第一歩③
前話の続きです。
部屋に戻ろうとすると、ゼルだ、
「マルク様、お食事のお時間です。どちらに?訓練で汗をかいたならタオルを持ってきましょうか?」
「いや、大丈夫。今行くよ」
「そうですか」
食卓に着くと、父上もいた。
「マルク、今日は訓練で疲れたか?」
「少し、ですが大丈夫です」
「そうか、どうだった魔法は?」
「できませんでしたが、かなり参考になりました。スキルではできませんがどうにかする方法があるかもしれません」
「そうか。それは良かったな」
「はい。父上」
そんな話をして、食事を終わって、俺は部屋に戻った。
「リネア、マルクが魔法は使えそうなのか?」
「ええ、というより使えているわ」
「使える?スキルはないだろう」
「ええ、スキルじゃないの。それどころか聞いたこともない魔法よ」
「聞いたことがない。リネアが?」
「ええ、そうなの。なんて言えばいいかしら、あえて名をつけるなら無属性かしら」
「「無属性とは?」」
「ゼル、普通の魔法は何かしら属性があって、スキルで発動するわね。でもマルクのは属性がないの。マナを外にそのまま出してるのよ。マナを直接、操作しているの。あれはマナを練るっていうのとは違うの。マナを扱っているの」
「マナを直接扱う!」
ゼルは驚いていた。まるで昼に見た物を思い出すかのように。
「そうか、ゼルよ。槍の訓練の時も武闘オーラを出していたが」
「ええ。ラルク様も気づきましたか。あれはもしや」
「多分、マナね。ゼルが昼に言ってたのは多分マナよ」
「だとすると、マナを纏うということは魔闘ですね」
「あぁ、武闘とは違うが、似たような技術の魔闘だな。よく獣人族の者らが使う武術だな。拳や武器にマナを載せる」
「ええ、人族ができるものはほぼ聞いた事がないですがね。獣人族では魔闘をできれば一流、魔闘を使いこなすができると、武術家として超一流ですからね」
「そうなの。不思議ね。ねえ、ラルク、これすごいんじゃない。でもスキルがなくても魔法や魔闘が使えるって聖国が静かにしているかしら」
「うむ、これはマズイかもな。皆、周りには黙っておいてくれ」
夜も更けてゆく。マルクのことを家族や周りの者らは心配しながら。
かたやマルクは。
部屋に戻ってからずっと考えてるけど、纏まらない。
一番がマナとスキルが何かだ。
これがわかれば、きっと全てがわかる。だけど、何もわからない。キッカケすら掴めない。でも、しょうがない。何百年いや何千年という時間で、誰も答えを出していないんだ。これを俺が1日でわかるんなら、誰も苦労しない。
まずは、科学を思い出してみよう。前世でいっぱい読んでいた。彼、いや俺は本を読むしかすることがなかった。だから科学はわかるはずだ。そこから紐解いていけばいいんだ。わかるところから始めよう。
まぁ、火がわかりやすいか。ある有名な本を思い出す。
火は、木などの燃えやすい物、これを可燃物という。この可燃物の温度が高くなると、固体と気体に分解される。出てきた気体が酸素と結び着くためにさらに分解される。分解して出た可燃性ガスが発熱反応する。これが火がつくことだ。酸素がないと気体が分解されずに火はつかない。酸素は火をつける時に重要だ。これが火のメカニズムだよなぁ。
うーん。なんだ。マナは何をするんだ。火魔法に可燃物はない。酸素はある。だとするとマナが可燃物になる。でも可燃物を気体に分解して、分解して可燃性のガスが燃えるはありえない。そもそもマナに変容はない。
そうだとすると考えられるのは、空気中の可燃性ガスを集めている。そう考えると、空気中の可燃性ガスか。空気中の水蒸気を酸素と水素に分ける。そうすると水素は発熱反応するというならば、できるかも。
又はマナが可燃性ガスとして燃えるだ。燃えたのに変容がないのはわからないがマナが燃える物として、マナを発熱反応をさせる。だとすると、マナは発熱反応してもそのものは変化しない。そんな物質なのか。でなきゃゴミのような残骸と言える気体か個体ができる。
まあ前者ならば、発熱物質を集める。後者ならば発熱反応に近い現象がマナに起きるだ。
うーん。どちらもありえそうだ。
前者で考えるならば、科学をマナで引き起こす。後者なら、魔法で擬似科学をするということか?
まぁ、実験あるのみだ。それしかない。どっちかは調べてみると。これは科学だな。あの世界の科学だな。考えて実験、間違えているならどこが間違えてるか考えて、仮説を立てる。仮説を元に実験する。この繰り返し。まさに科学だな。この世界で科学をしているのは俺だけだ。
まずは、今日は寝よう。今は寝よう。疲れた。
これで第一歩目が終了です。今作は会話を中心にしたいと思っています。
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もう数話を2月15日の夜に投稿します。