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ライバルであり、友である。それが幸せ

3週間後


いつも通りに日課の訓練を行い、朝食を食べ、学院に来た。教室に入る。ルーナとは話さない。あの後、アレスとレオナには事情を話し、最近は昼食を4人で魔術詠唱研究会で食べている。教室に入る。


「おはよう、アレス」

「おはよう。マルク」


「今日は実技の授業だね。調子はいい?今日こそ勝つよ」

「調子はいいよ。今日もアレスには、負けないね」

「調子に乗っているのも今日までだよ」

「ふふ。勝ってから言おうか」

「く。今日こそ勝つ」


「おはよう、マルク」

「おはよう、レオナ」

「また、実技の日の勝つ、負けないの言い合いをしてるのね。よく飽きないわね」

「まあ、お互いに気合を入れてるんだ。友達だけどライバルだからね」


「ふふふ。マルク、そういうのは言わないほうがいいわよ。ほらアレスがなんか恥ずかしそうな顔をしているでしょ?」

「そうだね。本当にマルクは変わらないよ」

「うん。これも言わないほうがいいの?」

「「そう」」

「うーん」

「「ププ」」


「笑わないでよ」

「しょうがないよ。マルクはすごいのか、そうじゃないのか解らないよ。本当に」

「そうね。アレスの言う通りだわ」


レア先生が来た。

「皆さん、席についてください。今日は連絡があります。夏の休み明けにある実習についてです。基本的に皆さん参加となりまが、1学期の実技の試験で危険と判断された場合には不参加となります。参加される生徒は専門授業として単位をもらえます。皆さん、実技の授業を頑張ってください」

「「「「「はい」」」」」


「他には連絡事項はありません。出席を取っていきます。アルメニアさん」

「はい」

「次、・・・・」


「全員いますね。では授業を頑張ってください」

レア先生は出席を確認して教室を出て行った。


「アレス、実習だよ」

「マルク、嬉しそうだね。マルクは実習に出れないとかはないだろうね」

「ああ、そうなるよう頑張るよ。レオナとアレスと組みたいね」


「そうね。実習に参加するなら、私はマルクとアレスとチームを組みたいわ」

「そうだね。俺もそうだよ」

「よかった。アレスとレオナが嫌だと言われたらどうしようかと思ったよ」


「ふふ。それはないわ」

「そうだね。それはないかな」


「どんなところかな?」

「えっ、知らないの?知っているわよね?」

「知らない。えっ、おかしい?」

「はあ、マルクの天然が出た」


「そうね、いつもの惚けたところが出て来たわ」

「「はあ」」

「ええ?おかしい?」

「「おかしい」」

「ええ〜」


実習の話で盛り上がった後、授業に向かう。実習は王都近くの森らしい。適度に魔物が出るからいいんだって。


実技の先生、トーラス先生がいらっしゃった。

「皆、おはよう。ホームルームで聞いたと思うが、実習の授業が夏休み明けにある。その実習に参加できるかを来月に試験する。この試験はこの授業の単位とは関係ない。ただし、実習を受けれるか決める大事な試験だ。皆、訓練を怠らない様に。特に騎士を目指す者は、実習を受けられないと騎士学院にはまず進めない。よって騎士を目指す者はより訓練に励め」


「「「「「はい」」」」」

「では、授業を始めよう。いつもの通り、走るぞ。武具をつけろ」

「「「「「はい」」」」」


「よし、全員いいな。走れ」

「走れ」の合図と共に皆が一斉に走り始める。とにかく一時限目は走る。とにかく走る。これが授業だ。

・・・

・・・

・・・

「よし、そこまで。今日もよく走った。全員、よく走れる様になった。訓練をしているな。走る事ができない奴は実習には絶対に行かせない。最後まで走れてない者は普段から走る訓練をしろ」

「「はい」」


「では、少し休憩したら、次は乱取りだ。休憩中に二人一組になっておけ」

「アレス」

「ああ、マルク。今日もよろしく」


アレスとは毎週、この授業で乱取りをする。最近アレスは強くなって来ている。トーラス先生やシグルソン教官に剣を教わっている。いい師の元で学ぶと強くなるという良い例だ。


一本目はアレスの剣を上手くかわし、突きで勝った。次は柄返しで剣の軌道を変えて、踏み込み、切り上げで勝った。

「く。本当に差が縮まらない」

「アレスは強くなっているよ。スキルを使われたら、もう勝てないよ」

あくまで、俺が使わないならだけど。


「わかっている。でもスキルなしでマルクに勝つのが目標だから」

「ああ。とことんやろう」

「ああ」


何度も授業が終わるまでやる。時々、いい勝負っぽくなる時がある。気は抜けない。本当にいい友達を持った。アレスのおかげで自分を見つめ直せる。調子に乗ってはいけないと。そして自分も強くなっていると思える。


「はあ。今日も一本も勝てなかった」

「ふふ。かなり危ないのもあったけどね」

「くそ。いつか吠え面をかかせてやる」


「ああ、待ってるよ。アレスが強くなればなるほど、俺はもっと強くなりたいって思える」

「それは、俺のセリフだ」

「ふふ、今日もありがとう」

「こっちこそ」


トーラス先生が近づいて来た

「ふむ、アレス、いい剣筋になっているぞ。あとは間合いだな。相手との距離感の見極めが上手くなればもっと強くなる。何度も振って、自分の間合いを見つめろ。そのうち相手の間合いも見える。そうすれば、相手に勝てる」


