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戦争2日目 ガリシアンとトルネスト そして中央の決着

少し時間を遡り、マルクらが勇者と戦っていた同時期の左翼


「兄上、敵の新たな策で我らの左に先行部隊があります」

「やはりそうきたか。ハンニバル、準備は?」


「大丈夫です。兄上」

「よし、いけ」


そして左翼左から先行して左翼の中心部に狙ってきた者らに罠が発動した。マルクが開発した魔法による土の掘り起こしを魔道具で再現したものにより、地魔族・ダークエルフ軍の右翼の伏兵部隊の前に地面の陥没が起きる。


これにより足場を崩されたトルネストのコピー軍団は一気に土の中へ。そこにハンニバルの指示により同盟軍左翼の兵らが土をかぶせ、彼らを生き埋めにした。


前日の左翼はマルク・トルネストのコピー部隊にかなり苦戦していた。獣人族部隊を中心とした部隊は魔法、剣、回復とすべてできる万能なマルク・トルネストのコピーである彼らを相手に翻弄され続けた。


剣で対戦中に魔法を使ってきたりと、獣人族部隊の予想外の攻撃を仕掛け、しかもトルネストコピー部隊は一糸乱れぬ動きで攻撃をしてくるため、かなりの被害を出した。


それにより今日よりコーネリアス、ハンニバルのガリシアン兄弟が直接指揮を執り、獣人族部隊を遊撃にして、主攻に王国とレオミランの重戦士部隊を前面に出した。そしてその部隊に結界の魔法具を持たせ、魔法への対策をさせた上で、戦術戦へと左翼の戦いを持ってきた。


本日の戦いは戦術戦、これはまさにガリシアン家の独壇場だ。さらに初めはスピキアーズ軍というレオナを軍師にした応用に効く実に使いやすい部隊がいたこともあり、全ての戦術で同盟側が優位に進んでいた。


「兄上、うまく行ってますね」

「ああ、マルクめ、アホが成長してない。バカ丸出しだ」


「兄上、口調が。悪い方が出ています。それとトルネストと呼ばないと」

「そうだね。あぁ、旧友とこんな形で会ったから久々に前に戻ってたね」


「ええ、久々に昔の気の強さと口の悪さが出ていましたよ」

「まぁ、しょうがないじゃないか。トルネストが悪い」


「そう言われればそうですが、父上が草葉の陰で怒ってらっしゃいますよ」

「あぁ、そうだね。まぁ、どうでもいいけど」

「もう、兄上は」


「ハンニバル、今更、私が父を尊敬している振りをしてもしょうがないよね」

「まぁ、そうですが」


ガリシアンの前当主は能力が低く、軍師としては評判が良くなかった。その良い例がロドメルの追い出しだった。


ロドメルは力不足を理由に辞めたと言っているが、事実を知るコーネリアスらに言わせれば、父親がガリシアンの親類であるロドメルが本家の自分より優秀だったことが許せずに追い出したというのが事実だ。そのあまりの能力の低さと嫉妬で問題を起こすことから、コーネリアスらは父親を天月戦争中に隠居させたのだった。


引き金はマルク・トルネストへの対応だった。当時のトルネストは天月戦争で活躍を始めていた。有能な魔術師で、剣士で、軍師であり、将来は将軍として国を導くと言われるほどの才能だった。それを妬んだのがガリシアン家の前当主であるコーネリアスらの父親だった。


たかが魔術師が軍師として評価されるなどあり得ないと嫉妬と難癖をつけた。そして、戦争中期にトルネストの活躍の場を奪ったのだ。


「まぁ、あのクソ親父がいなきゃ、こうなっていないんじゃないかと思うと死んでなお、迷惑をかけるあの人の墓を壊したいね」

「気持ちはわかりますが、故人を貶めるのはガリシアン家の当主として良くありません。どうかご容赦を」

「わかっているよ。ハンニバル」


「はっ、兄上。ではそろそろ、あの策をしてもいい頃合いかと」

「ああ、いこう」


そしてハンニバルは獣人族部隊とスピキアーズ軍に合図をする。彼らは一斉にある物を魔族・ダークエルフ軍に投げ込んだ。それを見てマルク・トルネストのコピーたちが魔法で撃ち抜いた。しかし、それがコーネリアスとハンニバルの狙いだった。



