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合格とお祝い

ほのぼの回です。

それから1週間


今日は、ついに合格発表だ。受かっていたらいいな。発表は午後からだから、午前中は訓練だ。今は一つ、一つ丁寧に物事を進めよう。じゃないと俺はダメになる。


「マルク、気になるのはわかるが、そわそわするな。訓練とはいえ、死ぬ事もあるぞ」

「すみません。続けさせてください」


「まぁまぁ、ラルク様。マルク様もまだ子供です。しょうがない時もありましょう。ここ1週間は何とか、お気持ちを強く持ち、訓練してらっしゃいましたが、今日は流石にでしょう」

「ええ、父上。マルクにとって、自分の道を進むためには、今日を超えてばいなければならぬのです。しょうがないのでは?」


「ふん、お前らもそわそわしている。気が弛んでいる」

「そういう、ラルク様も気が立っております」

「う、そんなことはない」

「父上も、兄上も、ゼルも心配をおかけして、申し訳ありません」


全員でそわそわ、イライラしていた。まぁ、ここで受からないと、どうしようもない。古代言語を学ぶためにも、どうにか受からないと、俺の道はまたも困難になる。神様、頼みます。


「もう、皆、イライラして。ほら今日はこのくらいにしたら。ラルクも、合格発表を見ないと教えるのも大変でしょう」

「そうだな。マルク、アルフ、今日はここまでにしよう」

「「はい、父上」」


俺は落ち着くために、部屋に戻り、瞑想をすることにした。

ドアを開け、ベットの上で、座禅を組む。大きく何度も呼吸をして、徐々に小さくして、呼吸に集中していく。そして、呼吸を自然にできるようになったら、一点を見つめ、数を数えていく。集中が高まったところで、無となり、心を高めていく。自身の心と会話をする。


「マルク様、昼食の準備が整いました。食堂で皆様がお待ちです」

「ああ、今行くよ。リリアありがとう」



アイナが食堂で声をかけてくれた。

「いつも通りに戻られましたね。マルク様、リリアはマルク様が受かってらっしゃることを疑っておりません。きっと合格されているでしょう。あれほど、努力されているマルク様がスキルなどというくだらないもので、落ちるはずがありません。お気持ちをしっかりと持ち、ご昼食をしっかり食べ、軽い気持ちで、どうぞ合格発表に行ってらっしゃいませ」

「ああ、ありがとう」


昼食を食べ、荷物を持ち、馬車で学院に行く。

「マルク様、受験票は持ちましたか?」

「ああ、大丈夫だよ。」


「では、馬車で参りましょう」

「マルク、早く帰ってきなさい」

「はい、母上」

「「「行ってらっしゃい」」」

馬車にのる。少し、揺られると、学院の門についた。


「では、見てくるよ」

「私はここで待っております。マルク様は合格を見ましたら、入学の手続きをしますので、ここにお戻りください」

「ああ。行ってくるよ。ゼル」

「ええ、行ってらっしゃいませ」


掲示板の前に来た。人だかりがすごい。優秀なスキル持ちの連中はすぐに掲示板前を立ち去る。それ以外は涙を流して喜んでいる。人生をかけて来たんだな。俺も。


「俺の番号は0356番だから、・・この辺か。0271、0310、0356。あった。あった」

合格した。また一歩、夢の道へ進んだ。これで、問題なく自分の道を進める。よし。


「あっ、マルク。受かった?」

「アレス、俺、受かったよ」

「そうか。俺も受かってたよ」

「そうか、やったな」

「ああ。これで来月から同級生だね」

「ああ。そうだな。そういえば、レオナは見た?」

「いや、まだだよ」

2人で掲示板前の人だかりから出る。


「あっ、いた」

「レオナ、どうだった?」

「受かったわよ。その顔は、2人とも受かったのかな?」

「「ああ、受かってた」」


「そう、これで来月から同級生ね」

「ああ、三人一緒のクラスだといいね。マルクとレオナはすごいクラスになりそうだけど」

「そうかな。一緒のクラスだといいけど」

「ふふふ、三人一緒なら楽しそうね」

三人で笑った。よかった。


「あっ、そうだ。合格祝いだけど、明日とかどう?」

俺が聞くと2人も頷いた。

「いいね。今日は家でお祝いだから、今日はまずいんだよ。だから明日がいいな。マルクもレオナもそうでしょう。」

「ええ、私もそうよ。お父様がもう準備しているみたい」

2人の家も今日はお祝いみたいだ。何だかかんだ言っても王立学院の入学は難しい。入れない者もいる。


「気が早いね。俺の家は早く帰って合格を教えろって言われてるよ」

「じゃあ明日だね」

「ええ、明日ね」


「じゃあ、明日の午後に集まろうか?」

「そうだね。マルク。場所は王宮門前の噴水でどうかな?」

「いいね」

「そうね。それはいいわ」


「じゃあ、従者を待たせているから」

「私も行かなきゃ」

「俺もゼルが待っているから行くね」

「「「じゃあね」」」

門へ歩いて行く。行きより足取りが軽い。やっぱり緊張がすごかった。


「ゼル」

「どうでしたか?」

「受かってたよ」

「そうですか。そうですよね。当たり前です。さあ、入学の手続きをして、屋敷に戻りましょう」

「うん」

入学の手続きの場所に行く。


「合格しましたマルク・ドンナルナです。これが受験票です」

「はい。・・・。確かに。こちらが入学案内になります。マルク・ドンナルナ君は、制服は指定の服屋にて購入していただきます。教科書は入学式の日にお渡しします。詳しくは入学案内をご覧ください。それと、大変申し訳ありませんが、試験の成績は優秀ですが、スキルの関係上、貴族の方なので学費等の免除はありません」

