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襲撃と帰還

俺と母上は皆のところに行き、王都に戻る。エルフの里を出て、そしてエルフ領を出ようとした。ちょうどその時、矢が馬車に突き刺さる音がした。

「なんだ?」

「矢だわ」

「く、敵襲か?」

リオルとヤイ、ケビンが動く。


「ははは。やぁ、マルク・ドンナルナとリネア・ドンナルナ」

「よぉ、ミカ。探したぜ」

ダークエルフと日本人がいる。


「クロ」

「赤井さん」


「おい、その名で呼ぶな。私は枢機卿と呼べ」

「おいおい、下の名前で呼べよ。ミカ」

「母上、ミカさん」


「ええ、あいつがダークエルフの長で、クロよ。元聖国のトップね」

「彼は勇者で、赤井直樹さん。私と共に呼ばれた人です」

「ああ、勇者もどきと邪神教のトップか」


「おい、マルク・ドンナルナ、邪神とはなんだ。天神様こそ。この世の唯一神にして、創造神だ。お前ごとき下等生物が」

「おい、そこの。てめえ、勇者もどきだ?俺が正真正銘の勇者だ」


「わかったよ。で、何をしに来たの?」

「お前らを殺しに来たに決まってるだろう。エルフのバカ共が喋りおって」


「なんの事?知らないな。そもそも、俺らとエルフの会話をどうやって知ったの?そういえば邪神の信徒を虐殺したんだって?」

「邪神と言うな。天神様は崇高にして、孤高の存在だ。お前ごときが邪神などと呼ぶとは、このバカ者め。恥を知れ。エルフの会話をどうやって知ったか?だと、ははは。わからんだろう。まぁ、そうだろうな。あのエルフらに何をしたか?」


