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入学試験 友人と実技

そして、俺は部屋を出た。

待機室と書かれているところで待っていた。そこにはまだ誰もいない。みんな試験中かな。

かなり暇だ。はあ、外はいい天気だ。早く試験を終わりたい。


「あれ、もう誰かいる。あっ、さっきの?」

「ああ、さっきはどうもありがとうございます。」


「うん。えーと、名前聞いてもいい」

「ああ、ラルク・フィン・ドンナルナの次男、マルク・ドンナルナだ。よろしく」

「え、君がマルク・ドンナルナ?」


「そうだよ。噂を知っているみたいだね。君の名は?」

「ああ、ごめんなさい。私は、リオナ・ガリシアンです」

「へえ、さっきのは君の兄弟?」

「ううん。いとこだよ」


「えっと」

「私は軍務大臣で、現当主コーネリアス・フォン・ガリシアンの弟、ハンニバル・フォン・ガリシアンの次女、リオナ・ガリシアンよ」

「ああ。ハンニバル様の」

「ええ。お父様をご存知で?」


「ああ。父上とは仲が良くてね。父上曰く、兵を動かすことに長けた、王国で一番の軍師だと言っていたよ。ハンニバル様の辺境伯領戦役での戦術は勉強したよ」

「そう、ラルク様がお父様を褒めていたなんて。嬉しいわ。それにマルク君の賞賛も」

「そう。それはいいね。他の人は来なさそうだね。そういえば試験会場で見なかったけど」


「ええ、違う部屋だったのよ。私が隣の教室に入ろうとしたら、あなたがルイーズに酷いことをされそうだから、近くに行ったのよ。そしたら、あいつは逃げたのね」

「君を恐れているのかな?」


「それよりも大したことないってことがバレるが嫌なんじゃない?」

「うん?すごいスキルを持っているんじゃないの?」

「ええ。すごいスキルを持っているらしいわ。でもガリシアンでは個人の強さより、軍の指揮を重んじるの。知っているでしょう、三家のガリシアン」

「ああ、軍師のガリシアンだね」


「ええ。だから、頭の悪いあいつは特にね。そうそう、ガリシアン家が試験に出るかと思ったんだけどね」

「そしたら、楽だったね。うちのドンナルナもね」

「ええ」

そんな話をしながら待つ。なかなかみんな来ない。


1人きた。

「やっぱり、マルクだ。君はもう終わってから結構な時間が経つの?」

「ああ。アレス」


「そうか、マルクはすごいな。やっぱり」

「そんなことないよ。スキルはあれだしね」

「ふ、そうだね」


「あのー、マルク君、知り合いなら紹介してくれないかな?」

「ああ。そうか。こっちはアレス・スキピアーズ、彼女はリオナ・ガリシアンだよ」


「ガリシアン?軍務大臣閣下の?」

「いいえ、軍務大臣の弟の長女よ。分家で子爵家よ。スキピアーズ、確か辺境伯領の横の漁業や砂糖の製造なんかが盛んなところを領地にする貴族よね?」


「ああ、そのスピキアーズ子爵家だ。その当主、アルフォンス・フォン・スピキアーズの嫡男、アレス・スピキアーズだよ。アレスと呼んでね」

「私は、ハンニバル・フォン・ガリシアンの次女、リオナ・ガリシアンよ。リオナでいいわ。よろしく」


「ああ、よろしく。ガリシアンなら、この早さも頷ける、正直、マルクしかいないと思っていたよ」

「私も、自分より早く試験を終わっている子がいるとは思わなかったわ。マルクの方が早く、ここにいたのよ」


「そうか、やっぱりマルクはすごいな」

「2人は知り合って長いの?」

「ああ、アレスとは一昨年の10歳を祝う祝賀パーティで知り合ったんだ」

「ああ、あそこね。私もいたけど。マルク君を見ていないわ」

「ああ。色々とあってね。早く帰ったんだ。俺もマルクでいいよ」

「そうなの。わかったわ」


そうこうしていると、試験が終わったのか。多くのものが来た。次は実技だ。

「アレスは、実技は余裕だろうね?」

「ああ、それなりのスキルがあるからな」

「いいね。俺は」


「まあ大丈夫だろう。マルクは筆記試験で合格だよ」

「ああ、そうなることを願うよ」

「マルクは、武術スキルも魔法スキルも、実技に向くスキルは何もないのよね?」

「ああ、そうだよ。噂通りさ」


「それなのに、なんだか余裕がありそうね」

「ふ、何を考えようと、どうにもできないさ。それに槍術は少し自信があるんだ」