「はい」

「うむ。頑張ればマルクに吠え面をかかせることもできる。マルクはまだまだ強くなれるな。基本を甘く見ない者は強くなる。マルク、それを忘れるな」

「はい」


「二人とも頑張って強くなれ」

「「はい」」

いい先生だ。基本、これが武術の基礎にして奥義。これを教える先生はいい先生だとゼルも言っていた。


こうして授業を終えるかという時、

「あの、私とも乱取りをしてくれませんか?」

「ええと」


「Aクラスのルイージです。」

「ルイージ君、いいよ。来週の授業でやろうか」

「お願いします」

「うん」

彼は嬉しそうに去っていった。


「なあ、アレス、ルイージ君のこと知っている?」

「うん、少しだけ。確か平民だけど、すごいスキルで推薦で入った人だよ」

「そうか。じゃあ、あれかな」


「いや、貴族派とは仲良くないみたい。だからAクラスでは浮いているって」

「そうなんだ。部活は?」

「俺と同じ実践武術研究会だよ」

「そうなんだ。話したことある?」


「うん、少しだけ。でもいつもは一人黙々と訓練しているよ」

「そうなんだ。いい人なら仲良くしたいね」

「ああ、そうだね」

これで授業は終わった。


それから、昼食を食べに部室に行った。

「マルク、アレス、お疲れ様」

「マルク、アレス、お疲れ様です」

「うん、レオナも、ルーナもお疲れ様」

「レオナ、ルーナ、お疲れ」


「今日の勝敗は?」

「俺の全敗だよ」


「ふっ、アレスに負けたくないからね」

「本当に仲が良いですね」


「ああ、学院に入る前は唯一の友達だから」

「俺は他にも友達がいたけどね」

「あ。裏切られた」

「「「プッ、ハハハ」」」


「笑わないでよ。真剣に怒っているんだよ」

「しょうがないじゃない。面白いんだもん」

「もう、レオナ」


午後は、基礎戦術学だ。

いつも通り、前半は講義、後半は戦術の対戦形式の授業だ。講義はあの王国が大敗した大戦の一戦だ。帝国がなぜ、あそこまで突っ込んで攻めたのは正しかったか?だ。


先生は必要性がないという答えを示した。まぁ、戦術だけを考えると、それが正しいと思う。だけどシグルソン教官から聞いた話を元にすると、それも正しいと思う。実際に先生もあの時、父上が死んでいたら、王国はないかもしれないとは言っていた。そして、父上が英雄として名を挙げた事が王国の力となったと。


難しい判断だが、シグルソン教官の判断は正しい。結果が出なかっただけだ。まぁ戦場は結果が全てだから、間違いというのは否定しない。


その後の対戦形式はレオナに大敗した。先生はいつもレオナと俺を戦わせる。俺とレオナが頭一つ抜けているからだと。ただ、大敗しているから、レオナの方が圧倒的に強いとは思う。


「ふう、マルクと対戦する時は気が抜けない。全く見たことない戦法をしてくるから」

「今回の作戦はいけると思ったんだけどね」


「ふむ、両翼を減らし、真ん中で突進して、偽装退却する。そして誘い出された相手主力部隊を伏兵の両翼が囲う。素晴らしい作戦ですね。マルク君」

「先生。ですが、全く効きませんでした」


「ええ。その前に魔法兵にやられすぎましたね。それがなければ勝っていたでしょう」

「ええ、それをマルクが理解できていたら、負けていたと思います」

「う」


「まぁ策は面白いですが、この国の戦い向きではありませんね。魔法のない国との戦いを考えているような戦い方です。マルク君、これは自分で考えたのですか?」

先生が鋭い。前世で読んだ本を元に考えた策だ。前世の国の一地方領主が圧倒的な戦力差を覆した戦法だ。


「はい。両翼で負ける事が多いので、だったら戦わずに戦力差を作れるところで勝てばいいと思いまして、この策を考えつきました」


「ふむ。実に面白い発想です。そういう風に新たな事に挑戦するのはいいですよ。他国の知らない策を作れれば戦いに勝てる可能性も増えましょう」

「ありがとうございます。先生」


「いいえ。本当の事を述べたにすぎません」

この後は他の生徒の対決を見て、感想を言いあった。しかしガリシアン家のルーカスはひどい。


こうして授業は終わった。今日は部室には寄らずに帰る。レオナは戦術研究会の部室によるそうだ。

「そうか部室によるんだね。じゃあね。レオナ」

「ええ。さようなら」


家路に着いたら、今日の訓練の残りをする。その後に夕食を食べ、そして研究だ。もう少しで、古代文字と詠唱の言葉の違いを纏められる。だけで、まだどこが改変されて、スキルがないと理解できないのかがわからない。もう少しかかりそうだ。


昨日夜に予約投稿しましたが、日時を間違えました。3月20日14時より投稿となっています。夜はいつも通り、休日なので、19時に投稿します。

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