ラストピース
「ミリア先輩、こんにちは」
「うん。マルク、こんにちは」
「今日は何をしているんですか?」
「研究のまとめ」
「そうですか。俺も研究を進めます」
「手伝う?」
「大丈夫です。昨日の続きをどうにかして考えます。それがわかれば、またご意見をお聞かせください」
「うん」
昨日の部分を見て行く。詠唱は俺らが使っている言葉とは発音や文字が異なる。詠唱を魔法言語で訳すと、『〇〇を△△』と訳せる。詠唱の文字列は式のようなもので、その意味をスキル持ちの方が訳した、又は決めたものだが、魔法言語だと組成を理解できれば、誰でも解読できてこの国の言葉でも訳せる。
そのために、詠唱を魔法言語に解読はできる。ただ、〇〇と△△が訳せない。なぜなら、魔法言語にその意味を成す言葉はなく、詠唱の言葉の意味をレオナルク王国の言葉に訳した言葉もない。ここだけを訳そうと誰もしていない。
魔法言語へ訳した結果、詠唱におけるマナ収束部分の式は訳がわからない。何か別の方法はないかと思い、前世の世界の言葉風に変換してみたら、『Kemv*=mgh』となった。訳がわからない。ただ前世の記憶の中に近い式を院内学習で何個か習った覚えがある。本でも似た代数を見た記憶がある。確か、1/2mv*=mghという力学エネルギー保存法則の式とネイピア数eと運動エネルギーk。
だとすると、ke=1/4で代入ができる。(*は二乗を指す)とすると1/4mv*=mghとなる。つまり、マナの物理法則は普通のもの√2倍速、簡単な数字なら1.5倍速で動くということ。
ここまでは昨日までに推測できた。だが、これが何を指すのか?マナが体で動くスピードか?もしくは体内のマナが収束する際の運動エネルギーを法則式にしてある?スキルを使い他の詠唱部分と一緒に唱えるとこれを使えるのか?
そうすることでマナの操作をスキルなしでも捉えることができるのか?もしくは、詠唱によって操作する際の計算式のようなものか?そんなことを昨日考えてたけど、纏まらなかった。
ミリア先輩がニコニコしている。何か、研究のまとめが終わったのだろうか?目が合う。
うん?
そういえば、この前、ミリア先輩はマナを集める方法を知っていれば代用可能と言っていた。だったら、マナを集めるということか?マナを集めるスピードを書いた式?だとすると、マナを集めるスピードってなんだ?いや、マナの動いているスピードだとしたら、マナは体の中を動いているということ、そして、ほかの体の中のものとは違う物理法則で、違うスピードで動く。
それを感じるにはこの式に当てはめて体の中を動くマナを感じる。スキルは俺の理論では詠唱の意味を感じる物、その結果を覚えやすくするもの。だとすると、スピードをこの計算式で感じて、動し、その結果を体が覚えるのか。そして体が覚えて行けば、マナ操作スキルになる。ああ、あっているんじゃないか?
ただ、何故この世界で前世の物理方式なのかがわからない。まあそれは置いておこう。何か訳がわからなくなりそうだ。
話を戻そう。マナの体内を動くスピードが他の物の動くスピードと違うと考えるならば、それを感じる訓練はできる。待て、マナを感じてみよう。そのスピードを体感して、式が正しいか確認できるか?
