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戦争2日目 右翼

翌日


今日も前線同士のぶつかり合いとなった。今日は赤井に女勇者共が付いているようだ。昨日マーキングしたやつだから間違いなくあいつが赤井だ。


これで本物のマルク・トルネストや佐藤という勇者もマーキングができる。

「おい、エセ。今日もやられに来たのか?」

「てめえ、ついに勇者もつけてねえぞ。この野郎」


「直樹、落ち着いて。大丈夫、あんな奴は直樹に敵わないから。だからあんな風に挑発するのよ。ね。だから落ち着いていこう」

「お、エセよりは頭がいいね。でも、間違っているぞ。そこのちょいブス」


「あ?どこがブスよ。しかもちょいブスって」

「はは。本当のことを言われて怒ったのか?まぁ、そうだろうな。まぁそうだろうな。ちょい、ぷっ。ちょいぷっ」


「ううう。人を馬鹿にして。言うなら最後まで言いなさいよ。途中で笑うな、二回も言い直すな」

「そうか。その横のエセきも笑っているぞ」


「エセきって。直樹、今笑っていた?」

「てめえ、エセきって俺か?いい加減にしろよ。こっち来いや」


「エセキ・アカイ、お前が来い」

「てめえ、俺は赤井直樹だ。いい加減にしろ」


「あ?だから声が聞こえん。もう少しこっちに来い。声が小さいから聞こえん」

「ああ、行ってやら」

「直樹、ダメ」


「マイ。うるせえな。あいつを殴んねえと気が済まねえなんだ」

「昨日、それでやられた」

「う、そうか」

「そう。それでいい」

「ああ、すまない。いつも助けてくれてありがとうな」


「もういいのか?そのどうでもいい話し合い。実にくだらない。つまんないお芝居よりつまらない恋愛トークだな。家でやれ」

「てめえ、いい加減ににしろよ。・・・と、てめえいきなり矢を射ってくんな」


「おい、エルフ領でいきなり射って来たバカはどこのどいつだ?ああ、バカは数ヶ月前の事も覚えてられないのか?それとも。そうか。俺が恐くて忘れたい記憶か?だから覚えてないのか?」

「おめえ、いい加減にしろ?」


「直樹」

「あ?ああ」


「おい、そっちの女、二番目の女、妾、二股かけられているのに気づいてないフリしている奴」

「あ?」


「お前じゃない。ちょいブス」

「てめえ」

「リナ」


「おいおい、とめんなよ。幸薄そうな女。その喋り方は計算か?それ本当に可愛い人しかしちゃいけない喋り方だぞ。わかっているのか?それとも、私は可愛いとか思っている?だとしたら、重症だな。鏡を送ってやろうか?王国内は鏡をそれなりの値段で買えるから、プレゼントしてやるぞ。そこの甲斐性なしのエセき・カネないとか言う勇者には買ってもらえんのだろう?」


「最悪。性格ねじ曲がってる」

「だから、顔を見て来いって?魔法で水たまり作ってやろうか?」


やっと舞というかいう幸薄そうな女がキレてくれた。

「いい加減にしろよ。くそ野郎が。ミカみたいに虐めてやろうか?」

「ははは。本性はそれか?顔だけじゃなくて心も醜いな。ブスの二乗って。横のエセきがビビってんぞ」


「おい、てめえ。さっきからエセきって呼ぶな。あと、舞にビビってねえ」

「あ?だから聞こえないって。驚くぐらい声小さいな。何食ったらそんな声出ねえんだ?」

「てめえはいい加減にしろ」


「お前さあ、さっきからボキャブラリーがないな。物語に最初にやられる奴より同じこと言ってんぞ?いい加減にしろしか言えないのか?まぁ、それ以外は聞こえないがな」

「はあ?俺は勇者だ。物語の主役に決まってんだろ?」

赤井とかいう勇者にとってモブは禁句なんだろうな。


「あ?お前も鏡見たことないの?」

「あ?」


「この国じゃ、お前ぐらいの鼻の高さも、目の彫りの深さも普通だぞ。しかも弱い。誰が惚れんだ?そうそう、ミカがエセきに付きまとわれてされて気持ち悪いって言ってたぞ。そういうのお前の世界じゃ、ストーカーって言うんだろう。法律で数百メートル内に近づくの禁止されるんだろ?」


