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友①

1ヶ月後


この1ヶ月は各訓練と研究と授業の繰り返しだった。とにかく、反復し努力する。それしかできないのは凡人故というところ。


今日も朝から訓練だ。基礎は朝のうちに短い時間できっちり訓練を終わせられるようになった。そして朝食を食べた後は学院に登校する。


「では、母上、行ってまいります」

「はい。行ってらっしゃい。また授業でね」

「はい」


そして学院に着く。校門を抜け、教室に向かう。それまでに、また嫌がらせが続く。足が急に曲がり角で出てきたり、ぶつかってきたり、悪口を聞こえるように言われたり、本当に面倒だ。なんの変化もなく、毎日続けるこの人らは、何をしたいのだろう。結果も出ないのにやっても意味がない。


「よう、マルク、今日もやられてるな」

「カリウス先輩、どうも」

「次の授業で手合わせを頼むよ」


「ええ、私でよければ。でも、また圧勝させていただきます」

「スキルなしだからな。ありなら違うがな」

「ええ。スキルありでは先輩の相手はできないので、そのぐらいのハンデをください」

「ああ」


カリウス先輩はこう言うが、スキルに頼るような馬鹿ではない。スキルも基礎も本当によく鍛錬している。結構、スキルなしでも手は一切抜けない。手を抜けば一瞬で怪我をする。


「では、また」

「ああ」

最近は嫌がらせも多いが、こういういい先輩やいい友達も増えている。


ただ、ルーナとは疎遠だ。この1ヶ月、ほとんど話をしていない。サリー先輩が話をして、ルーナは部室には俺がいない時に顔を出しているようだ。そんなに避けられる理由がわからない。貴族派が絡んでいるとしか思えない。多分そうだろうと思う。


教室に入る。ルーナに避けられる。どうしたらいいのだろう。

「「おはよう。マルク」」

「おはよう、アレス、レオナ」

「また、ルーナに避けられているのね」


「ああ、多分、貴族派の貴族が何かしているんだと思うんだけど。話せないからね」

「うーん。私たちも避けられているから、何もできないわね」

「そうだね。部室でも会えないんだよね?」

「ああ。俺が行く時は避けているみたいなんだ」


「そうなんだ。それじゃあ、しょうがないね」

「アレスもどうにかする方法がわからないか?」

「難しいね」

「そうか。まあ、ゆっくりと解決する方法を考えるよ」


「皆さん、席に着いてください。ホームルームを始めます」

ホームルームも終わり、授業に向かう。


教室に入る。母上の魔法学Ⅱの授業だ。この授業は結局、授業変更を受け入れ、人数が最初の申し込み人数の数倍になった。母上は人気だ。すごい人の子なんだと改めて思う。


「はい。授業を始めるわ。今日はマナ操作スキルを得ると魔法スキルはどうなるかよ」

「はい」


「そもそも、体内のマナと魔法の関係は?じゃあ、そこの貴方」

「はい。マナを操作して、魔法スキルを使用します」

「そうね。スキルを使う場合にマナを使う。それをエネルギーにしてるわ」


「マナ操作スキルを得るとどうなるか、簡単に言うと、魔法スキルを使うのが扱いやすくなるの」

「すみません。何故そうなるのですか?」

ルーナだ。いい質問だ。


「そうね。いい質問ね。魔法スキルはマナを利用して発動するだけではないからよ。マナを魔法スキル使用時に魔法を撃つのにも利用するからよ」


「マナを魔法に利用しているんですか?」

「ええ。魔法はスキルと詠唱でマナを利用するから、マナ操作が上手くなると、その魔法がスムーズになると共に、強い魔法が撃てるわ」

母上は今の理論をきちんと説明した上で少し俺の理論を入れた。


「わかりました」

「そう。なら続けるわね。マナ操作スキルを得る方法は・・・・」


母上の説明は続く。よくまとめられ、かつ俺の理論をちゃんと入れている。うまい説明だ。多くの人が手を挙げ、質問をする。それに一つ一つ説明をしていく。それはもう丁寧に、わかりやすく。母上はいい先生だ。前の先生とは比べるのも烏滸がましいくらい。


「はい。今日はここまで。皆が熱心に聞いてくれて嬉しいわ。いい授業をできて今日も楽しかったわ。また来週ね」

「「「「「はい」」」」」

「ちゃんと復習して、マナ操作スキルを身につけてね」

「「「「「はい」」」」」


授業は終わった。次は商売交渉学だ。この授業は以外に面白い。レア先生が推薦した授業だけはある。実に面白く、交渉の前に何を用意するか、どのように交渉に入るかなど、交渉そのものより、その事前がどれだけ大事かを今は学んでいる。何回か先の授業で交渉の際に見ることなどを教えてもらえるらしい。今日は交渉の前に行う市場調査だ。これは面白い。この市場調査を数週間かけて学ぶ。実際に実習をして調べたりする。本当に面白い。


商売交渉学の授業は終わった。今日も面白かった。先生は実に話術が面白い。元々は大店の番頭から独立して、かなりの店を作ったが、歳で隠居して子供に店を譲渡する際に学長が引っ張ってきたらしい。最近、講師準備室に行って話を聞いている。この先生の話は面白い。俺は先生に気に入られ、もし商売をするなら協力すると言われている。ただ、交渉の際に顔に出るから気をつけろと言われる。これはシグルソン教官にも狙いが顔に出ると言われる。


これで授業が終わり、先生と話す。

「ジョルカ先生、今日も素晴らしい授業ありがとうございます」

「ふむ、今日も真面目に聞いていたな」


「はい。先生の話は面白いので、熱中してしまうのです」

「ふむ、少しは、この前教えた事をできるようになったな」

「ええ、先生に教えていただいた事は勉強になります。とにかく反復してないとできないので、友人や母上を相手にしています」


「ふむ。まぁ勉強しているのはいいが、嫌われないようにな」

「ふふ。そうですね」

「また、時間のある時に講師準備室に来い。マルクならばいくらでも教えてやる」

「はい。ありがとうございます」


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