失敗
スキルについての考察回です。
今日も朝から訓練だ。
父上はいない。今日は朝から登城して会議らしい。ゼルと訓練だ。
今日も半身からの踏み込みを500回、そして槍の突きを500回。これで午前は終わった。
今日は魔法の訓練がない。だからスキルを考える。
で、マナを食べた結果は、今日の回復がいい。多分、エルカ姉様のヒールか俺が飲んだマナだ。そしてマナが昨日より多い。訓練の時に体もよく動いた。昨日より強くなった気もする。
でも確証がない。しょうがない。とりあえず、今日もマナを飲もう。あの辛さを知っているから嫌だなぁ。熱くて、体の何かが暴れるみたいで、痛い。辛い。はあ。
よし飲もう。少し覚悟しないと飲めない。あれは辛い。
マナを感じて、掌に集めて、手から出す。これを。ふう。ふう。ふう。
よし。飲む。
あぁ、あぁあああああ。
あれ、痛くない。熱くない。苦しくない。なんだ。何があった?昨日と違う。何でだ?なんで痛くない。苦しくない。熱くない。
あぁ、もしかして成長した。これは成長なのか?それともスキルが機能していない?よくわからない。ほんとにこのスキルは訳がわからない。なんだ。もう意味がないのか?
もっと必要なのか?もっと飲んでみるか?魔法を飲んだ方がいいのか?それとも違うものか?どうしたらいい?
いや、実験だ。死にそうになったら、母上らが助けてくれるはず。そうだ。やってやろう。やってみて、やってみて、失敗したら、それでしょうがない。そん時にまた違う方法を探そう。それしかできないんだ。俺は何もない。失うものもない。怖がるな。
マナを感じて、掌に集める。もっと、もっと、もっと。さっきより3倍くらいマナを集めた。もう体の中には少ししかない。これ以上は危ない。よし。飲もう。
ふう、ふう、ふう。よし飲む。
うあああああああああああああああ。
辛い。痛い。体が熱い。何かが体が暴れている。マナだ。痛い。辛い。苦しい。おい、やめてくれ〜。辛いよ。辛い。
「あああああああああ」
階段を登ってくる音がする。痛い、痛い。苦しい。
「大丈夫?回復魔法をかけるわ」
『ヒール』
はあ、少し楽になった。母上の回復魔法のヒールのおかげだ。助かった。やばかった。
「何をしてたの?」
「スキルの訓練」
「スキルの訓練?叫ぶこと?それとも叫ばなくちゃいけないほど辛いこと?」
「辛いこと」
「何をしたらそうなるのかな?」
はぁ母上が完全に怒ってらっしゃる。しかもこれはヤバイ奴だ。どうしよう。
「すみません。正直に話します」
「そう、じゃあ話して」
「まず、スキルを知ってから、スキルは何でも飲み込めるとか、どんだけでも飲み込めるとかじゃないと思ったんです。
で、だったら何か飲め込めば、強くなるんじゃないかって?と疑問を持ったんです。
それで何を飲もうかと考えて。そしたら、何を飲むか考えないと危険だと思って。
自分のマナなら安全だと思って。それで昨日飲んでみたんです。
そしたら昨日もまぁまぁ辛かったけど耐えられて、そして体が強くなったし、マナが増えた。今日になったら訓練しても昨日より動けると感じて。
だから今日も飲んでみたんです。でも昨日と同じ量では変化がなかった。だからいつもの3倍を飲んだ。そしたらダメだった。こんな感じです。母上、すみません。」
母上は沈黙した。その後。
「はあ、わかったわ。1人でしないこと。ラルクの許可を取ること」
「わかりました。それで相談なんですが、少ししたら母上の魔法を飲ませてください。そうすれば、成長できるかもしれません」
「はあ、わかったわ。まずは自分のマナで試しなさい。それで今回のようなことがなくなれば、いいわ。頼むから母さんを悲しませないで」
「はい。母上」
もう今日の訓練は終わりだ。ゆっくり休んで夜に父上に許可をもらおう。
「マルク、倒れたそうだな。スキルの訓練でも心配かけないようにしなさい。それじゃなきゃ容認はできないぞ」
「父上。ありがとうございます。母上やゼルの前で行います」
「あぁ。それならよかろう」
「ありがとうございます」
「マルク、エルカも回復は使える」
「エルカ姉様、学校もあると思いまして」
「気を使うのはわかるが、姉に気を使うのは嫌い」
「はい」
「ん、わかったならいい」
話が終わったから、部屋に戻る。まぁ少し今日のことを少し考えよう。
マルクが部屋に戻ると、
「はあ。やはり焦っているのか」
「ええ、そうだと思うわ。声が聞こえた時は驚いたわ。あの時のことを思い出すと焦っているんだろうと感じたわ」
「そうか。ゼル、今日の訓練はどうだった?」
「はい、昨日よりも動きが断然に良かったです」
「そうか、魔闘はどうだ?」
「魔闘も昨日より強く出ていると感じました。槍術自体も型が固まり、うまく出来るようになったと思いますが」
「うむ、2日ではわからないか」
「そうね、もう少し様子を見た方がいいわね」
三人は様子を見ることで納得し、話を終わらせた。
家族を心配させたマルク君です。
優しい家族に囲まれ、成長をしていってほしい。ざまぁはないです。