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長寿の嘆きと誇り

ガイスはリネアらを転移させると、ガッソの元へ戻ってきた。

「待たせたな。ガッソ」

「遅い、バカ」

「うるせえ、バカ」


「お前ら、羽虫が〜」

「てめえはワンパターンなんだよ。このクソ邪神が」


「うるさい、この劣等種族が〜」

「それも聞き飽きたな」

ガッソとガイスはカンバルの攻撃を何とか避けて、一瞬間を取り、2人は叫ぶ。


「おらああああああ」

「うあああああああ」


2人の体が黄金に輝く。まるでマルクの黄金闘気のように。


「まだまだああああああああ」

「ああああああああああああ」


さらに輝いて行く。それはマルクやカズキの黄金闘気とは違い、ガイスはオレンジ色に、ガッソは青色に輝く。最後の灯火を灯し切るかのように輝いて行く。


それは長寿種族にしかできないやり方だ。長い寿命を全て使う。そんな生命の灯火を最後の最後まで灯す。


長寿種族は人族と異なり、圧倒的に長い人生を歩む。それは決していいことばかりではない。後半の人生は死に時、死に場所を探すという者も多い。だが生命力と経験値という点に限れば圧倒的に有利だった



その全てをつぎ込む。この技はマットというガイス、ガッソの友人が唯一作り出し、マットだけが唯一できた技だった。


歴史上でこの技を使えたのはマット1人、この技が使われたのはただ一回限りだった。


しかし、その一回を見た者であるガイス、ガッソ、リネアだけはもしもの時のために研究をして使えるようになった。それは長い時を生きる3人だからこそ研究できた技だった。


人という種族では、短い人生では辿り着くはずもない時間をかけた。マット自身もこの技を誰にも伝えなかった。


何故なら死に行くようなものだからだ。誰よりも友を思うマットは自分以外には使って欲しくないと、ガッソ、ガイスにさえ教えなかった。それでも辿り着いた2人の決意は果てしないものがあった。



そしてガイスとガッソはカンバルすら付いていけないスピード域に達する。あまりのスピード域にカンバルすら目で追うこともできない。カンバルの体はもちろん付いて行けない。2人の生命力が神の領域を凌駕する。


「邪神、お前に教えてやる。人の生き様って奴を」

「そうだぜ。生命の輝きというのをな」


「何を言っている」

「よく耳をかっぽじって聞けや」

「その悪い頭でわかればいいがな」


このスピード領域で言葉を話す2人もすごいが、その言葉を聞ける邪神カンバルは腐っても神である。


「てめえが捨てた人としての生命の力は」

「一瞬にある。寿命という者があるからこそ、素晴らしい力というのもある。長寿種族は間違った進化をした」


「ああ、人はよう。やっぱりいいんだわ。俺は生まれ変わるなら人族に生まれてえな」

「俺もだ。あの短い時間で愛を見つけ、育み、新たな命に全てを託す」


「それがいいんだ。それこそが生きる意味なんだよ」

「そして強さだ」


「短いからこそ、あいつらは必死なんだ。それを知ってからは俺らはなんてバカなんだって思ったぜ」

「ああ、だからこそ、見つけたものもある」


「これが答えだよ。マットが見つけた生命の輝きを見せてやるよ」

「ああ、俺らの残りの命をかけた最後の花を見ろ」


「ああ、綺麗だぜ。マットの時もそう思ったけどな」

2人はさらにスピードを上げる。それはもうこの世界でも存在できないほどのスピード領域だ。マルクでさえ、入ることのできないスピードの向こう側だ。


そしてカンバルはどこから来るかさえわからずに構える。どのタイミングかさえわからずに構える。この瞬間に2人はさらに力を合わせる。


息を合わせ攻撃に入る。このスピード領域で全く寸分違わずに同タイミングで攻撃をできるのは、息をあわせ同じところを狙えるのはずっと一緒に戦ってきた2人だからだ。



普段は仲良くないが、それはもう数百年も一緒にいて、一緒に戦ってきたからこそわかる阿吽の呼吸だ。


そして2人は同じタイミングで一点を突く。槍と剣だが、片方は短めの槍を好み、片方は長剣を好む。好みもなにもかもが違うが、最高のパートナーだ。



その一突きは邪神カンバルの腹を一刺した。槍が穴を開け、剣が貫いた。それはこの世界の生命というものの到達できる最高の技量の一撃だった。人が到底たどり着けない領域の技量だった。誰もが憧れた最高の槍術士と剣術家がその命を散らした。


この攻撃、この一刺でカンバルの動きが止まる。


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