌がらせすらしかねないかな」
「うん。面倒な連中だよ」
「まぁ、僕は言えた義理じゃないけど」
「関係ないよ。マークがしたわけじゃないし、マークは家とは関係なく頑張っているよ。それにプライドより、努力を取った人間が罵られるはずがない。マークはもう少し自信もっていいと思うよ」
「そうね」
「ありがとう、マルク、レオナ」
実習のグループに2人がいることは有難い。マークはレオサード家がしたことをを未だに恥じているんだろう。でも、もういいと思うし、マークはマークで、問題を起こしたレオサードは元公爵だ。マークがした訳でないから、吹っ切ることも重要だと思う。
「そうそう、マークは何ができる?」
「俺は結界魔法、回復魔法ができるよ。後は剣術それに身体強化だね」
「優秀ね。回復魔法を使える者はそんなに多くないから、マークと組めたのは良かったわ」
「ああ。一応は回復薬は多めに買っておいたから、そっちを優先して使おう。危険なことはないと思うけど、その時にマークが動けないと、このチームではやばそうだ」
「ああ」
「そうね」
「マルクは槍術かな?」
「そうだね」
「でもすごいのよ。この前は猪の魔獣をマルクの指示で倒したんだから」
「えっ?猪の魔獣を?」
「ああ、アレスやレオナ、ルーナが優秀だからだよ」
「そうか。でもすごい。それなら、何とかなりそうだね」
「ええ」
「ルドルフたちがやらかさないといいけど」
「そうだね。気をつけよう」
「ああ」
「ええ」
「おいおい。うちのお荷物たちが何集まってるんだ?」
「ルークス。お荷物は邪魔にならない相談が必要なんだよ」
「はあ、実技で俺より低いのに」
「ガリシアンなのに戦術一つ理解できないくせに」
「うるさい。俺はガリシアンの中では、異端の強さをもっている」
「それが俺より低いよね。お荷物より」
「う、あれは学院長が贔屓しているからだ」
「出た。贔屓。自分の評価が低いと贔屓された、差別された、本来なら自分の評価が高いというのはわかっている、だよ。本当に貴族派は変わらない。いつでも、誰でも同じ事言うな」
「なんだと」
「じゃあ、凄い2人に魔獣は任せるよ」
「ああ。そう言えばいい。意気地なしが」
「はいはい。怪我しないようにね」
何で、プライドに縋るんだろう。それより現実を変えればいいのに。
「はい、皆さん。これから課外授業を始めます。ルールは学院を出発して、王都南の森に行きます。そこで、2匹の魔物を倒して森の外の先生のところに持って来てもらいます。それを5日以内に行う。これが受かれば、来年は王都近くの訓練ダンジョンには入れます。頑張ってください」
「「「「はい」」」」
「おい、俺たちが倒すから、お前たちは運べ。いいだろう。楽で」
「ああ、無能は楽でいいな」
バカだ。完全にバカだ。魔獣が強いかもしれないのに2人で倒せると思っている。しかも成人もしていない学院生2人で。実技の点数が低い者が。
実力がわかっていない。先生ですら、魔獣相手に今の状況では、チームで力を合わせて戦えと言っているのに。
「おい、ルドルフ、お前たちは何ができる?」
「ああ?マルク、お前が知る必要がない。俺は優秀なスキルがある。無能のお前など足手まといだ」
「はぁー。チームの力を知らないと苦労をする。教えろ」
「マルク、お前はリーダーぶるな。無能が」
「おい。無能、お前の成績がいいのはリネア様にみんなが気を使っているからだ。それ以外はない。お前は無能だ。黙っていろ」
「じゃあ、ガリシアン家の無能は、ガリシアン家の期待の私には教えてくれるのよね。無能さん」
「う、お前は後ろで指示を出すしかできないだろ。黙っていろ。役ただずが」
「もういいや。頑張って」
「どうするの?」
「まず、やらせよう」
「その上で、倒せなかったら、こっちで魔獣を倒して、奴らを助ける。よほどの魔獣じゃない限りは大丈夫」
「そうね」
そして奴らは何も考えなしに、森へと進んでいく。帰り道の目印もつけずに。しょうがないので、目印をつけていく。森の前にトーラス先生がいる。
「おい、お前たち、ちゃんと用意したか?」
「ああ大丈夫ですよ。俺らは、ガリシアンの俺とドンナルナのルドルフ、二家の実力者がリーダーだから。大した用意がなくても魔獣数匹ぐらい」
「おい、リーダーは成績が一番いい者だ。このグループはマルクだ。マルクの指示を聞け」
「はっ、何であの無能の言う事を?」
「おい、お前は・・・。まあいい。誰の許可をもらって課題授業に入った?」
「はっ?サンゲルド先生ですが」
「あのスキルバカか。くそ。マルク、最悪、魔獣はいい。全員怪我なく戻せば俺がいい成績にしてやる。なんで、このバカを課外授業に入れているんだ。サンゲルドめ」
サンゲルドって誰だ?実技の先生だろう。
「はい」
「よし、危険なグループにはこれを持たせている。本当に危ない時にはこれを使え。すぐに駆けつける。もし落ちても、もう一度、あのバカ2人以外は受けさせてやる。俺が面倒見て」
「「「はい」」」
そして、俺らは森に入る。あのバカ2人はズカズカ音を立て、警戒もせずに入る。俺たちは周りを警戒しながら入っていく。
「「う?」」
「マークもレオナも感じたか?」
「ああ」
「ええ」
「魔獣の気配だ」
「あいつら、鼻歌交じりで前に進んで。近いわね。どの辺かしら」
「多分、前だと思うけど」
「マーク正解だ。多分数百メートル先。それほど強くないけど3匹」
「場所も数もわかるの」
「ああ、俺のスキルは『飲み込む』だけど、空気を飲み込むことで、何となく気配を感じるんだ。それが強いかとか、どこにいるかとか」
これくらいは教えていいって言われている。正確には嘘でもある。
「そうか。それは助かる。意外にいいスキルだな」
「ああ。これくらいしか優位なところはないけどね」
「そうか」
そして魔獣がこっちに気づいた。近寄ってくる。あのバカらは気づいてない。
「おい、ルドルフ、魔獣が近づいてくる。気をつけろ」
「うるさい。マルク。俺がわからないことが無能のお前にわかるはずがないだろう。静かにしてろ。バカが」
「く。あのバカ」
「やばいわ」
「ああ。怪我させないように介入する準備を」
「ああ」
「ええ」




