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第一歩

槍術の訓練 わかりやすく書こうとしましたが、うまくいっているでしょうか?

それから数日経った。

今日から訓練は三つになる。

ゼルや父上と槍の稽古

母上らと魔法の訓練

そして、何よりスキルを調べる。


『飲み込む』というスキルは今まで発見されたことのないスキルだ。


鑑定といったスキルなどの調べる方法などはまずない。持っている人もいるらしいと都市伝説化しているものだ。持っていても隠すだろうな。当たり前だ。有利すぎる。そんな有利な派生スキルは隠すに決まっている。だからこの『飲み込む』というスキルがどんなものかわからない。でも、やる。強くなる。


まずは槍の稽古だ。父上とゼルから基礎を学ぶ。

これまでは体術を基本に学んできた。

足の動かし方、半身の姿勢、右足の踏み込み、蹴りやパンチをする方法など。


体をどう動かせばより効率的か?それと体を鍛えるために走ったりなどのトレーニングを中心としてきた。これからは槍をどう扱い、どう突き、どう守るかだ。


父上が基本の型を見せてくれる。

まず半身になり、後ろ足を踏み込む。瞬時に前の軸足を前に半歩出し、強く踏み込む。そしてその勢いを使い、槍を突く。これが基本の突きだ。

父上の突きは一瞬で風を起こす。これが武闘オーラというスキルだ。父上のマナと気功が合わさり、体を伝い、それが槍に纏う。そして突きと共にそのオーラが相手に向かう。


その姿はまさに一瞬の風と評すにふさわしい。父上の槍先を中心に突風が吹く。これが、俺が憧れた父上の突きだ。思わず見惚れてて息を飲んだ。


続いてゼルの説明が入る。父上は口で説明するのが苦手だ。天才ならではなのだろう。

「マルク様。今のラルク様の突きで特筆すべきは、地の力を使いきることと、槍のスムーズな動きです。これに必要なのは踏み込みを強くすること。その勢いを殺さぬ重心の移動すること。そして、それを槍に伝える手の動きです。これらをどれだけ連携させて突けるがポイントです。どれを欠いても良い突きはできません。まずは半身からの踏み込みをしてください」

「はい」


まず、左足を前に置き、半身になる。そこから槍を両手でしっかりと強く、しかし柔らかく握り、右足に力を入れた後に、地面を左足で強く踏み込む。


「はい、それで大丈夫です。ただもっとスムーズに、そして右足の力を速く入れることです。今のままでは踏み込む瞬間を見破られ、相手にガードされます。」

「ふむ、ゼルの言う通りだ。マルク、はじめに力が入りすぎだ。もう少し緩めろ。緩急という言葉がある。緩くと速くに差をつけることで相手は対応できぬ。」

「はい。父上。ゼルありがとう。もう一度やってみます。」


再度、半身になる。そして素早く右足に力を込め、すぐに左足を踏み込む。

「今度は槍が疎かになっております。」

「うん、もう一度」


何度も、何度も、半身になり右足に力を込め、そこから左足を踏み込み、槍もスムーズに動かす。100回はやった頃に、

「はい。だいぶ良くなりました。これから毎日これを500回行ってください。今度は突きまでを行います。」

「はい」

「では、ラルク様。もう一度、お手本を」

「うむ」

そして父上が突きの部分をもう一度見せてくれる。


「今度は槍の動かし方です。力は槍を突く瞬間まで入れずに、体の重心移動で伝えた力のみで動かす。最後の突く瞬間に全ての力を込めるのです。これで右足から始まった力の全てが槍先に集中します。この時、何より大事なのが先ほど訓練した足の動きとそれを槍に伝える腕の動きです。自身の腕の力で突くのではなく、踏み込んで得た地の力で突くのです。そのためには手に力を込め、腕の力を使う瞬間を正しいタイミングで行うことです」

