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エルフ領へ再び。ゼルの過去

5日後


俺らは出発する。エルフ領に再度行く。母上を向かいに行き、合流してから出発する。

「母上、これからエルフ領に行きます。まずは辺境伯領に行き、そして多民族国家を抜け、エルフ領に入ります」


「ええ、お願い。ただ、行く前にシズルのお墓に行きたいの。ちょっとだけ寄り道だけどいいかしら?」

「ええ、母上もエルフ領に行くのに心構えが必要でしょう。俺もご先祖様のお墓に行きたいです」


「そうね。そうだ、ミカちゃんも付き添ってもらっていい?」

「私もですか?」


「ええ、今の勇者にシズルの加護もらえるようにね。挨拶してもらいたいの」

「わかりました」


「ありがとう、ミカちゃん。道中、楽しみだわ。女子会よ」

「女子会って」


「ふふ。シズルから聞いたの。ミカちゃんの世界の言葉でしょう?」

「はい。私がこっちに来る直前に流行った言葉です。あまり私は使ったことはないですが」


「そうなのね。そう、シズルが変わっているのかしら」

「いいえ、私が変わっているんだと思います。でも若い人はそんなに使う言葉ではないような気もします」


「そう。まあいいわ。楽しみね」

「はい」

そして俺らは出発する。ゼルも道中の母上の世話役として来ることになった。


俺とゼルは馬車の御者台に座り、話しながら王都を出た。

「なあ、ゼル」

「はい。何んでしょう?」


「ああ、母上は大丈夫かな?」

「ふふふ。エルフ領に連れて行くことが心配ですか?」


「ああ、母上の親戚にあたる人が長老だよ。何か言われて、それで」

「リネア様が傷つくと?」

「ああ」


「大丈夫です。リネア様はそんなに弱くありません。ただ、エルフであるということに対して、良いことも、悪いこともおありだったのでしょう。

あれだけの長寿というのは私たちなどにはわかりもしないことがきっと多いのですよ。だから心を決めるのにシズル様のお墓に会いに行くのでしょう。きっとエルフである自分と決着をつけるために」


「そうか。そうだね。そういえばゼルもドンナルナ家だけど、お墓に行かないの?」

「私の母はそこにはいませんからね。父はいますが、正直、父とは仲は良くありませんでした。まぁ、兄だけは優しくしてくれたので、そちらに顔を出します」


「そうか。ゼルの母親ってどんな人?」

「そうですね。そんなお話もする時でしょうか。わかりました。老人の昔話にお付き合いください」

「ああ」


「私は父である三代前のドンナルナ家当主とドワーフのハーフの母親の子でした」

「ドワーフ!?」


「そうです。ですから私も人族よりは長寿になります。母はドワーフと人族のハーフで大変な人生の人でした。それが故、どこか人族にはない美しさのある人でした。そしてそんな母を見初めた父が口説き、できたのが私でした。しかし庶子でドワーフの血が入る者ですから、


結局は4代前の当主や父の正妻から嫌われて家の者として扱われなかったのです。そんな私を見て母は申し訳ないと泣くばかりでした。そんな折に魔獣の氾濫がありました。母は私を守るためにドワーフの国に私を連れて行きました。


ドワーフの国でもハーフの母と、クオーターの私は好かれませんでした。それでも私を育てるために必死に働いた母は私を残して死にました。それが8つの時です。そしてそんな折にたまたまカレスさんのところを訪れた師匠と出会いました。


何もない私は師匠の元で修行させてほしいと願い、弟子になったのです。それからはマルク様同様に修行の日々で、修行を終えた時には28になっており、そんな際に魔獣の氾濫が起きたのです。私はそこで活躍して、名をあげました。


ちょうど同じ時に、兄が当主を受け継ぎ先先代の当主になったばかりで、私の居場所を知った兄から、家臣にならないかと誘われ、家臣として雇ってもらいました。あとは、ラルク様に出会いという話です」


ゼルの過去が想像とは違う物だった。そんな過去があるとは知らなかった。・・・。



「今、本当は何歳になるの?」

「ああ、見た目ですか。ドワーフ族はエルフ族よりは寿命が短く、彼らと異なり、体は衰えないんですが、人族よりはかなりゆっくりですが見た目は徐々に更けていきます。歳は64と言いてましたが、本当は97歳ですね。私も200歳くらいは生きると思います。ちなみに兄と言いましたが、先先代は本当は弟になります。兄ということにすることでドワーフのクォーターということを隠しております」


「そうなんだ。ゼルも長寿族だね」

「そうですね。兄の玄孫まで見ましたね。驚きです」


「ふふ。それは長寿の良さかな」

「そうですね。でもその分、別れも多いです。リネア様はもっと多くの別れをしたでしょうけど」

「そうか。俺も同じく、そうなるんだよね」


「ええ、そうですね」

「そうか」

こうして、エルフの里への訪問の旅の初日はゼルの過去を知った日だった。


短いですがお読みください。

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