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秘密の共有と考察

こうして、授業に向け、レオナとアレスの2人は教室へ向かう。俺とルーナは部室に行く。

「失礼します」

「失礼します」


「誰もいないか。よし、お互いの結果を照らし合わせよう」

「はい」

「ねえ、私いる」


「うわ?ミリア先輩どこにいらっしゃったのですか?」

「マルクはひどい」

「いや、いっらしゃるようには見えませんでした」

「そこにいた」


「あの紙の束の中ですか?」

「うん」

「片付けませんか?」


「手伝ってくれるなら?」

「しょうがないですね」

「マルクはいい子」


「私も手伝います。あれらはどうしますか?」

「ルーナはもっといい子。あれは読んだけど、マルクらのためにもなる。箱に入れて整理してほしい」

「わかりました」


「もう、収納箱を作って、そこに読んだ資料を必ず入れたらいいのでは?」

「マルク、それいい。今度はそうする」


「はあ。それは良かったです。これで片付けも、サリー先輩のお怒りも減りそうです」

「サリーはうるさい。片付けるからいいと思う」

「そういうことではないですが」

「いい。早くやる」

片付けを手早くやる。文句を言われると面倒だしね。


「ミリア先輩、終わりましたね。これでサリー先輩に怒られないで済みそうだ」

「マルク、そういうところがダメ。女心がわかっていない」


「そうですね。マルクはもう少し、女心は学ぶべきです」

「え〜。なんで俺が怒られるの?女心は難しいよ」

「だから、レオナに怒られるのです」


「それより、今日は何を?」

「研究です。ルーナとここのところの研究内容をすり合わせて、形作るためです」

「そう」

「ミリア先輩は?」


「もう授業は2つだけだから、暇でここで研究してたら、いつのまにか寝てた」

ミリア先輩はこんなんだが、これでかなりできる人なんだ。3年次の首席で、歴代でもトップクラスの頭脳の持ち主だそうだ。このタイプは頭がいいんだ。ちなみにエルカ姉様も頭がいい。


ただし、あの代はレア先生とメル姉が同様に凄かった。あの代は学院史上最高の代と言われている。父上の代も史上最高の代と言われる。違う意味でも。あの代は三者三様の凄さと言われ、切れ者のガルド様、天才の陛下、最強の父上で、さらに影の帝王ガルド、女泣かしのラインバッハ、悪童のラルクという名も有名だった。俺は学院に来て知った。


「では、また研究の悩みを聞いてもらっても?」

「うん。後輩の悩みを聞くのは部長の務め」

「ありがとうございます」


とりあえず、ルーナとすり合わせる。これで、だいたいの違いと類似は調べられた。ルーナは早い。よくこんなに調べられる。頭がいい。入試では早く終わったが、皆んなに合わせて終了まで待ったらしい。


「ルーナ、だいたいはいいけど。問題は」

「どこがスキル仕様にする為のところかですね」


「ああ。各魔法文字の呪文で、スキルに頼らないようにできるだろうけど、魔法文字の魔法の問題点を洗い出さないとスキルなしの人々が使えないというのは意味がない。それじゃあ、正しくてもスキル派に潰される」

「誰でも使えることが重要です」

「ああ」


「ちなみに聞いてもいいですか?」

「うん?何を?」

「マルクは魔法を使えるんですよね?」

「うーん。秘密だよ」


「では、どのようにしているのですか?」

「それは気になる」

「うわ?急に話に入らないでください。ミリア先輩」

「アドバイスする。早く教える」


「はあ。ミリア先輩も内緒ですよ。まだ隠さないと聖国に狙われる可能性があるので」

「うん。約束する」


「わかりました。では、簡単に言うと、トルネストさんの理論にある自然のマナを使います。というかスキルありでも自然のマナを使います」

「父の理論はあっているのですか」


「そこまでは正しいんだ。問題は自然のマナを変容させることなんだ」

「そうですか」


「続けるね。そこで、マナを結合させる又は離散させることが魔法の発動させることだと気づいたんだ」

「マナを結合、離散?」

「はい。マナ同士をどうくっつけるか、どう離すかで魔法は変わる」


「あっ。うん。それならわかる。今まで悩んで来た事が解決した」

「わかりますか?魔法はマナがくっついたり、離れたりする事でできる現象なんだ」

「つまり、本物の火は何かが燃えているのですが、魔法はマナがくっついたり、離れたりする事で生じる現象、擬似現象だと」


「そういう事だよ。ルーナ。だから、自然のマナを自分のマナでくっつけたり、離したりできたら、魔法をできるわけ」

「でも、自分のマナでどうやって自然のマナを操るのですか?詠唱はスキルなしには使えないですよね」


「そう。それが問題。俺はマナを外に出すことができるから、問題ないけど、スキルのない人はそれがまずできない。スキルのある人は魔法スキルに頼るから、やったことがない」

