試験結果
1週間後
今日は試験の結果が発表される。全て試験はうまく行っていると思うけど。大丈夫かな?
まずは訓練をして学院に向かおう。
学院に到着した。
「やあ、マルク」
「おはよう。マーク」
「試験の結果が出るね」
「ああ。試験の結果で勝負だよね。そっちはうまく行った?」
「ああ。自信があるよ。マルクに勝てると思うけど」
「そうか。じゃあ、後で勝負結果を確かめよう」
「ああ」
教室にたどり着いた。まだ、試験結果は発表にならない。個々の結果を伝えた後に、トップテンが発表される。来年のAクラス候補だ。Aクラスはだいたい20名ぐらいで、他のクラスは50名程度だ。この差が大きい。Aクラスは制服及び学費、その他が免除で食堂や図書館も優先になる。
こういった差をつけることで、優秀な人物にそのクラスに居られるように努力することを促す制度だ。それがスキルで選ばれて居たため、ここ3、4年は3年間変動しないという風になり、無意味になっていたとのこと。
「はい。席についてください。試験結果をお伝えします。では、順番に成績表を渡していきます。ではルーナリア・アルメニアさん」
「はい」
・・・・
「マルク・ドンナルナ君」
「はい」
・・・・
成績は、全てトップだ。よし、この成績を維持できれば来年はAクラスに入れる。
「はい。これで、ホールルームを終わります。これから夏休みになりますが、勉学をしっかりと続けないと来年大変です。気をつけてください。あと、掲示板に上位成績者の氏名一覧が乗ります。見てから帰宅するように」
「「「「「は」」」」」
「マルク、どうだった?」
「全部、トップ評価だよ。アレスは?」
「一つだけ失敗して秀だった」
「そうか。次は全部トップ評価だね」
「ああ、マルクにも負けないよ」
「ああ」
「マルクも、アレスも成績が良かったのね?」
「「ああ」」
「そう」
「レオナは?」
「私は実技と魔法詠唱がね。秀だったわ」
「そうか。レオナも次は全部トップだね」
「も、ってことはマルクも一つは秀があったの?」
「俺は全部トップ評価だったよ」
「マルクは全てだけど、俺は一つだけ秀だった」
「そう、アレスにも負けたのね。ルーナは?」
「私も、マルクに負けました。実技ともう一つで秀でした」
「そうなの。次はマルクに勝ちましょう」
「ええ」
「それより、この後はどうするの?」
「この後?」
「どっか遊びに行こうよ」
「「「ええ(ああ)」」」
「うん。じゃあ行こうか」
「その前に、掲示板を見に行こうよ。マルクが首席じゃない?それにマーク君と勝負してるんでしょ?」
「そうだった。マークは?」
「さっき掲示板に向かっていきました」
「そうか。ありがとう。ルーナ。じゃあ、掲示板に行こう」
「それに、私は部室にも寄らないといけないわ」
「俺もだね。終わったら、食堂に集合にしよう」
「そうか。アレス、わかったよ」
「わかったわ」
「わかりました」
俺らは掲示板に向かった。掲示板の前は人だかりだった。みんな、自分の成績がわかっているんだから、そんなに見に来なくてもいいんじゃないかな?
ええッと、俺が首席だ。次席がアレスで、3位がレオナとルーナとマークだ。すごいな。うちのクラスが1位から5位まで独占だね。あれ?マークは?