「てめえ、いい加減にしろよ。あとやけに俺の世界に詳しいな?」

「ああ、ミカに聞いた。気持ち悪いんですって、すごい顔で言ってたぞ。ストーカーですって」


「直樹、ねえ、これって何?」

「直樹、どう言うこと?」

「あ、黙ってろ」


「おい、そこのキープの2人。お前らがいるのにそこのエセきは他の女に夢中だぞ。いいのか?」

「あ?直樹、どういうこと?」

「直樹〜」


「ちょっと待て」

揉め出した。あとはあのバカ勇者が逃げるように前に出てくれば良いな。


「もういいや。待つのが面倒だ。おい、勇者、ビビってないで来いよ。そうしないとサトウとかいう強い方の勇者の相手しに行くぞ」

「ああ?てめえは殺してやる」


赤井が前に出て来た。これが奴にとって一番聞くんだな。多分、自分より佐藤良太の方が強いことを気づいているんだろうな。


クリス先輩とリック先輩、ミカさん、テオ、リオル先輩が前に出た。これで勝つだろう。みんなで危ないようなら俺が牽制するか。


そして、クリス先輩とリック先輩対赤井直樹が始まる。同時にテオ、ミカさん対市川舞、リオル先輩対山本里奈だ。ちなみに言葉少なめが市川舞、ちょいブスが山本里奈だ。


「おい里奈。お前のスピードと剣術ならば勝てる。自分を信じろ。相手をよく見ていけ」

「わかったわ。ありがとう」


「舞、気負うな。魔法を撃つスピードで圧倒しろ。2人相手だろうが、マナの量も、魔法スピードも、数も全て勝てる」

「わかったわ」


「よし、2人とも俺を信じろ」


まずは山本里奈対リオル先輩だ。ここは大丈夫だろうと思う。リオル先輩は相手と対峙する。


そしてジリジリと距離を詰め、一気に上からの兜割りだ。それを山本は剣で抑え、防ぐ。どうにも剣道みたいだ。


元の世界でも剣道で有名だったらしいからその癖が抜けないのだろう。いかにもだな。こっちの世界ではスキルもある、


両刃の剣が主流とか考えたら、片刃の戦い方は変えて自ずと両刃で戦うし、剣道のように技の綺麗さとか、打つように当てるだけとかは変えざる得ないと思うが、多分、癖が抜けず、教えてくれる者もいなければ、指摘されても変えなかったのだろう。



リオル先輩の兜割りは防いだが、一瞬で体勢を崩す。そこから山本里奈は体勢を戻すが、リオル先輩がそんなことをさせる暇など与える訳がなく、一気に連撃を開始する。


山本里奈はどんどんと後ろに下がっていく。しかし、リオル先輩の剣が当たらない。相当な反射神経だ。身体能力ならリオル先輩より上だな。あんな華奢なのに。あそこも薄いし。あ、睨まられた。


ドンドンと早くなって行くな。リオル先輩と変わらなくなって来たな。どういう原理だ。スキルか?にしては変だな。最初から使わないのはおかしいな。



次いでミカさん、テオ組と市川舞だ。2人がかりだが、魔法の天才と言われている市川舞だ。


かなり強いとはカリウス先輩も言っていた。全属性魔法を使いこなす。それだけで才能がある。これは気をつけていかないと。ミカさんとテオならその辺は大丈夫だろう。


そして、魔法の撃ち合いが始まる。周りを巻き込みかねないほどの魔法の撃ち合いだった。


それはもう早いの一言だけしか周りが言えないほどだった。市川舞は各属性の魔法をドンドンと撃っていく。ファイアボールを数個、次はサンダーアローを数本、そしてウォーターアローを、そしてアイスロックを降らせ、今度はストーンアロー、そしてライトアローにダークボール。


さらに結界を使って守りと各属性の魔法をドンドンと撃ち込んでいく。しかし、あれだけ撃てば、マナ切れを起こすぞ。なんでこんな事を?



対して、ミカさんとテオは結界を2人で分担しながら張り、守って行く。そして相手の攻撃をうまくいなし、自身のマナを使いすぎないように戦えって行く。明らかにテオとミカさんの方が戦い方としてうまい。


しかし、今は市川舞が圧倒していく。しかも時間が経つほどに市川舞の魔法のスピードも数も全てがドンドンと上がっていく。どうなるか?



