休日 貴族派の話
翌日
父上と兄上はお休みで、学院もないため、朝から兄上も来て、午前中は父上、兄上、ゼルと久し振りに訓練をする。いつも通り、基本六技と武闘オーラを訓練して、さらに模擬試合をした。
今日も兄上にはもう少しのところで、かわされて負けた。ゼルと父上には全く勝てなかった。はあ学院のことに気がいっていた。訓練に身が入っていなかった。もう一度、気を引き締めよう。毎朝、訓練をしてから学院に行こう。
「うむ、少し気を抜いてたな」
「はい。なので明日より毎朝、訓練を行います」
「そうだな。それが良かろう」
「私が手伝います。マルク様、頑張りましょう」
「ああ」
そして昼食を食べに食堂にきた。メル姉とエルカ姉様がいた。
「メル姉、エルカ姉様、おかえりなさい」
「うん。マル君、ただいま」
「ん。ただいま」
「俺、魔術詠唱研究会に入ったよ」
「へえ。どう魔術詠唱研究会は?」
「今はあまり人がいないんだ」
「そうなの?レアは何してるの?」
「ん。レアが悪い」
「違うんです。ガルバイン理事長がスキルを重視するように学院に色々としているみたいで、実践魔法研究会に嫌がらせを受けてるみたいなんだ」
「ガルバイン!?あのバカ副長が何かしているのね。こっちも散々嫌がらせされてるわ」
「そうなのか」
「はい、父上」
「奴は本当に変わらんな。レオサードの件を見て、何故同じことをするのか?」
「聖国が絡んでいるのね」
「ああ。そうだろうな」
「騎士の方でも、なぜかわかりませんが、またスキル重視が増えてきています」
「そうか。何かおかしいかもな」
「はい。何か宮廷内にも不思議なことが多いですね」
「そうだな。聖国からの策略を感じるな。アルフもメルもエルカも気をつけろ」
「「「はい」」」
昼食を終え、俺は兄上、メル姉、エルカ姉様と魔法の訓練、スキル訓練と続けていく。そして、それらを終え、部屋でのんびりした後、夕食を家族で楽しんだ。
なお、その時に驚いた話があった。兄上に婚姻の話が出てきた。兄上はレオサード家の乱の時に公爵家の令嬢と婚姻の話があったため、普通ならば断るが、ルクレシアス家からの話だった。
「アルフ、ガルドからお前に婚姻の話がある。ガルドの3女のユリアだ。どうする?」
「父上。お受けしたいと思います。ガルド様にはお世話になっております。それにユリア嬢は知っておりますが、素晴らしき方です。昨年、文官学院を首席で卒業なされた才女とユーリスより聞いております。それに私も23になります。婚姻しても良い年かと。まだ一からの出発をしたばかりですが、婚姻して落ち着き、より一層の働きをしていけると思います」
「そうか。わかった。返事しておく」
「はい」
「それと、メルお前にも来ているがこちらは貴族派のアホだ。断っておく」
「はい。その方が嬉しいです。まだまだ、宮廷魔術師として頑張りたいです」
「そうか」
「ふふ。メルももう21になるのだから、そろそろ婚姻してくれると嬉しいんだけどね。まだまだ弟離れができないのね」
「そんなことはないです」
「ん。マルクが好きすぎる」
「エルカでしょ?いつも寮で、早く休みにならないか指折り数えて、マルクに会いたがっているくせに」
「んんん。それはメル。メルがいつも会いたがっている」
「へえ。マルクからもらった卒業祝いを大事に机に置いてるのに?」
「んん。違う。もらったものは大事にする。それが家族なら当たり前」
「へえ」
「もう、メルもエルカもいい加減にしなさい」
「「はい」」
婚姻か。俺はどうなるんだろう。無能と呼ばれているから、貴族には嫌がられるだろうな。まぁまだ未成年だし、成年までは3年はあるから大丈夫だな。しかし、エルカ姉様様には・・・。やめよう。こんなことを考えると・・・。うん、やめよう。
そんな話をしながら夕食を食べて、兄上らは宿舎に戻り、俺は部屋に戻った。
マルクが部屋に戻った後、ラルクの執務室
「ラルク、やっぱりガルバインはメルにも嫌がらせがしているみたいね」
「ああ。前から俺が王家を蔑ろにしているという噂があった。それを流しているのは、レオサードの奴かと思ったが、ガルバインのようだ。この前のマルクの入学式の宣誓も俺を貶めるために息子にマルクのことをコケにさせたのだろう。あいつめ、もう許さん」
「ええ。ラルク様、寝ているドラゴンの尾を踏むことがどれだけ危ういことか見せてやりましょう。色々と調べてみます」
「ゼル、頼む」
「はっ」
「メルとマルクに手を出したら、どうなるか教えてやろう」
「そうね、ご婦人たちの間でガルバインの噂を流すわ。ゼル、何かわかったら、教えてちょうだい」
「はっ」
「ふふ。英雄がどんだけ怖いか教えてあげましょう」
「ああ」
「リネア様、他のメイドの前ではその殺気はおやめください」
「ごめんなさい。アイナ」
「いえ」