「そうですね。それはやり方がわかりません」


「うん。わからない」

「マナ操作スキルがあれば、マナの操作はできるよ。兄上も、メル姉も、エルカ姉様も、母上もそこは魔法スキルの派生スキル『マナ操作』でできるようになった」

「それを教えて」


「ミリア先輩、それはできません。ミリア先輩は試したくなるでしょ?バレるとまずいので、それを誰かに見られたらマズイので、教えられません」

「む。人前でしない。約束する」


「だめです。母上や父上との約束です」

「う、わかった。リネア様がダメというなら我慢」

「はい。さっきのことが解決したら、この魔法の理論が完成します。そしたら発表しますので、その時まで待ってください」


「わかった。待つ。でも一番に教えて」

「わかりました。ミリア先輩。そのかわり内緒ですよ。ルーナも秘密を守ってね」

「はい。わかりました」

「うん。守る」


「わかりました。続けますね。そうすると、スキルと詠唱についてが疑問に思うよね?」

「はい。父の理論ではスキルは魔法を理解できる為のもの、詠唱は魔法を作る方法だと言っていました。でも違うのですよね?」


「スキルが魔法を理解するもので、詠唱が魔法を作る方法だとするなら、2つ問題がある。1つは無詠唱。もう一つは魔法とは何か、そのメカニズムはどういったものかを皆が知らない事だよ」

「確かに、魔法を理解する方法ならば、それはおかしいですね」


「ああ。トルネストさんはその辺で最も焦ったのか、聖国に潰されないようにしたんだろうね。確かにマナを変容させているだけならメカニズムだ。スキルが無駄とは言ってない。それで禁書は免れたんじゃないかな」

「そうですね。そうかもしれません」


「ああ。で、話を戻すと、詠唱は魔法の方法ではなく、魔法発動のための計算式みたいなものだ。そして、スキルは魔法を理解するんじゃない。詠唱を覚えるものであり、詠唱と詠唱の結果の組み合わせを覚える為の方法だね。だから、無詠唱で撃てる。無詠唱は例えるなら暗算したようなものだね」


「うん。それは理が通ってる。確かに、それならメカニズムもいらないし、無詠唱も理由がわかる。無詠唱がなぜできるかは魔法学の長い疑問だった」

「そうですか」


「マルクのおかげで、永遠の問題が解けたし、今の研究も進む」

「でも、まだ発表はダメです。俺の理論が完成しないとダメです」

ガルバインの処分で、近しい者で信じられる者は話していいと父上の許可はもう得ている。


「う。ちょっとだけ」

「ダメです。もしバレたら先輩も俺も殺されます。サリー先輩にも言ってはダメですよ」

「わかった。約束」

「わかりました」


「確かに、マルクの言う理論は問題がないです。それにスキルのないマルクが撃てるのが証明ですね」

「そう。でもこれだと、さっき言ったマナ操作なしには魔法は撃てない。魔法の仕組みはわかっても、それを再現する方法はない。マナを結合したり、離したりする方法はマナの操作に頼ることになる」


「そうですね。それが一番ハードルが高いですね」

「ルーナ、そうなんだ」


「それで、魔法文字を利用して詠唱の代わりにスキルに関係ない式を作りだそうというわけですか」

「ああ。それを呪文と名付けようと思うんだ」


「うん。それはいい。呪文で強制的にマナを結合させたり、離散させてたりするのはいい」

「はい。それなら、マナ操作を省けます」

「うん。それがベスト。マルクはすごい」


「ええ。本当にすごいです。よくこれを思いつきましたね。12歳で思いつくところに辿り着けるとは驚きです」

「違うよ。7歳で思いついたんだ。実際に7歳でできるようになったよ」


「え?」

「本当ですか?」

「ああ。でもさっきから言うように、聖国が危険だから、黙っておいたんだ」


「そうですね。聖国は是が非でも潰してくるでしょう。非合法な方法で」

「うん。で今なら貴族派がズタボロだからある程度はいいと」


「そうです。俺が力をつけること、貴族派が力を無くすこと、魔法理論で国民皆が魔法を撃てるようになることが揃えば、王国は聖国に何を言われようとこの理論を守るし、俺も自分の力で自分を、家族を、友達を守れるからです」


