帰国
数日後
俺らは辺境伯領の要塞に戻って来た。結局、ダークエルフは見なかった。聞いた話はアルスが多民族国家を通ったという話があったのと、それらしい者がここ最近いなかったという話とダークエルフ領には入れないようだという話だ。入ろうとするとダークエルフに攻撃されるから行くなと言われた。
そして、俺らは辺境伯領の要塞で一泊する。夜は要塞のみんなと飲んでいた。
「お疲れ、任務は終わったの?」
「ああ、アレス。終わったよ。かなり疲れたかな」
「そうか、まあ、ゆっくりしなよ。エルフ領はどうだった?」
「ああ、とりあえずは中立だね。まあ最低限かな」
「ああ、まぁ敵じゃないならね」
「そうだな」
「もう、親友二人で飲んでないの。みんなで飲んでるのよ」
「ごめんよ。レオナ」
「奥さんの尻に敷かれるアレスだった」
「劇みたいな言い方はやめてくれ」
「ははは」
アレスと仲良く笑っているとリオル先輩が来た。
「しかし、仲がいいな」
「ああ、リオル先輩」
「ああ、アレス、こっちはどうだ?」
「まあ、今のところは何も」
「そうか、よかった」
「マルクの部下は大変では?」
「ああ、最初は大変だった。でも結構いいぞ」
「そうでしょうね。大変だけど、楽しそうです」
「ああ」
こんな風に話をしながら宴会をしていた。
そして、辺境伯領の要塞を出て、セレステへ。ここで冒険者協会から母上宛に手紙と預かった物を送った。その手続きが終わると
「よお、マルク、戻って来たか?」
「師匠、戻りました」
「どうだった?」
「ガッソさん、手紙ありがとうございました。話は聞いてもらいましたが、まぁ中立と」
「そうか。まぁ、魔族に与するのはありえないが、やはり関わらないか」
「ええ、そうみたいです。自分たちは破滅に向かう種族だと」
「そうか、長老は変わらないか。それが嫌で出てきたんだがな」
「そうですか」
「ああ、まぁ、現状が悪くならないならいいだろう」
「ええ。そういえばレキシナさんという方は知っていますか?」
「ああ、名と役職だけはな。その方に関する伝承は長老だけが受け継いで行く。俺らは知らん」
「役職とは?」
「巫女だ。神の声を聞くという方だったと聞いた」
「そうですか。巫女はいないのですか?」
「レキシナ様の家系はレキシナ様しかいなかったが、不慮の事故で亡くなったと聞いた。それで誰も巫女が居なくなった」
「そうですか。カンバルという者を調べろと言われたので、きっとレキシナさんに関わるのだろうと」
「ああ、そうか。レキシナは数千年前の人だ」
「そうですか。ありがとうございます」
こうしてセレステで師匠らと話をして、宿に行き、その日は泊まった。そして翌日からセレステを出て、レオサード領の要塞に戻った。




