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閑話 ガルドとラルク

宰相ガルド・フォン・ルクレシアスとらラルクの友人の会話です。

「ガルド、すまぬ。あやつはもう救えん」

「どうした?ラルク」


「うちのバカ息子はもうダメだ。どこぞのバカ王子に毒されすぎた」

「待て、失うにはもったいない者だぞ」

「昨日、家に帰ってきてな。弟を文官にしろだとか、無能がいるとだとか宣うから、縁を切った」

「おい、子供を見捨てるのか?」


「無理だ。あいつを見たら、次は許せる気がせん」

「それほどか」

「マルクを知っていて、無能と言えるやつが俺には理解できない。あいつは我が家の誇りだ」

「お前がそこまで、親バカになるとは信じられん。アルフの時ですら、『それなりできる』としか言わなかったお前が。俺はあの時、こいつは子を愛せないのかと疑ったほどだ」


「ガルド、これは親バカではない。事実だ」

「そこまでか?」

「あいつはすごいぞ。英雄というのはマルクを言うと俺が思ったほどだ」

「でもなぁ、あのスキルなんだぞ?」

「あのスキルだからこそだ」


「もしかしてすごいのか?あのスキルは?」

「ああ。それもある。だがな、ガルド、考えてみろ。誰も知らん、一見すると弱いスキルだけだったら、お前ならどうなる?しかも7歳で?」


「まぁ人生を嘆くか、ねじ曲がるだろうな」

「だろうな。俺でもそうだ。マルクはそれを受け入れ、そこから這い上がり、今ではそこらのスキル持ちより強いぞ」


「なに?良いスキル持ちよりか?」

「ああ。それが誰も知らないスキルのみしか持たぬのにだ」

「怪物か。マルクの心の強さは王国一だな。儂ならとっくに諦めておるだろうな」


「ああ。俺もだ。俺には到底真似できん。俺の時は意味のない剣に縋り付き、あの時に槍ともに、疾駆のスキルが無ければ、ゼルがいなければ、今の俺はいない。俺には、どん底の状況を1人で這い上がれる確信も、勇気もない。だが、マルクはたった1人、諦めなかった。誰も知らん、この世の理を1人で見つけたんだ。あれを英雄というのだろうと、この子は英雄になると2年前に確信したぞ」


「この世の理だと?」

「ああ。このことは誰にも言うな」

「それほどの事を知ったのか?」

「ああ、聖国が黙っておらんだろう」


「なっ、それほどのことか?」

「驚いたか。俺は、息子がそれを見つけた時に、父の威厳を保つために落ち着いている振りをするのに必死だったぞ」


「すごいな。で何を見つけたのだ?」

「これはラインバッハにも言えん。お前にも中身は言えん。あいつが誰にも害される事がないくらいに強くなったらわかる。それまで待て」

「そうか」


「あと、マルクは、男も女も、誰も彼もに好かれるから気をつけろ。レアがどうなるか知らんぞ」

「なっ。お前の息子は何を?」

「いや、マルクは何もしていない。だが、周りはあいつを放っておけないだけだ」

「今日中に確認する。もしダメな時は責任を取れ」


「それはマルク次第だ」

「この親バカが」

「お前もな」

こうして悪友2人の会話は終わった。


ガルドは屋敷に帰ると、さっそく。

「レア、お主に聞きたいことがある」

「はい、お父様」


「うむ、ラルクのところでの、家庭教師はどうなのだ?」

「はい。とてもよくしていただいています。急にどうしたのですか?」

「うむ。ちょっとな、マルクの噂を聞いてな」


「ああ、あの噂ですね。あれは間違いか、皆が知らないかだと思います。マルクはとても優秀です。我が家に生まれれば、きっと宰相になっていました」

「それほどか」

「ええ。真面目で、それでいて抜け目なく。鋭い思考に、時折感じる、ラルク様と同じような強さ。正直、あの噂はなんだったのか?そう思いますね」


「そうか。お前はマルクをどう思っている?」

「どうとは?」

「うむ、男としては見ておるのか?」

「なななな、何を言っているのですか?」


「はあ。ラルクの言う通りか」

「ラルク様と何を話しているんですか!」

「ああ、あいつが、『マルクはモテるから、レアのことは気をつけろ』と言いよってな」

「なななな。マルクはまだ10ですよ。マルクにそんなことを思うはずないじゃないですか」

「そうか」


ガルドは、ダメだと思った。


親バカな2人でした。

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