「スキルはないのよね?」

「ああ、でも槍術の基本はものすごい訓練しているよ。父上も兄上も、家臣もすごい槍術家だから教えを請うには最高の環境だからね」

「そう」



実技試験が始まり、俺の番だ。

「0356番、君の実技試験を行う。戦うスキルを見せよ」

「はい、スキルは特にありません。ですので、模擬試合を試験官の先生とさせて頂ければ、助かります」

「うむ、良いだろう」


ざわざわする。まぁ俺の噂でもしているんだろう。どうせ、無能が学院に来てもなとか、なんとか。まぁ、今だけは言うがいいさ。まだ力は全部見せれない。


「では、始める。武器はどうする」

「はい。この木の槍を使います」


これは学院が実技試験のために用意したものだ。多くの受験生は持参した武器を使う。そうしないと力を発揮できずに落ちる可能性もあるからだ。俺は特にそんなことしなくてもいい。それなりにやればいいから。


「ふむ。いいのか?」

「ええ。大丈夫です。スキルはないので、槍を壊すこともないですから、特に武器にこだわらなくても」

また、ざわざわしてる。また無能はこれだからとかだろう。でも、ゼルも槍は選ばないけどね。どれでもいい突きをできなくては戦争では活躍できないと言っていた。大事な槍が壊れた時にどうするのだと教えられて来た。だから、どこでも売っている槍で武闘オーラも、基本技も全て完璧に扱えるように訓練して来た。それに、もう武闘オーラも全て完璧にできるし、この学院の先生方らの数十倍強いゼルや兄上、そして英雄の父上と模擬戦をして来た。ここで手を抜いても勝てる。


「よし、始める」

「はい」


試験官の武器は剣だ。重く広刃の、両手持ちもも片手持ちもできるバスタードソードというタイプの剣、今回は木剣のみなので両手持ちしかできないけどね。これは重戦士だな。元騎士か。


前の右足が少し動いた。剣を上から叩きつけてくる。

すっと後ろに避けて、右足を踏む。そのまま、槍を動かしながら、左足を踏み込む。そして一気に突く。試験官は余裕で避ける。まぁ避けれるだろうくらいの速さにしたんだけどね。


「ふう、いい突きだ。相当な訓練をしているな」

「ええ。我が家には槍の名手が三人おりますから」

「ラルクに、ゼル、それとアルフか」


「父上らをご存知で」

「ああ、大戦でな。それにアルフは受け持っていたからな」

「それはそれは手強いわけです」

「軽口の前に本気でこい」

「はい」

わかっていたか。結構やるな。


叩き落とし、うまく避けられたが、剣を前に少し倒した。それならと、そこから柄返しだ。相手の剣が上に軌道を変えた。そこを槍を引き、一気に突く。しかし、これは剣で上手く弾かれた。やるな。この試験官はかなりできる。


「はぁ、ここまでだ。お前の力はわかった」

「ありがとうございました」


全ては見せられないから、こんなものだ。にしても、あの教官はきっとかなりできる。単純な武術なら、父上やゼルとでも、いいところまで行くだろう。兄上は多分負ける。俺はまず勝てない。まぁスキルはわからないから、スキルありの場合には、なんとも言えないけど。


「マルク、すごいわね。試験官と互角だったよ」

「いや、全然手を抜かれて、そう見えるだけだよ」


「まぁそうだろけど。槍術のスキルがないんだよね?そう見えなかった」

「そうなんだよ。何回か王都であった時に、模擬戦したんだけど、一向に勝てなかった。本当にスキルないのかと疑ったよ」


「そうなの?」

「いや、基本だけだよ。アレスもスキルなしという条件だし、そうだろ?」

「まぁそうだけどね」


「まぁ、受かるといいな」

「ああ。そうだな」

「アレスももう終わったの?」


「ああ。他の試験官だったよ。スキル見せて終了だからすぐね。でマルクの試験を見てた」

「そうか、あれレオナは?」

「私も違う試験官だよ。すぐ終わったわ」

「そうか、これで帰っていいんだよね」

「ああ、試験会場を出よう」


「うん、合格は一週間後に、発表だよね?受かったら、合格祝いしない?」

「ふふ、いいわね。全員受かったらそうしましょう」

「そうだね。マルクが受かるかかな」

「う、そうだね。全員受かったらにしよう」


本日は2話投稿します。

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