獣人族らやスピキアーズ軍が投げた物は袋だった。それが魔法で撃ち抜かれると中の物が撒かれた。そこにそれをより広げるために

「風魔法を撃て」


とハンニバルの声が響く。魔術師たちが風を吹かせると袋の中にあった物は粉状で一気に広がった。その結果として、マルク・トルネストのコピーたちに粉がかかった。すると彼らは一気に顔色を変えずに、叫び出した。


「「「「「ぎゃあああああああああああ」」」」」」


彼らに感情というものはない。それは擬似生命体のため、感情というものをクロが作らなかったためだ。


あくまで彼らは兵士で、使い捨ての駒程度にしかクロは考えていなかった。それは兵士として理想と言われる形だ。

だが、それがいいかは非常に難しいところだ。考えず、感じず、命令に一切の感情を入れずに従う兵士は最強だが、脆さを持つ。今回はいい例だった。



そしてそんな感情のないコピーたちでも叫び声をあげた。それは人にある本能と言える原始的な行動だからだ。人は耐えられぬ痛みを受けた時に叫び声をあげたり、歯をくいしばる。それをしなくては、耐えられぬ痛みで気を失ったり、死んだりする。


そのため、マルク・トルネストのコピーらも原始的な反射として叫び声を上げた。


なぜ、それほど声を上げたのか?それはこの粉が回復薬に使われるレイア草の中でダークエルフや擬似生命体が苦手な成分だけを集め、結晶にした粉だからだ。それを大量に浴びたマルク・トルネストのコピーらは一気に苦しんだ。


その隙を見逃すはずがないガリシアン家だ。何の合図もなくスピキアーズ軍が一気にマルク・トルネストのコピーたちを攻め立て、一気に攻撃をかける。数百人を倒して行く。それに続き獣人族部隊がコピーたちを一気に倒して行く。