「あぁ、洗脳か、盗聴かな?他人にそういうことをするとか変態だね。天神って。まぁ邪神だからしょうがないか」

「この馬鹿者め。もう許せん。おい、勇者」


「うるせえな。しょうがねえ」

「ゼル」

ゼルが勇者に一撃、しかし避けられる。同じ時に矢が俺に向かって来るが俺も避ける。


「おいおい。そんなジジイの一撃なんか当たるかよ」

「へえ、偽勇者も強くなったんだ」


「てめえ、さっきから偽だの、もどきだのと言いやがって」

「え?そうでしょう?」

「てめえ」


俺に向かってくるので。避けて一撃をかます。しかし避けられるが、そこにすかさずゼルが一撃を入れる。流石に当たった。


「てめえ、汚ねえな。あ?新英雄がそんな手を使っていいのか?」

「勇者が奇襲をしていいの?あ、偽物か?」

「てめえ、いい加減にしろよ」


よっと。矢を避ける。どこから撃っているかはわかるけど、気配を消すのが上手い。すぐに場所がわからなくなる。この弓術士はいい腕だな。


「おい、聞いてんのか?」

「え?ああ、ごめん。勇者様の演説がつまんないから考え事してた。さすがは偽物、演説も下手だね」

「てめえ」


また攻撃して来る。俺はそれを避けると、そこに矢が来る。うわ。危ない。


「おい、避けるな戦えよ」

「え?やだよ。強い偽物さんとここで戦っても意味がないもん」


「な、てめえわ」

「勇者、遊んでないでやれ」


「ねぇ、そこの邪神のお人形さん、うるさいよ」

「お前!何度言ったら。なにをしている弓術士、やつを打て」

枢機卿がうるさい。


弓術士が俺を狙ってきた。ヤイが弓術士のところに行った。ドサ。そして弓術士を連れ俺らの元に来る。


「ふう、ナイスだ。ヤイ」

「こいつ、結構な弓術士だったよ。撃った瞬間には移動してるから捕まえるのに苦労したよ」

「そうだね。俺でも気配で配置を把握できなかったよ。ああ、あん時の雑貨屋?」


「ああ、そうだね」

「そうか」

俺は偽勇者の攻撃を避ける。


「てめえ、何を避けながら会話してんだ」

「うーん、異世界の人、弱いよ」


「てめえ、ついに勇者も外しやがったな?」

「何をしている。勇者、早く始末をしろ」


「うるせえ、くそ、あいつらがいたらな。うあ」

ゼルが一撃を入れる。


「ねえ、お人形の代表さん、なんでさっきから勇者って呼んでるのかな?」

「いい加減にしろ。このクズ人間が〜」


「どうでもいいから。なんで勇者って呼んでるの?そいつには名前があるでしょう?赤毛?」

「あ?勇者は勇者だろ?」


「そっちには勇者って4人いるよね。」

「そんなのをいちいち名前で呼べと、勇者でいいんだ。くだらん」

「俺は赤井だ〜」


ゼルが一撃を入れる。今度は当たる。

「あ、さっきの一撃はゼルの本気じゃないよ」

「てめえ」


ヒュンとまた俺らとは別の方から弓矢が放たれた。もう1人いたか?と思ったら枢機卿に当たる。

「く、回復薬か?くそ」


「ああ、ダークエルフって回復薬に弱いんだっけ?欠陥だね。天神って欠陥品をつくったんだね」

「な、いい加減にしろ」

ヒュンともう一発当たる。


「く、撤退だ。ナオキ」

「てめえ、覚えてろよ」


奴らは逃げて行った。あの勇者もどき、結構打たれ強いな。


「すみません、殺せませんでした」

「ああ、ゼル。大丈夫だよ。あいつはあれだよね」

「多分そうかと」


「だろうね。タネが何かあるんだよ。ミカさん、赤井とかいう奴のスキルは知っている?」

「はい。彼のスキルは詐術、スウェード、瞬動というスキルです」

「そう。詐術?騙す感じ?」

「ええ、そうかと」


「すまぬ、うち取れなかった」

「いいえ、ローザさん。エルフの里は大丈夫ですか?」


「ああ、20名くらいに襲撃を受けたが、皆は怪我なく、なんとかなった」

「やっぱり、こっちじゃなくて、そっちが本命か」


「やっぱりですか?」

「うん、ミカさん。なかなか攻撃してこないからおかしいとは思ったんだ」

「そうですか」


「俺が行けずにすみません。弓術士が良くて、母上を守りながらではいけませんでした」

「いや、ケビン君とリオル君が来てくれて、助かった」


「そうですか。襲撃の瞬間に向かわせたんですが、里は無事でしたか?」

「いや、里は壊滅だ。だが誰も怪我をしなかっただけ、よかった」


「そうですか。ここは危険でしょうから王国に一度拠点を移してください」

「ああ、ありがとう。それが良さそうだ」

「はい」


「しかし、里に襲撃に来てた者がこっちにも居たな」

「そうですか。本当にこっちのは偽物か」

「え?」


「ああ、途中からおかしいとは思ったんだ。攻撃が単調でね。偽物だろう。詐術ていうスキルの技かな」

「そうなんですか」

「クロは本物よ」


「ええ、多分クロは本物でしょう。あの傲慢で、自分こそが至高の存在と思っているところはきっと、ダークエルフの長でしょうね。ただ、煽りに弱い」

こうして俺らは勇者の偽物とダークエルフに襲撃を受けたが問題はなかった。


その後は襲撃もなく、多民族国家を抜け、辺境伯領を通り、王都に戻って来た。


王都で母上を家に送り、父上らに報告に行く。

「騎士団長、第00小隊、小隊長マルク・フィン・ドンナルナ、ただいま戻りました。失礼します」

「うむ。入れ」

「はっ」

俺は騎士団長の執務室に入る。


「で、どうだった?」

「はっ。エルフ領で真相を知る事が出来ました。それとエルフの里がダークエルフと勇者に攻撃を受けたので、エルフを保護しました」


「そうか。エルフはこちらで保護する。で、リネアは大丈夫か?」

「はい。怪我はありません。ただ、エネア様とエリア様の遺骨を持ち帰ったので、少しだけ気持ちを落ち着かせる必要があるかと」


「そうか。わかった。ついてこい。陛下らに真相を伝えてもらう」

「はっ」

そして、陛下らに真相を伝える。


「・・・ということです」

「そうか。何という事だ。ガルド、発表するのがいいか?」

「はっ、先の件と合わせて、発表しましょう。もともと、魔族とダークエルフ、強いては聖国の上はくっついていたと」


「そうか。それが良いか」

「ええ、そうすれば、多くの国の賛同を得ましょう」

「わかった。頼む」

「はっ」


「うむ。あと、ガルド、エルフは丁重に支援してやれ。真相を話すことで長を失ったのだ。それは重い判断だっただろう。それでも世界のために亡くなった者の意志は継がなくてはいけない。その長の葬儀も支援しろ」

「はっ」


「陛下いいでしょうか?」

「ああ、いいぞ。コーネリアス」

「はっ。マルク殿、何故、勇者は召喚されるのでしょう?」

「え?」


「いやねえ。自分の目指す社会を作るために世界を変えたのでしょう?それなら何故、不必要な勇者を召喚して戦わせるのでしょう?今回のように、虐殺が目的?それなら何故前回しなかったのです?」

「確かに。それは長老も知らなかったと思います。エルフはレキシナの件以降はカンバルに近づかないようにしていたので」


「そうですか?謎です。それに何故、今のタイミングで化現を狙うのか?」

「確かにな。それは分からん。本人に聞くしかなさそうだな」

「ええ、ダークエルフに聞くしかないでしょうね。尋問しますか」


「そうだな」

捕まえて来た者はダークエルフだった。だが尋問しても知らなかった。彼は末端だったようだ。まぁ切られた時点でそうだろうとは思ったけど。というかクロとかいうのに仲間意識とかあるんだろうか。ないならそこは付け入れそうだな。


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