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旅の終わり

3日後


「アルフォンス様、エルザ様、ミルちゃん、アレス、この度は急なお願いにもかかわらず、素晴らしい歓待をいただき、ありがとうございました。スピキアーズ領の素晴らしい政策や街並みはとても勉強になりました。現地でしか見えないものや学べばないものも多く、それを目にできた、今回の経験はかけがえのない物となりました」


「そうか。マルク君が勉強になったなら、いいことだ。今回の訪問はアレスにもいい影響があった。自分の領を見つめ直すいい機会になったようだ。今回のことを教訓にマルク君も頑張ってくくれ」

「はい。ありがとうございました」


「「アルフォンス様、。エルザ様、ミルちゃん、ありがとうございました」」

「ああ。2人も多くのことを学べたのなら良い。気をつけて王都まで帰るように。アレスも道中は気をつけるように」

「「「「はっ」」」」


「ゼル殿、この度はアレスの護衛も頼み、申し訳ない。ですが、よろしくお願いします」

「はっ。この老骨、命をかけて、ご子息を無事、王都までお届けします」

「よろしくお願いしますね」

「はっ」


こうして挨拶を終え、スピキアーズ領の領都を出て行く。帰りはスピキアーズ領から昔繁栄したが今は荒れている領を通って、王都に向かう。


「マルク様、皆様、ここからは少し荒れています。魔獣や盗賊が出る恐れがありますので、お気を引き締めてください」

「わかった。ゼル。行きと一緒だね」


「ええ、ただ行きはたまたま弱い魔獣が単体でしたが、今度もそうだとは限りません。気を引き締めておかないと不慮の事態に困り果てる事になります」

「わかった」

「「「はい」」」

そんな話をして荒れた領を進む。案の定出てきた。猪の魔獣が群れで、しかも気が立っている。これは良くない状況だ。魔獣は計4匹である。


「マルク様、私が3匹を受け持つので、マルク様は1匹をアレス様方らと協力して、怪我せずに時間を稼いでください。私が3匹を倒したら助けに行きます。それまで持っていただければ、十分です。まぁ倒せるなら倒してもいいですが、怪我はなさらぬよう、命などかけぬようお願いします」

「わかった」

「では」


「ゼルが3匹を受け持ってくれる。俺たちで1匹を仕留める。もしくは時間をかけて無傷でゼルの助けを待つ。アレスと俺が前衛で奴を止める。レオナとルーナは魔法を使えるかな?」

「ええ。使えるわ。火魔法と風魔法と付与魔法を使えるわ」


「私は風魔法と水魔法、そして結界魔法を使えます」

「わかった。アレスは魔法が使える?」

「ああ、風魔法だけど」


「そうか。じゃあ、アレスは風魔法を使って、足で魔獣の注意を引いて。攻撃を喰らわないように距離はとってね。レオナは始まったらアレスに付与魔法をかけて。ルーナはレオナと自身に結界魔法をかけて、防御を高めて。それができたら、合図して。石を蹴るくらいでいいよ。


その合図で俺とアレスが一気に攻撃する。その前にルーナとレオナで魔法による牽制をして、魔獣の気を引いてもらう。そこに俺とアレスで一気に攻撃する。アレス、俺が奴の目を狙う。うまく行ったら今度は死角から一撃して離脱すること。最後にレオナとルーナが魔法でダメージを加えて俺かアレスが仕留める」


「でも、それじゃあ、マルクが危険です」

「これでも実技も首席だよ。任せて。怪我しない程度に相手をするから」


「わかったわ。ルーナもマルクを信じて」

「はい」

「じゃあ行くよ」


アレスが風魔法で自身のスピードを上げる。猪がこっちに気づき向かってくる。その前をアレスが横切り注意を引く。そこを俺が槍で突き、魔獣の注意を再び俺に向けさせる。その間にルーナが結界を張る。レオナはアレスに付与魔法をかけるため、風魔法の詠唱を行う。それが終わるとアレスに付与魔法をかけて行く。そして結界魔法と付与魔法の準備が整う。


その間、俺は魔獣と距離を測りながら、奴が突進してもルーナたちに行かない位置に動く。そして、奴との距離を常に俺が有利な位置に持って行く。その間も時々、アレスが囮として奴の注意を引く。その度に俺は動き直し、もう一度奴の注意を引く。


