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急な一報

ルインの訪問からの展開です。

ルイン様の訪問及び姉上の帰省から2ヶ月がたった。兄上はまだ家に帰ってこない。任務が忙しいのだろうか?レア先生やメル姉もエルカ姉様もお会いする機会がないらしい。


父上も報告を受けることはあるが、私的な話をしようとすると避けられているようだ。兄上は何か人が変わったみたいな感じがする。


俺は、毎日、訓練と勉強を繰り返している。帝国語と獣人国語はだいたいマスターした。話すのは完璧だ。ただ、読み書きは、獣人国語の方が難航している。


まぁ、獣人国語は喋れなくても、獣人の方々は大抵が王国語を喋れるらしい。帝国語はほとんどが王国語と同じため、習得が容易かった。言い回しや敬語で独特な部分はあるが、ほとんど一緒だったんだ。

しかし、堅苦しい言葉だな帝国語は、そういう国なのかな?


そんな折に、ある一報が王国を駆け巡った。この一報の噂で王国国内は持ちきりだった。

「父上、帝国の皇帝が亡くなったことで、王宮内はお忙しいのではないですか?」

「まあな。ガルドが大変そうな顔で陛下の執務室によく来るぞ」

「そうですか。街でも皆が噂し、心配しておるようです」

「まぁ、そうだろうな」


「マルク様、しょうがないのです。帝国との大戦はそれほど、この国の民に多くの恐怖を植え付けるほど永く、辛いものだったのです」

「そうか。やっぱり、あの大戦は多くの者にとって二度と味わいたくない過去なのですね」

「ああ」

「戦争などない方が良いですね」

「ああ」


「すみませぬ。父上。私のような者がこのような話をして。父上の立場上、最も深慮していらっしゃるであろうに、気を遣わず」

「いや、大丈夫だ。マルクも心配であったのだろう」

「ああ、そう言えば、メル姉やエルカ姉様はいかがでしょうか?」

「ふむ、頑張っておるようだ。良い噂が多く聞こえてくる」


「そうですか、レア先生から、学院時代は何かとあったとお聞きしましたが」

「ふふ。その話でございますか。懐かしい」

「ゼル、お前は懐かしいで済むが、俺は謝りに行ったのだぞ」


「ふっ。自身も相当、先先代のドンナルナ辺境伯に謝りに行かせた方が」

「お前、それを言うな」

「えっ?父上もですか?」


「ええ。ラルク様など、入学・・・」

「おいゼル、いい加減にしろ」

「ここまでにしましょう」


「えええ。気になります」

「知らなくて良い」

「はい」

「マルク様はああならないでください」

「ゼル」


そんな話をしていたら、使者の方がいらっしゃった。

「ラルク様、王宮より使者にございます」

「うむ。アイナ、ありがとう。通してくれ」

「はい」


「ドンナルナ子爵様、急な訪問すみません」

「ユーリス、ガルドから急用の言伝か」

「はい」


「うむ、申せ」

「はっ。父ガルドより王宮に来て欲しいとのこと。内容はこの手紙にて」

「わかった。すぐに向かう。急ぎの使者、ご苦労だった。水を飲み、少し休め」

「はっ。ありがたき」


アイナが水を持って来た。何も言ってなかったのに、アイナはよく気がきく。


「水、ありがとうございました。父上に任を務められました旨、伝えるため戻ります。たいした感謝もできず、申し訳ありません」

「よい。ご苦労だった」

「はっ」


父上は急ぎ着替え、ゼルを従え、王宮に向かった。ゼルまで連れてくなんて、大事だ。戦争が始まるのだろうか?心配だ。休みの日に呼ばれるのを嫌う父上があの顔だ。はあ何もなければいいが。


父上が王宮に向かわれた後、俺は瞑想の訓練をし、リリアに教えてもらった獣人国語を復習していた。

「ああ、これは、ああ、そうか。敬語の相手が女性だから。難しいなぁ」

「マルク様、獣人国語の勉強ですか?」


「ああ、リリア。ちょうどいいところに来てくれた。ここを教えてくれないか?」

「はい、と言いたいところですが、リネア様がお呼びです」


「母上が?珍しいなぁ。勉強中はあんまり、呼びに来ないんだけどな。わかった。今行く」

「はい。食堂でお待ちです」

「わかった」


なんだろうかと考えてながら食堂に向かう。母上は

「マルク、来たのね」


「ええ。母上、どうなされたのでしょう?」

「帝国が侵略する気配がありそうなのよ」

「帝国が?」


「ええ。それでエドワード殿下を大将に辺境伯領に向かうことになったの」

「第2王子殿下が」

「ええ。それでラルクもエドワード殿下のお供に出征することになったわ」

「父上が。戦争になるのでしょうか?」


「うーん。今はわからないわ。でも大した軍は来ないと思うわ」

「そうなんですか?」

「ええ。帝国もこの時期に大軍を用意してもいいことはないでしょう」

「そうですか」


「大丈夫よ。エドワード殿下に功績を作るためよ」

「そうなのですか」

「ええ。少し家にいられないけど大丈夫よ」

「はい」


はあ。大丈夫だ。父上だ。あの英雄、『王国の風壁』だ。母上も心配なはずなのにそんなそぶりも見せない。俺も普段通り訓練と勉強をしよう。父上が帰って来た時に喜んでもらえるように。



アルフ(マルクの兄)が帰ってこない中に情勢の変化です。

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