「そうですか。わかりました」

申し訳なさそうな表情だ。こちらこそ申し訳ない。ここはきっといい学院なんだな。


「本当に申し訳ありません。筆記試験も、実技試験もトップなのですが、優秀なスキルを持つ方が優先となり、その方が首席合格となります。私は・・・」


「いいえ、大丈夫です。慣れていますから。それに、そう言っていただき、心から嬉しい限りです。感謝を申し上げます」

「そうですか。こちらこそ、寛大なご返答に、ご感謝を申し上げます」

「では」


俺はゼルの元へ戻る。

「ゼル、実技もトップだって」

「そうですか。シグルソンの奴め。目は曇っていないようですね」

「そうだね。スキルなしで実技試験を受けさせてくれただけでなく、トップの点数をくれるなんて」

「ええ。奴の仕業でしょう」

「今度会ったら、感謝を伝えておくよ」

「まぁ、そっけない態度を取るのが目に浮かびますが、そうなされると良いでしょう」

そして2人で馬車に乗る。


屋敷についた。父上が外で槍を振っている。

「きっと落ちつかないのでしょう」

「うん、そうだね」


「父上」

「おお、どうだった?」

「はい、合格しました」

「そうか、リネアたちにも早く伝えに行くぞ。皆集まっている」

「はい、父上」


「屋敷の中でお待ちしておられれば、一緒にお聞きなされたものを」

「しょうがなかろう。落ち着かなかったんだ」

「しょうがないですね」

三人でドアを開ける。


「あっ、マルク、どうだった?」

「マルク、受かったわよね?」

「マル君大丈夫だよね?」

「マルク、早く言う」

なんだか、心配かけていたんだ。メル姉もエルカ姉様も仕事休んで来てくれた。愛されているんだ。嬉しい限りだ。


「はい。合格しました」

「「「「よし」」」」

「マルク様、合格おめでとうございます。お祝いの準備がありますので、私とリリアはこれで」

「ああ、アイナ、ありがとう。リリアもありがとう」

「「はい」」


「まぁ、落ち着け。居間にて、お茶でも飲みながら、休もう。マルクも疲れているだろう」

「まぁ、落ち着いているのね。どうせ、落ち着かずに外で2人を待っていたんでしょう?そこにマルクが帰って来て、先に結果を聞いたのね」

「ああ、そうだな。リネア、そう、いじめないでくれ」


「まぁまぁ、一旦落ち着いて話を聞く方が良いでしょう。立ちっぱなしもなんですしね。皆様」

「「「ああ」」」

「うん」

「ん」

居間にて話す。皆、顔が嬉しそうだ。こう言うのが幸せって言うんだろう。俺も少しは親孝行できているのかな?


「マルク、首席ではないのよね?」

「母上、首席はありえません。全ての学院は、基本はスキル優先になります。なので、成績が優秀でも、首席にはなれないのです。今回、マルクはスキルを隠す必要があった以上、それは無理です。スキルで全てを決めるのは間違っていると思いますが」

「そうね」


「はい、兄上が説明してくれた通り、筆記も実技もトップだったそうですが、スキルの関係上、首席も学費免除もないそうです」

「何?実技もトップだったのか?」

「はい。入学手続きで、担当の事務の方にそう説明されました。担当の方に謝られて、申し訳なかったです」


「そうか、シグルソンか?」

「そうでしょうね、奴しか考えられません」

「ふん、あいつもいいことをしてくれる」

「シグルソン先生は騎士学院の教官時代から、貴族とかスキルとか関係なく、実技で結果を出した者に良い成績を出してましたね」


「そうか、あの生真面目らしいな」

「ええ、シグルソンらしいですね。奴はいつも仲間を、部下を守ることに執着する奴でしたね」

「ああ」


「そうなのね。是非、マルクの教官になってほしいわね。でもレアちゃんもいいわね」

「そうですね」

「ああ、レアも今年から学院の教員になったらしいからな」

そう、レア先生が去年、学院の教師に合格して、今年から教師になる。もしかしたら担任かもなんて期待している。是非、成長した姿を見せたい。


「レアが担任になったら、私からちゃんと言っておくからね。マル君、その時は教えてね」

「ん。厳しく言っておく」

「メル姉、エルカ姉様、ほどほどにお願いします」

本当に酷いことをしそうで怖い。レア先生の身の安全の為に、釘を刺しておいた。


「皆様、お祝いの準備が整いました。食堂においでください」

「「「「「「ありがとう。リリア」」」」」」

「はい」


この後は、盛大に祝ってもらった。嬉しくて、夜寝るのが遅くなった。まぁ皆そうだからいいけど。まぁでも明日から、また訓練だ。


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