数にして、数千単位を倒したところでスピキアーズ軍に撤退命令が出た。

「アレス・フィン・スピキアーズ、レオナ・スピキアーズ戻りました」

「アレス殿、レオナ、よくやってくれた」


「レオナ、アレス君いい動きだったよ。助かった」

「いえ、それで撤退命令はどうしてですか?」


「ああ、アレス殿。中央軍がそれほど上手くいってないみたいだなんだよね。それでそっちを助けに行ってくれないかな?」

「そうですか。わかりました。では、コーネリアス様、我らスピキアーズ軍はこれより中央軍に参加しに行ってまいります」


「ああ、頼むね」

「はい」


「レオナ、ちゃんとやりなさい。お前なら十分に軍師として活路を作り出せる」

「はい。父上」


そして、スピキアーズ軍は中央へと行った。


「ハンニバル、そろそろ締めようか。まぁ、トルネストが来るだろうけどね。獣人族の騎士団長を呼ぼうか」

「はい」


「コーネリアス殿、ハンニバル殿、お呼びとのことをお聞きしました。そろそろですか?」

「ええ、そろそろここの戦場を終わりにしましょう。まぁ、指揮官も出て来るとは思いますがね」

「正念場ですか。わかりました。ではこちらも気を引き締めます」

「ああ、お願いしますね」


そして、ついに左翼は終盤、正念場へ。


場面は中央に戻る。

マルクが中央軍のアルフの元へたどり着いたと同時に、ミカもたどり着いた。混乱の中で進めず、結局はミカと同時に中央軍の中枢に着いてしまった。


俺は中央軍の司令部にたどり着いた。

「兄上、私がいきます。兄上は軍の立て直しを」

「そうか。わかった。ヨークスらが対応している。かなり厳しい状況だ。頼むぞ」

「はっ」


「ミカ、よく来てくれた。回復士たちが回復をしているが間に合なってない。助けてやってくれ。俺は前線に行く」

「はっ。隊長、お気をつけて」


そして、俺はは中央軍の前線に向かって行く。ミカさんが回復士の元へ行き、回復士を助けて行く。


俺は前線にたどり着くと、ヨークスとルーイが何とか怪物相手に対応している。かなりきつそうだが、それでも他に被害がでないように上手く立ち回り、何とか対応している。


「ルーイ、ヨークス、助けに来た」

「マルクか。助かった。こいつはかなり強い」


「ああ、かなりキツイぜ。マルク、ヨークスを助けて中衛として奴を攻撃してくれ」

「ああ」


そして、ヨークス、ルーイと連携をして攻撃して行く。ヨークスが受け、俺が攻撃をして防がれた瞬間にルーイが攻撃する。全員で何とか攻撃を捌き、俺やルーイで攻撃をする。もしくは俺とヨークスがなんとか捌き、ルーイが攻撃をする。


今度は怪物が手を振りかざし、一気に攻撃をしてくる。ヨークスと2人で何とか堪える。そしてルーイが攻撃を仕掛ける。それに反応する怪物、その瞬間に俺が攻撃をする。ヒットするがなかなかダメージを喰らわない。


これはかなり厳しいかもしれない。結構本気で倒しに行かないといけないな。こいつは単純に強い。策もなく、個体としての強さだ。種として他の生物を圧倒的に凌駕する存在だ。これは生半可な攻撃では無理だな。

「マルク、これはキツイ。マルクが本気で攻撃しないといけないか?」


「ああ、そう思う。ルーイの良さは巧く、速い攻撃だ。同じくヨークスも。こいつはそれではダメなタイプだと思う。とにかく硬い」

「そうだぜ。悔しいけど、これはダメだ」


「そうか。じゃあ、ルーイが相手を翻弄して、ヨークスが奴の攻撃を止めてくれ。俺が一気に行く」

「ああ、頼む」


「ああ、悔しいけどそれしかない。俺の攻撃じゃあ、致命傷にならない」

よし、行くか。俺は黄金闘気を纏っていく。今回は40%くらい。そして俺が貯めている間にルーイとヨークスが巧く怪物の攻撃をいなしていく。


怪物は理性がないような動きで腕をぶん回す。とにかく力でゴリ押しの攻撃する。しかし、それが圧倒的なため、厳しい。ただ敵を倒すための攻撃だ。生きるとか死ぬとかを考えてない。ただ目の前の相手を殺す。それが圧倒的な攻撃力や身体能力でやってくるために、かなり面倒だ。


それでもルーイとヨークスは巧く対応していく。ルーイがスピードで圧倒して、注意を向けて、怪物が攻撃がしてくるとヨークスが盾で巧くいなしていく。盾を重力操作で軽くしていいところに入り込み、当たる瞬間に重くして攻撃の威力を減らし、怪物の腕は盾に当たった瞬間に怪物の腕の重さを軽くして、いなしていく。