「おい、マルク・ドンナルナ。お前は自分の母親の権力を使って、一位を取って恥ずかしくないのか?」
「ヨークス・カルバイン君だね。どういう意味かな?」
「言った通りだ」
「よく言えるね。自分は父親の権利を傘に自分勝手な行動をしておいて、そんな事を言って恥ずかしくないのかな?」
「何を?」
「そう思うなら、理事長や学院長に聞けば?自分の評価点と、俺が母上の権力を使ったか?をね」
「ふん。あいつらがまともに答えるはずがない」
「そう、じゃあ、王宮に申し出れば、学院内で不正な権力の行使があったって。そうすれば調べてくれるんじゃない?まぁ君の不正もバレて夏休み明けにいないかもしれないけど」
「な?」
「何で吃るのかな?疚しいところがないなら、王宮に申し出ればいいんじゃない?その方がすっきりするよ」
「う、覚えてろ」
「ごめん、明日には忘れると思うよ。君に興味がないから」
「く」
「じゃあね」
マークを探してと。マークはっと。居た。
「やあ。マーク。今回は勝たせてもらったよ。俺が有利な条件だしね」
「ああ」
「また来季も勝負しようね。マークのおかげで頑張れたから」
「次は勝つ」
「待ち受けて、また勝つよ」
「ふふ。君は強いな」
「何が?」
「俺はレオサードだ。嫌がらせするとは思わないのか?今回の勝負の腹いせに」
「うん。マークはそういうタイプじゃないと思うからね」
「そうか。完敗だ。次は勝つよ」
「ああ。じゃあね」
こうして掲示板で成績を確認した後は、ルーナと部室に向かう。
「来年も4人一緒になれそうだね」
「ええ。レオナと私は頑張らないとこの成績を保つのが大変ですが」
「そうかな。2人は大丈夫だと思うよ。俺の方が怪しいかな」
「マルクがですか?」
「スキルは使えないからね。他の人たちがスキルを存分に使えるようになれば実技は厳しいし、スキルを使用する授業は取れないから、筆記だらけだしね。かなり勉強しないとキツいよ。実際」
「そうですね。スキルありきの授業はスキルを使用できるようになればトップ評価になりますから、楽ですね。それに比べて、そうでないのは全て勉強を頑張らないとまずいですね」
「ああ」
「そう考えると、やっぱり、マルクはすごいです。ハンデを受けながら、あっさりと私たちを超える。見習わないといけませんね」
「ふふ。そんな大層なものじゃないよ」
「ふふ。謙遜を」
ちょうど部室に着く。
「「失礼します」」
「はい」
「レア先生、お疲れ様です」
「レア先生、一学期ありがとうございました」
「ええ、2人ともいい成績を取りましたね。おめでとうございます」
「「ありがとうございます」」
「マルクは首席、ルーナもトップテンだったね」
「サリー先輩、掲示板番を見たのですか?」
「ええ。3年次はもうほぼ決まっているけどね」
「三年生は全ての授業を取り終えているものがほとんどですからね」
「レア先生、でもミリア先輩は?」
「ええ。彼女は一年間の授業時間を減らすために、少し三年生に残したらしいですね」
「そう、ミリアはそういう面倒くさがりなの。ここにいて研究している方が楽しいとかで、最低限しか一年で取らないから、今年に残したのよ。でも、きっと魔法学院は受かるけどね」
「そうでしょうね。普通は3年次は受験勉強か就職活動をするものですが、ミリアさんは出来ますからね。私は学術都市に行ってもいいと思いますが。」
「ええ。エルカ様と同じ道を行くって、ミリアは魔法学院に決めたみたいだけど」
「サリー先輩は試験がないなら、何で掲示板番に?」
「カリウスのね」
「ああ。それを確認に」
「そう。もう私の代は首席がミリア、次席が私で決まっているから」
「ミリア先輩は、実技はどうなのですか?」
「ああ。あの子は杖術がすごいのと、無詠唱だから実技もすごいのよ」
「へえ。無詠唱。すごいです」
「そう、メル様の無詠唱を」
「いや、メル姉のものではないですよ」
「チッチッチ。無詠唱と言えば、メル様とリネア様なのですよ。マルク」
「そうですか」
メル姉が好きすぎでしょ。
「マルクは不思議かと思いますが、無詠唱を使える者は少ないので、現在使えるのは十数人です。その中で、完璧に使えるのは、メルとリネア様ぐらいです。だから無詠唱の代名詞はリネア様とメルですね。それに、今度ミリアさんが追加されますけどね」
「ミリア先輩はそんなに無詠唱を使えるのですか?」
「それはもう。当学院史上最高と言われます。学院関係者で無詠唱といえばメルかミリアさんかと」
「へえ」
「そうなのよ。メル様に並ぶなんて。貴族もどきなのに」
うん?ああ、これがミリア先輩が言っていたサリー先輩が怪しいというやつか。ああ、ルーナも微妙な顔をしている。まあルーナの事が貴族派に伝わってなかったことから、完全にそっちではなく、思考が近いか、貴族=選民の思考に近いものを持っているのかも。
「そうですか。夏休みに入るので、その前に挨拶をと思いまして、きた次第です。ミリア先輩は?」
「ミリアはどこにいるかわからないのよ?」
「ここ」
「はあ、また変なところに」
「書類は片付いている。でも眠くて、ソファーの裏で寝てた」
「ミリア先輩、これから夏休みなので、会う機会も減るかと思います。また来季よろしくお願いします」
「うん。でも間違い。ここにいるから会いに来るといい」
「部室にですか?」
「うん」
「そうですね。部室は開放しているから自由に使っていいですよ」
「そうよ。私は受験の勉強で来なくなるけどね」
「静かになる」
「ふふ。それはどういう事かな?ミリア」
「そのまま」
「もう」
「まぁまぁ、ミリアさんもサリーさんも後輩の前です。少しは控えなさい」
「はい」
「うん」
こうして、挨拶を済ませ、食堂にルーナと向かう。
「では失礼します」
「失礼します」
食堂に着いた。2人はまだいないようだ。部室で夏休みの予定を聞いているのかな?2人の部活動は夏休みに合宿しそうだ。魔術詠唱研究会はないけどね。