「もう少し、まだ時間が必要だ。ルーナたちの準備が整う」

俺は、また魔獣に突きをお見舞いして、距離と位置を変える。後ろには誰もいない。奴がいきなり突進してきた。かなり早い。ヤバイか。いや、いける。避けれる。右に避けてやる。


「マルク!!」

「危ないです!!」

「避けて、お願い」


奴の頭が右腕にかすった。激痛が走る。でもゼルの突きの方がよっぽど痛い。右腕は少し赤くなったが大丈夫。まだ動く。

「ルーナ、レオナ、準備は?」

「いける」

「大丈夫です」


そして、ルーナが合図をする。石を蹴った。俺とアレスは攻撃するための間合いを取る。ルーナの風魔法が猪に当たる。ダメージはないが注意を引く。ついで、レオナの火魔法が魔獣の足元に当たる。これもダメージはないけど、一瞬動きが止まる。この隙を逃さない。


「おら〜」

突きが目に当たる。奴の目から血が流れる。まるで泣いているようだ。そこに死角からアレスがスキルを使った一撃を背中に見事に当てる。奴が悲鳴をあげ、動きを止める。そこに今度はレオナの火魔法とルーナの風魔法が一斉に当たる。


ルーナの風魔法は俺が傷つけた目に、レオナの火魔法はアレスが傷つけた腹に命中する。2人とも見事だ。奴は瀕死になる。俺は一気にためていた力を使って突きをお見舞いした。奴はもろにアレスとレオナに傷つけられた腹に突きを食らった。俺には内臓を突き刺した感触が残る。これが殺す事か。

魔獣は息絶えた。完全に動きを止めた。はあ、やった。


「マルク、大丈夫?」

「大丈夫ですか?」

「大丈夫よね?」


「ああ。動くから大丈夫」

右腕を動かし、その後にグーパーと指を動かした。


「心配かけてごめんね。一瞬だけ油断した。あんなに早い突進を仕掛けてくる距離とは思わなかった」

「ううん。大丈夫ならいいの」

「そうです。あんな強い魔獣に勝っただけでもすごいんです。それなのに怪我も軽い。それだけで儲けものです」


「ああ、マルクのおかげで、俺らは怪我もしないで勝てたんだ。すごいよ」

「よく、頑張りました。マルク様の突きで仕留めたようですね。お怪我をされましたか?」

「いや、少し突進が右腕に当たっただけだよ。避けたから直撃は避けれた」


「どれ?はあ。少し無茶をしましたね。回復薬のいいのをリネア様から頂いております。これを半分飲み、半分は右腕の痛いところにかけてください」

「ああ」


回復薬を飲むと痛みは消えた。かけると腫れも引いていった。ゼルは3匹を全く相手にせずに倒したようだ。それでも、俺らを守ってだと時間がかかるため、1匹はこっちに任せたようだ。


「マルク様、よく御三人を守りながら力を使わずに勝てましたね。死体を見るに突きで目を撃ち、その後にアレス様が死角から切りそこに火魔法で攻撃して、風魔法でさらに目を傷つけて、相手の死角から一気に突きで仕留めたというところでしょうか?」


「ああ。その通りだよ。3人がいなかったら武闘オーラで一気に突きをして仕留めたけど、使えないから、俺が守り、アレスが囮を、2人に攻撃のはじめを担ってもらったよ」

「それは良い作戦です。それなら、御三人は怪我せずに倒せたのは必然です。状況をよく判断し、いい作戦で倒しましたね。ただ、私は怪我せぬよう、時間を作ってくださいと言ったはずです。」


「ごめん。慢心してた。俺は怪我をするんだから、まだ未熟だよ」

「そうです。まだ強い魔獣とスキルなしで戦い、誰かを守るには実力不足です。まあ、それでも十分な結果です」

「ありがとう」


こうして、治療してすぐに出発した。魔獣の死体は燃やして廃棄した。捌く時間でほかの魔獣が寄ってくるからだ。そしてすぐに出発した。その後は問題なく、荒れた領地を出て、王都に向かう。


スピキアーズ領を出て9日ほどでついた。1日早く着いたのは、荒れた領地での出来事から、ゼルが少し急いだためだ。10日はゆっくりと進んでという感じの予定だから、あの出来事で疲れた俺たちを早く休ませるために急いでくれた。


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