そして、勇者とクリス先輩だ。クリス先輩は相手の動きをよく見て嵌めていく。赤井がクリス先輩の剣を避けていくと、そこにリック先輩がいて、無拍子で攻撃していく。


しかし、赤井は

「へ。効いてねえな。こんな攻撃じゃ俺は倒せねえ。おい、里奈、舞、お前らはもっといける。舞はもっと魔法を撃てる。里奈はもっと早くなる。いくぞ」


なんだ?赤井は余裕だな?そんな余裕はないだろう。2人の様子を見れるほど余裕がある戦いなんてできてない。それにリック先輩の攻撃はかなり効いただろう。大したことない攻撃ではない。


無拍子を完全なタイミングで打ち込んでる。ガードも、気構えもできない状況で攻撃を受けるのはかなりきつい筈だ。



なのに、奴はかなり余裕がある。それが不可思議だ。なんでそんなに余裕なんだ。戦いはクリス先輩が押していく。クリス先輩が圧倒して、押していき、またリック先輩が一撃を入れた。でも効いてない。確かに致命傷とも言える一撃が入った。確かにクリス先輩やリック先輩の弱さは一発の威力にはある。だけど、それでも今日のコンビネーションは最高で、リック先輩の一撃はかなり厳しいところに入る。これだけうまく決まれば、威力は十分だ。



なのに、効いてない。これは謎だな。

「おい、てめえの攻撃は俺には効かねえ。里奈、いいぞ。速くなって来た。もっと上げろ」

「うん。わかったわ。直樹」


「舞、かなりいい数の魔法だ。それを撃まくれ。そいつらを倒せる」

だから、なんでわざわざ声をかけるんだ。お前にそんなによ・・・そうか。詐術ってそうか?もしかして、言葉で自分も仲間も騙せるのか?一種の暗示か?


うーん。確証がない。試してみるか。それで揺さぶられて、弱くなれば儲けもんか。

「おい、勇者様よ。お前のスキル詐術はもしかして、自分も仲間も騙せるのか?それで限界以上の力をを出させているのか?」

「あ?うるせえ。横から声をかけてくんな」


「そうか。図星か。だけど、それって限界まで使ったことあるのか?」

「あ?」


「ないのか。多分死ぬぞ?」

「はぁ?死ぬ訳ねえだろ」


「王国のことわざに1ついい言葉がある。初代様の言葉から作ったと言われる言葉を送ろう。『限界を知らずに、限界を超える者は死を招く』だ」

「な、どういう意味だ?」


「ああ、これは簡単に言えば、限界をどこか知らないと、限界超えちゃって死ぬぞって言うことわざだ。人は限界を超える時に生命力を使う。だからやりすぎちゃいけない。限界を知らないで超えると、どこまでいけるかわからないから死ぬまで力を使う。そういうことだ」

「な。てめえ、嘘ついてんじゃねえ」


「ん?知らないのか?もしかしてお前ら捨て駒か?そうか、カンバルという邪神のための供物か?」

「な」

「ねえ、直樹、どういうこと?」

「直樹?」


「ああ、あいつの言っていることは嘘だ」

「もしかして、限界近くまで使おうとするとサトウとか言う奴に止められて来たか?」


「あ?それは」

「そうか、これも図星か?」

「んなはずはねえ。あいつが俺を裏切るはずはねえ」

「だったら聞いてみたら?」


「あ?くそ。お前の言うことに従うのは癪だが、おい良太聞こえるか?」

「・・・」

「さっきのは本当か?」

「・・・」


「そうだよな。ありえねえよな。お前が俺を裏切るなんて」

そうか、やっぱり佐藤良太はここを見ていて、声を届かせているのか?まぁ、そんなには使えないっぽいな。里奈と舞には使ってないみたいだ。信頼関係か、数の問題だろう。


「おい、てめえ、適当に言いやがって」

「ああ、否定したか?でもこう言ったんじゃない。『俺はお前を裏切らない。お前を供物にはしない』とか?」

「な」


「図星か。そうだとすると、赤井は供物にしないけど、2人はするみたいだな?可哀想に。愛する者に、裏切られて死ににいくなんて。そして残ったこいつは他の女とイチャイチャか。救われないな。剣士と魔法使いの勇者様」

「な、違うぞ」


「直樹、さっきのは本当なの?返答次第じゃ許さないわよ」

「ほんと?」


2人が揺らぎ出した。それに赤井もちょっと揺らいだな。自身のスキルが俺の言う通りなら佐藤が言うようにはならない可能性がある。それが疑心を生んだか。これでいけるな。


山本里奈のスピードが明らかに落ちた。スピードと技量でなんとかやっていたのが、リオル先輩のスピードについてこれないようになると厳しい。


もともと、山本里奈の技量は剣道由来だ。確かに剣道はスポーツとしては優秀だ。だがあくまでスポーツだ。道場で命のやり取りがない。どんだけ、技量を上げようと結局は命を脅かされることはない。