凄く気を使うため、それを確実にこなしていくと、ヨークスは少しずつ消耗していく。そんなにはもたない。もしさっきの作戦を続けていたらいつかはやられていた。


「マルク、まだか?」

「ああ、もう少しだ。もう少し頼む」


「わかった。ヨークス、もう少し2人で何とか凌ぐぞ」

「ああ、ルーイ、もう少し頑張ってあいつの注意を引いて続けてくれ」

「わかった」



そして、数分が経ち、俺の黄金闘気がたまった瞬間、ヨークスがやられた。吹っ飛び、かなりのダメージを負った見たいだ。

「回復士、頼む」

「はっ」


「ルーイ下がれ、俺がいく」

「わかった」


そして俺と怪物の戦いが始まる。黄金闘気をさらに高め、55%だ。ここが今、何の問題なく余裕を持って扱える最大量だ。これ以上は体を傷つける。今はまだ使えない。


クロやマルク・トルネスト、佐藤良太がいる状況で俺が動けなくなれない。それにカンバルが化現する可能性がある。


俺は怪物と対峙する。

「まbzぎくぁjxgだ。魔王である。私は魔王、レキシナだ」

「レキシナ?」


「レキシナだ。レキシナだ」


どういうことだ。こいつは何だ?魔王で、レキシナ?おかしい。怪物はレキシナを殺したはず、それで狂ったカンバルが神を殺し、自分が神となり、ダークエルフや魔族を作り、世界を自分の理想の世界を作ろうとしたはず。


「お前は、#;3/%8@、、%(#)」

「どういうことだ。お前は誰だ?」


「私はレキシナだ。魔王だ。お前を殺す」

「そうか、お前が誰でも関係ない」


「そうだ。殺してくれ。Zんづああjshdぱjz」

「そうか。わかった。俺がお前を殺してやる」


俺と怪物は対峙したところから一撃を放ち合う。俺は大きく踏み出し突きを、怪物は右腕を振り上げ殴りにくる。俺の一撃が早く相手にあたり吹っ飛ばした。しかしそれでも俺の肩を怪物の右腕が殴りつける。


俺もその衝撃で吹っ飛ぶ。両者ともに強烈な勢いでかなりの距離を吹っ飛んだ。


怪物は赤井のコピーを巻き込みながら後方に吹き飛び、怪物の下敷きになったコピーたちはすぐに死んでいった。


対する俺は仲間たちが体を張って俺を止めてくれて、そのおかげもありダメージはだいぶ減った。それでも力のぶつかり合いにより、かなりのダメージを負い、体に痛みを感じる。起き上がるのも辛い。


俺は仲間に助けられて起き上がり、回復薬をもらい、もう一度怪物を見る。すると奴もかなりダメージは負ったのか、ゆっくりと立ち上がる。俺は一気に距離を詰め、追撃を入れようとするが、奴は今度は腕で俺も突きを防いだ。


今までと違い、防御をしている。これはかなり効いている。それとも理性がある?わからないが奴の願いを叶えてやる。殺してやるか。



俺は奴の目を見る。そこには悲しみとも、苦しみとも言える感情が見える。


そうか、レキシナの記憶か意識を一部入れたんだな。それが自分の状況を苦しんでいるんだろう。怪物としての意識は周りを殺すだけ、壊すだけ。それに対してレキシナの意識がそれを嫌がる。



俺はもう終わらせるために一気に行く。俺の最大技で一気に行こう。それであいつの悲しみを、苦しみを終わらせてやろう。それがエルフの血を引く俺の仕事か。レキシナ、俺が、お前の悲しみも苦しみも全部を背負ってやる。



そして俺はさらに黄金闘気を高める60%だ。これ以上超えるのは本当に辛いぞ。一気に行く。俺は右足を踏み込みその力を込めて、左足を強く踏み込み最大の力で突く。疾駆、アクセラレーション、重力操作、鷹の目、剛力を入れた最強の一突きだ。


俺の突きは怪物の、レキシナの胸を突き刺す。そしてその一撃は奴の命を奪った。そして俺の方に倒れてくる。俺は槍を抜き、避ける。


そして、離れた瞬間に俺はふらつく。そこにルーイが体を支えてくれた。

「大丈夫か?」

「俺よりあの怪物を頼む。あれをもう戦わせたくない。クロに奪われたら問題だ」

「ああ」

そう、ルーイが答えた瞬間だった。クロが急に現れ。


「ふん、またお前か」

「クロ」


「いつも邪魔をしてくれますね」

「おい」


「まぁこいつはもらって行く。まだ必要だからな」

「くそ」

怪物の死体を持っていかれた。あれをどう使う気だ?これで赤井、そして怪物を盗まれた。


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