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閑話 カルバイン家の凋落

「ラルクよ。例の件は進んでおる。焦るな」

「ラインバッハよ。そのくらいはわかっている。でもな、奴のした事は許せん」

「それは儂も一緒だ。そのくらいはわかっておる。だからガルドにさせておる。だから今は待て」


例の件とはヨーゼフ・フォン・ガルバインの件である。魔術詠唱研究会の件から始まった貴族派の横暴は、ルーナリアの件を経て、ついに王宮を動かすほどに許される範囲を超えていた。


特にラルク、ラインバッハ、ガルドの悪友3人は弟のように可愛がっていた、マルク・フォン・トルネストを失態に追い込み、追放させた時より、貴族派に対する怒りを抱えていたが、その娘までも利用した事は我慢の限界に達するほどであった。特にラルクは怒りを通り越し、殺意すら覚えていた。


「入るぞ」

「ガルドか、そうだ?」


「ラルクよ、焦るな。今報告する。やはりアルメニア家は貴族派に体良く使われていたのだ。横領を皮切りに、犯罪に、本人たちは気づかぬうちに手を貸していた。


さらに、学院にルーナリアを通わすためと称して給金を一部、搾取されていた。そして、アルメニア家はルーナリアに言うことを聞かなければ、家族が職を失うと言っていたようだ」


「家のために、子供を使ったのか?家族をなんだと思っている」

「まぁ待て、怒るな。これらはしょうがない事だ。貴族派の連中は巧みにアルメニア家の弱いところをついてきた。それでアルメニア家は利用されたということだ」


「そうか。してどうするのだ?」

「ライン、ここはアルメニアを救う。そうして、アルメニアに証拠を作らせて、一網打尽で貴族派を潰すのだ」

「そうか。トルネストの娘はどうする?」


「ラルク、わかっている。あの子らは先に保護する。儂の屋敷に保護したのちに、アルメニア家から分家させ、独立させる。当主は娘のルーナリアだ。本家は証拠を作らせた後、飛ばせる振りして、儂が保護して、その後に爵位を復活させる。


で、アルメニアを本家と分家として二つに分ける。なお、分家は準爵がだがな」

「そうか。それなら良い。トルネストの娘には全容を話すぞ」


「もう少し、待て。アルメニア家を落としてからだ」

「早くしろ」


「ふむ。わかっておる」


それから、1週間が立つ。


「ガルド、アルメニア家の件はどうなっている」

「アルメニア家は落ちた。しかし、貴族派の連中の証拠が予想以上に少ない。ガルバインは潰せるが、それ以外は小物ばかりで。思った以上に貴族派の全容がわからない。これはもしかしたら。あいつらには何かあるのだろう。それが掴めん」


「そうか。あのレオサードの時から感じていた、よくわからない物はそれか?」

「なんだと、ラルク、お前は何かわかったのか?」


「いや、ただ感じたのは、トップであり、要であるレオサードが潰れたはずが、いつに間にか貴族派が復活していた事に対する何かの裏幕の存在だ。しかも貴族派は大きくすらなっているようだからな。よっぽどのやつだ」


「確かに、お前のそういう勘は当たるからの」

「ふん。今回はわからんぞ。俺も何か全くわからん。全容が見えん」


「うむ。とりあえずはできる事を行うことからだな」

「それがいいだろう。ガルド」


「ふむ。ガルバイン一派を捕まえる。いいなラインバッハ」

「うむ。それで良い。ただし貴族派の連中にバック.がいるのではないか、聖国の枢機卿あたりか。奴が何かしている可能性を感じる。ガルド、あやつと帝国皇帝は義理の親子だな。こやつらを調べろ。神殿もな」

「ふむ。わかった」


悪友3人はそれぞれの凄みが違う。ラルクは戦場や危機感に関する鋭さ、ガルドは細かな謀略だ。そして、ラインバッハは賢王と言われる所以が深い洞察力だ。普段はガルドらに任せているのほほんとした王であるが、問題が起きた時の洞察力こそ、彼の凄みだ。


「とりあえずは、ルーナリアというトルネストの娘には話すぞ」

「ああ、して良い。ガルバイン以上の大物は無理だろう」

「ふん、ガルド、早くガルバインのバカを捕まえろ」


「わかっている。協力をしろ。お前とアルフの手柄として、両者を元の役職に戻す」

「アルフはダメだ。奴は今結果をコツコツと出している。そのうち戻る。それまで待て、ガルド。これは父親として、認めん」


「儂も義父親だが」

「ダメだ。あいつの事を考えたら、今は自分の力で成果を出し、それを認められる事で力に変える。これを感じさせるのが重要だ」


「わかった。いい父親ではないか」

「ああ、あの時に学んだからな」

「そうか」


それから数日、ガルバイン家を中心に幾分か貴族派の家が取り調べに入られ、数々の犯罪や昨年の第1王子の事件への関わ理などが見つかり、お取り潰しや改易などにあった。ガルバイン家の騒乱と言われるこの件は後にさらなる騒乱に繋がっている事を誰も知らなかった。


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