それに対して、リオル先輩の剣はまさに殺すか殺されるかの剣術だ。命のやり取りを前提にした殺人剣術だ。この差はもともと大きかった。


それを上がっていくスピードでなんとか補っていた。そこにスピードがガクンと下がった。もう勝てないな。リオル先輩が一気に胸元を突いた。気を失ったようだ。まぁ殺すなと言ってある。勇者を供物にされたくないし、情報も聞きたい。



そして、今度は市川舞だが、こっちはもうてんでダメだ。限界を超えた魔法を撃ったから動けない。こちらもテオが捕まえた。テオは得意であり、開発したサンダーチェインで捕縛した。こういう時に慎重に行くのがテオの良さだ。さっきまでの戦いでも最小限のマナで結界を張り、攻撃を防いでいた。大技を使わずに最小限の手で守る。これでマナ切れはない。


そして2人が捕まったのを見て、赤井は叫んだ。

「てめえ、汚ねえぞ。そうやって高みの見物を決めて、それで戦いに介入して邪魔する。それでも英雄か?」

「おい、ガキ。そっちを見てていいのか?」


クリス先輩が一気に攻撃をした。避けれずに一撃をくらい、赤井は膝をつく。そしてそこにリック先輩が無拍子の攻撃を入れる。これも避けれずに胸に剣が刺さり、致命傷を喰らう。これによって、赤井は血を吐く。


「おい、教えてやる。戦いに綺麗も汚いもない。それにな、マルクは指揮官だ。こっちの右翼の指揮官だ。指示を出すのも戦いが有利に進むように持っていくのも当たり前だ。それを汚いなど、戦場に立つ覚悟もないなら家で寝てろ。ガキが」


「クリス先輩の言う通りだ。エセ勇者、覚悟がないからお前は弱いんだよ」

「な」


「もういいだろう。クリス先輩、リック先輩」

そして2人が仕留めに行く。そこに邪魔が入る。赤井のコピー軍団とクロだ。


「おい、偽教祖。邪神のためにそれを供物にするのか?」

「おい、マルク・ドンナルナ。調子に乗るな。お前はこのあと殺す。その前にバカを迎えに来ただけだ」


「そうか。じゃあ、あとでを楽しみにしているよ」

そして赤井だけを連れ、クロは消えた。くそ、もう少しで捕まえられたんだけどな。


「すまない。マルク」

「すまん、マルク」


「いや、いいですよ。右翼はこれで大分楽になるでしょう。2人のおかげです。しかし、詐術か。かなり厄介なスキルでしたね。もっとスキルを知っていたら」

「ああ、かなりこっちもやばかったな。そもそも、赤井という勇者がもっと感情をコントロールできたら、技量があったら不味かったな」


「ええ、その時は俺が出ていたでしょう」

「そうか。最低限の仕事はできたか」


「あの、この2人は?」

「ああ、ミカさん。この2人はリットさんに渡して要塞に連れてくよ」


「わかりました。リット騎士団副長は?」

「本部にいる。テオ、連れて行ってくれるかい?」


「はっ。サンダーチェインはそのままということですね?」

「ああ、可能かい?」


「まだ、マナは大丈夫です。ちゃんとそこまで計算しています」

「ありがとう。うん、成長したね」

「はい。副部長」


「もう違う敬称がついているから、第00小隊隊長だから、マルク小隊長と言わないとダメだよ。テオ」

「はっ」


そしてテオが2人を連れて行く。2人はまだ意識が戻らない。力を使い過ぎたんだろうな。


そんな折に同盟軍の中央で大きな音がした。

「なんだ?」

「中央軍です。何が?」


「俺が見てくる。ここからが右翼は相手を潰していく場面だ。クリス、リック、リオル、お前たちで指揮をして右翼で勝ちを摑み取れ。問題がなければ俺もすぐに戻る。少なくともそこまでは戦線を保て」

「「「はっ」」」


「ミカ、兄上とシグルソン顧問がいるから大丈夫だと思うが怪我人が出ているだろう。一緒に来い。マナは大丈夫か?」

「はい。魔道具を使いながら守ってましたので」


「そうか。じゃ来い」

「はっ」


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