「そう。それは秘密にしないといけない」

「わかってくれましたか?ミリア先輩」


「うん。サリーにも言わない。サリーは少し危険」

「え?」


「サリーは貴族派ではないけど、騎士の家系の貴族。私は文官・商人の家系の準貴族扱いで父は大商人。サリーは違う」

「そうですか」


「うん」

「わかりました。ありがとうございます」

「うん」

サリー先輩はなかなか会えないし、今のところ大丈夫か。でもカリウス先輩は少し距離を考えよう。


「最後の質問ですが、何故マルクはマナ操作をできるのですか?」

「ああ。それは俺のスキル『飲み込む』のおかげだよ」

「そのスキル、使える?」


「そうですね。最初は使えないスキルと言われましたし、自分でもスキルの意味すらわからず、困り果てましたが、何とかどういったスキルかわかり、有用さを理解できました」

「何故スキルでマナ操作が使えるのでしょうか?」


「ごめん。それはまだ言えない。それは魔法理論以上に言えないないんだ」

「そうですか。それもラルク様から止められているんですか?」

「ああ」


「そうですか。では聞くのはやめましょう」

「そうしてくれると助かるね」


「わかりました。では話を戻しましょう。そうすると、魔法文字と詠唱の文字とで相違点からスキルが介在しなくてはいけないようにしている部分を見つけないといけませんね」


「ああ。それをどうするか何だよね。俺は魔法文字を使って魔法を撃つことから始めるのがいいと思うんだよ。それを、少しずつ詠唱に近づけて撃っていく。そしてどこが魔法文字から詠唱にする際にスキルを介在させなくてはいけないようにした部分かを見つけるのが手っ取り早いかなと」


「そうですね。父の研究に似たようなものがあったような気がします。もう一度見直してみます」

「えっ?トルネストさんはそんなことまで研究してたの?」


「ええ。ただ、全く見つけられなかったようです。あくまで、スキルとは何かを見つける過程で、スキルと詠唱の関係から詠唱にはスキルを必要とする何かがあるはずと考えて、それを調べていたようです。そこからスキルとは何か、スキルと詠唱の関係を考えていたみたいです」


「そうか。違うベクトルからスキルと詠唱の関係を調べたのか?」

「う、それは素晴らしい。私も知りたい」

「ミリア先輩、いいですよ。あとで教えます」


「うん。ありがとう。ルーナ」

「いいえ、どういたしまして」


「しかし、スキルとはなんなんでしょう?」

「何が?」

「魔法スキルは、詠唱を覚える方法や魔法の詠唱と現象の組み合わせを覚える方法だとして、何故スキルが必要なのでしょう?」


「どういうこと?」

「はい。スキルなしにする改変もあったはずです。しかし、わざとそうせずにスキルを介在させた。それは何故でしょう。そして、何の為にスキルを作る必要があったのでしょう?」


「ああ、それか。俺も考えたけど、思いつくのはスキルを作った方が簡単になるから、もしくはスキルによる独占をしたいかじゃないかと思うんだ」

「つまり、スキルを与える神がそれを独占したいと?もしくはスキルがない時、魔法文字は使いづらいと?」

「どちらかだと思うんだよね」


「だとすると、天神様はすごく人間臭いか、ほかの神を信仰させてたくないかですね?」

「!?」

「何か?」


「それはすごいことを思いついたね。ルーナの言う通りだと、天神様以外に神がいるか?天神様は人間だったかだね?」

「「!?」」


「もしくは、魔法やスキルは人間が作ったものになるんじゃない?」

「「!?」」


「そうは思えないかな?違うかな?」

「いえ。言われればそう思います。それだと信仰が揺らぎますが」


「まあ、あくまで俺の推論だよ。本当は違うかもね。人間を見てて憐れんだとか?」

「ええ。その可能性もあり得ますね」


「まぁ、どっちでもいいんだけどね」

「いえ、違います。もしさっきのやつだとすると、やはり魔法文字は魔法を撃てると言うことになります。そして、天神様は人間が簡単に魔法を撃てることを嫌ってらっしゃる可能性が高いです。


あえて、スキルを介在させるようにしたこと、そして一部のものしかスキルが使えないのにスキルありきにしたことがそうだと示しているかもしれません」


「すごいことになってきたね」

「うん。これはすごいけど、聖国が怒る」


「ええ。ミリア先輩の言う通りです。これは考えないようにしましょう」

「ああ」


こうして。話は終わった。ミリア先輩とは別れる前にもう一度誰にも言わないように念を押しておいた。


俺はルーナと別れ、家路に着こうと、学院を出るために門に向かうと、カリウス先輩がいた。今度、俺のうちでリオル先輩らに隠れて訓練をしたいというので、試験が終わったら行うことになった。


そして、家では訓練と研究、そして瞑想と試験対策をして寝た。


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