「ミリア先輩、時間を図る道具は部室にありますか?できれば秒単位で」
「ある。ええっと。・・・・・これ」
「ありがとうございます」
ストップウォッチみたいな魔道具が出てきた。時計の魔道具は見たことがあるが、これは初めてだ。
「これ、使い方」
「ありがとうございます」
ミリア先輩から紙を受け取る。
よし、測ってみよう。頭の先から足まで、俺の身長は159cmだから、前世だと1.59mで46kgでとよし・・・。ああ、この速さだと秒速7.7mくらい。うん。あっているな。血液は秒速3000kmだから、速い流れと遅い流れがあるのを感じれる。うん、遅い方がマナだ。
「ミリア先輩、協力してもらってもいいですか?」
「遠慮しない。協力する」
「はい。じゃあ、あの部分の詠唱を読んでください」
『jrdiマ@8』
この部分だけ読むと言葉にならない。
「ミリア先輩、マナを動かせましたか?」
「うん。マナが動いた」
「手には集まりましたか?」
「うん」
「そうですか。もう一度いいですか?」
「うん」
「マナを感じた」
「今度は時間を図ります。スキルでマナは頭から足まで送ると、何秒ですか」
「うん。貸す・・・・・0.16」
「そうですか。血がもっと速いスピードで動いているのは感じれますか?」
「うん?」
「体を速いスピードでドクドクと動いている物です。マナを感じるように感じてみてください」
「うん。・・・・・うん。うん。これ。うん。マナ以外にもう一つ感じれる」
「じゃあ、マナと血をスキルなしで感じれますか?」
「うん?」
「では、スキルなしで、体の中の二つのドクドク動く物を感じれますか。」
「うーん。・・・・・。うん。うーん。あっ。体内の二つのドクドク動く物のがわかる」
「そうですか。遅いのと速いのがわかりますか」
「うん。わかる。遅いのは何度も感じてきたからマナ」
「ええ。そうです」
「これでマナを感じるところまでは行けました。次はこのマナを動かすことです。手から放つのは魔法言語がしてくれるので、体内のマナを手に集める呪文を見つければいいと」
「そう。すごい発見。スキルなしに、マナを感じる」
「はい」
「何度か、スキルなしに感じたマナを動かしてください。ちなみに俺はできるので、ミリア先輩ができるなら完成します」
「生意気。やる。後輩には負けられない」
・・・・
「っっkあkhsんw」
・・・・
・・・・
「出来た。わかった」
「どうやりました?」
「感じたマナをイメージする。詠唱を言ってみる。すると動く感覚がわかる。その感覚で動かしてみる。すると動かし方がわかる。あとは慣れ」
「そうですか。ちなみに、何を言ったのですか?」
「詠唱で『マナよ動け』と言った」
「そうですか。では、後で魔法言語で同じ意味になる物を探して、それを言って試してみます。それができたら、これでまとめて、色々な人に試してもらいます。メル姉やエルカ姉様、ルーナ、うちのメイドたちなど、どんな人でも動かせ、魔法が撃てれば理論の完成です」
「すごい。魔法を変える」
「ええ。変わります。スキルがどうたらはいらなくなります」
「ふふ。魔法詠唱研究会は名前を変えなくちゃ行けない。魔法呪文研究会」
「そうですね。いずれはそうなるかもしれません」
「ふふ。そうなったら、先生になる。呪文の」
「いいですねー」
「そういえば、私に教えてよかった?」
「もう父上の許可をいただいております。魔法理論が完成すれば、スキルや魔法を撃てることも明かしていいことになってます」
「そう」
「はい。だから、もう少し待ってください。マナ操作の方法を試すのは」
「学会が年末にある。それまでにお願い」
「はい。それまでには」
「うん。わかった」
そして家路に帰り、父上と母上に話した。2人とも驚くと共に、喜んでくれた。
それから数日、マナの感じ方を父上と母上に試しもらい、できた。全く問題がなかった。アイナとゼルにも試してもらった。ゼルは実は魔法が使えないらしい。それで、余計にドンナルナ家では肩身が狭かったらしい。しかしゼルはうまくいかなかった。俺が課外授業から帰ってきたら、改良を考えることになった。それと並行してマナを操作する呪文を見つけるため色々ば魔法言語の組み合わせを試した。
今日の話はできる限り、1話にしたかったのですが、長かったので二話になります。ですので、二話投稿をしました。お許しを。