ゼルの言葉は非常にわかりやすい。


やってみる。地を蹴る。そして突く。突く瞬間に手に力を込めて腕の力を槍に伝える。

簡単なようで難しい。何度も挑戦するがうまくいかない。

「まだ、腕で突いております。自身の力で突いております。槍を動かすことを意識しすぎて、槍を動かしている時から手に力を込めています」

「難しい。腕だけで突かない。槍は自然に動かす」

「そう、スムーズさがないために手に力を込める瞬間を間違え、腕で槍をふるい、地の力を捨ててしまうのです。とにかく反復し、スムーズな動きができるようにしましょう。そうすることで腕の力を込める瞬間を把握することです。さぁ続けましょう。」

「あぁ」

何度も繰り返して突きを行う。


数十回試して行ったところで

「ラルク様はそろそろ登城のお時間が近づいております。そろそろご準備を」

「うむ、マルクよ。頑張るのだ」

「はい、父上。お手本をありがとうございました」


父上がいなくなった後もゼルと、とにかく槍を振るう。

何度も何度も。

「おっ、今のは良いです。忘れぬうちに今のを何度も訓練あるのみです」

やっといい突きをできた。それを目指して、また振るう。何度も何度も。もう槍を握る力もなくなってきた。

数百回はふるった。そして、手に痛みを感じる。足も疲れてきた。

それでも集中は切らさない。最高の一撃を振るうため。これだけだ。それだけを望んでただ槍を振る。


そして1000回に達するかという時、

「はい、そこまでです。いい型になりました。後は毎日、私と共に反復です。明日もよろしくお願いします」

「はい、師匠」

「ふふふ、マルク様に師匠と呼ばれるのは嬉しいですね」


こうして午前の槍の訓練は終わった。

もう腕は上がらない。足はもたつく。背中や腹は痛い。それでも俺が決めたことだ。とにかく訓練を続ける。


天賦の才能がない俺はただ続けるしかない。

兄上や父上のように天才ではない。だが、誰よりも生きること、強くなることへの渇望は負けない。それだけが俺の武器だ。そしてスキルを俺のものにして、英雄になる。


メイドからタオルをもらい、体を拭き、水で頭を洗う。ああ、さっぱりした。

昼御飯を食べに食堂に行こう。御飯を食べたらスキルと向き合う。それしかない。誰も知らないこのスキルを知るんだ。それが第一歩だ。


「マルク、午前はラルクとゼルと槍の訓練だったのよね。メルとエルカが帰ってきたら魔法の訓練よ。それまではゆっくり休みなさい」

「はい、母上。御飯を食べた後は部屋でゆっくりしております。姉上が帰ってきたら、声をかけてください」

「誰かに部屋に声をかけさせるわ。ちゃんと休みなさい」


御飯を食べ終え、俺は部屋に向かう。


マルクがいなくなった後の食堂ではゼルとリネアが話し合う。

「ゼル、マルクはどう?」

「リネア様、マルク様は非常に熱心に訓練されておりました。」

「そう、大丈夫そう?」

「ええ。先日のことについて、それほどは気にしてないかと。ただ、悲壮めいた覚悟を感じます」

「やっぱり。そうなのね。ゼル、槍の訓練お願いね。あの子の悲しむ顔は見たくないわ。」


ゼルは少し間を置いて、リネアに答える。

「ええ。ただ不思議なのは、本当に槍術のスキルがないのか?です」

「えっ、どういうこと?」

「はい、スキル持ちの子より、よっぽど優秀です。少しですが、武闘オーラみたいな波動を感じました」

「えっ!?でもスキルはないはず!?」

「ですから不思議なのです。」

「そう、あのスキルが関係するのかしら?」

「そうとしか思えません」

「そうなのね、不思議ね」

ゼルとリネアの2人は訝しげに話す。そんな話がなされてるとは思っていないマルクは部屋で自身のスキルについて考えている。



第一歩を歩き始めたマルク君のこれからにご期待を

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